歩兵が隠れる為の手法・装備と聞いて真っ先に思い付くものの1つとして迷彩または迷彩服が挙げられる。
それは遡ればトラを始めとした野生動物が生来的に備えているものでも有り、人が知恵によってそれらを真似て生み出した工夫でもある。
ナニワアームズでは古くから歩兵やバーミーズで光学迷彩を良く用いていたが、今回はそれをそのまま流用する事はできなかった。
というのも、ロードランナーの活動領域の想定エリアの1つである低物理域では当然ながら光学迷彩なんて科学技術の結晶は作動しない為である。
その一方で低物理域では銃器が運用できない以上、ロードランナー達の攻撃手段は白兵に限定され、必然的に隠れる事の重要性は高まる。

故にこの対策が講じられた訳であるが、検討の結果として採用された方法は実にありきたりで冴えないやり方ではあったが、それだけに効果はそれなりに見込めた。
その方法とは……
TPOに合わせて服装を替える!
以上終わりである。

TLOを用いずに実現する方法としてはこれ以外に思い付かなかったわけではあるが、
衣服はそれこそ原始時代にまで遡らない限りは常に人類と共にあった為、シンプルだが無難であると判断したのである。
幸いながら手元には服を作る為の品質の良い布地には困らない事、服飾関連のアドバイザーもいた事からこの頭の悪い手法は実施されたのである。
こうして砂漠、雪原、草原、森林、密林(ジャングル)、山に果ては市街地。様々なシチュエーションに応じた迷彩服が用意される事となった。
ちなみにちくちく手縫いで作る関係上、低物理域用の野戦服が一番高価かつ貴重であり、皆の愛着も一際で高く人気No.1であった。
実際に綻んだり破れても修繕して長い間、愛用する者も多かったそうである。