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ナニワ作戦会議BBS
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  [No.1074] 祈り 投稿者:乃亜・C・O  投稿日:2009/12/04(Fri) 01:11:11

とりあえず投下してみます。

#周囲に認められるとか称えられるとか、・・と云うのとはかなり関連のない感じになりましたので、
#イメージ違いましたら省いて下さい。

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祈り

  //*//



「騎士? 誰かに仕えているのか?」

私は雇っているつもりなぞないからな、と女は眉を吊り上げてその者の瞳をねめつける。


「もしも」

その者は、女を宥めるように微笑むと言う。

「もしも私が何かに仕えているとするならば、それはたぶん、正義と慈悲だろう」

「あなたの神のことか?」

首を傾げる女に、その者は首を振る。


「いいや、おそらくは違う」

「私の神はただ、この身を赦すだけだろう」

「・・慈悲と正義、双方が同じ道を示す時は、自分は力を尽くすのみだ」

「だが2つが違う道を示す時、私はいつもひどく迷う」

「慈悲と正義は。 時に私を切り裂く刃のようだ」

「すべての者が悲しまねば良いと思う。
 護りたいと願う。
 自分の腕がもっと広ければと、腑甲斐なく思う。 ・・・だが、自分にできるのはがむしゃらに戦うことだけだった」

「いつも思うのだ。私の取ってきた道は、果たしてどれだけ正しかったのかと。やれるべき事が、もっと他にもあったのではないかと」


乾いた風をはらみ、ひるがえる頭布。
護るためにしか抜かぬと決めた、腰に帯びた半月の剣に触れる。


「・・そうやって、迷い苦しんだことを、私の神はご存知だ。ゆえに、私はいまだ裁かれずここに在る」

「あなたはいつも正しいぞ。 それに文句をつけるならば、私があなたの神に文句を言う。”ならば自分でやってみろ”と」

むくれて口を尖らせる様に苦笑して、遠く広がる砂丘に目を移す。

果てのない問いは、まるでこの地の砂粒を数えるが如くのようでもある。


「道は、見つかるか?」

その声に、振り返らず顔を上げて笑ってみせる。
遠く、遠く遥かな彼方を見据え。

「さて? ・・今もまだ。迷ってもなお、迷うが故に、ただ、進まねばならぬのだろう」

「一歩でも<それ>に近づくために」


聞こえるものと云えば、風に流れる砂の音と、そして己の鼓動。
何もないと見える世界で、ふいに空気が動いた。

「・・・・では、私は祈ろう。よい風が、いつもあなたの背を押すようにと」






***********************

#元ネタはアイルランドの古い祝福の言葉から。

「道がつねにあなたの前にありますように。
風がいつもあなたの背中を押してくれますように。

太陽があなたの顔を暖かく照らし、
雨があなたの畑にやさしく降り注ぎますように。

そしてふたたび会う日まで、
神様がその手のひらで、あなたをやさしく包んでくださいますように。」


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