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ナニワ作戦会議BBS
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  [No.1256] 砂漠の騎士の設定&SS纏め+α 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/03/21(Sun) 23:20:29

http://www.eonet.ne.jp/~kasalelia/idress/desert/
これ見ていて思い付いたんだけど、最初に開いたページの部分(夜明けの部分)で1つの画面として纏まっているように感じるので、それを活用するのはどうでしょうか?
まず始めは固定画面(または夜明けのみの背景)として、ここを扉ページとして砂漠の騎士の概要や設定文を纏める。#全像が映った一枚絵が一つあってもいいかも。
次にSSだけを別ページに分けてまとめる。
ここで背景やページ構成を上記のサンプル画面のものを用いてSSを背景に合わせて並べる。
#一応、「とある砂漠の騎士」が朝、「祈り」を昼、「夕焼けの思い出」を夕方、「帰り道」を夜とする感じで。

こうして始めのトップページで固定ページ(または夜明けを基調とした背景ONLY)と思わせておいて、SSページに進むとスクロールで背景が変わる!とするとインパクトがあるんじゃないかな?

まあ思い付きはこの辺にして本題に移ります。
これまでの設定やSSを一部修正しつつ、纏めてみました。
後、SSに「帰り道」を追加しました。

何か気になる事や誤字脱字等がありましたら、レスでの突っ込みをよろしくお願いします。
それと設定文と「帰り道」に加えた叙事詩風?の一節を消すかこのまま残すか少し迷っているのでアドバイスや感想を貰えると助かります。
#ちょっと仰々しくし過ぎたかなあと思っています。


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”ねえ、おかあさん。やくそくのおはなし、きかせてきかせてー!”
”もう結構遅いんだけど、確かに約束したしねえ。仕方がないか、お話が終わったら直ぐに寝るんだよ?”
”うん!”
”むかしむかし…”
                        満面の笑顔で話しに聞き入る子供と歌い聞かせる様に話を紡ぐ母親


○砂漠の騎士とは 〜その起源と変遷〜

”周囲を満たす砂塵の中を進む砂漠の騎士”
”鋭い眼差しは鷹の様に毅然と行く先を見据え”
”はためく旅装は旗の如く隊商を導く”
”守護の為に曲刀を抜き放ち”
”和睦の為に曲刀を鞘に納め”
”金打の音色を打ち鳴らす”

これはナニワアームズに古くから伝わるお伽噺であるナニワアームズ千夜一夜物語の「砂漠の騎士」に纏わる一節です。
「砂漠の騎士」、この言葉の起源をたどると遥か昔のナニワアームズ建国前の放浪時代にまで遡ることになります。
その頃は老若男女問わず全員が1つのキャラバンを結成して定住の地を求めて世界中の砂漠を巡りながら行商を行っていました。
当時のナニワは魔法に遠く、機械技術もまだ殆ど発達しておらず、その旅路は困難に満ちたものでした。
後に定住の地(現ナニワアームズ)を見出すまでの長く果てない旅の間、ナニワの民を支えたのが砂漠の騎士と称される人々でした。
彼らは砂漠での様々な障害や困難を研鑽によって身に付けた剣技と旅を通して連綿と積み重ねられた経験と知識、そして類まれなる団結力によって克服し、民を守り続けたのでした。
定住の地を見つけ、役目を終えた事で自然解消的に姿を消していった彼らですが、
その功績と姿は人々の心に残り、
その名は「どんな困難な時でも諦めず、大切な人の為にがんばり続ける人」を称える代名詞として、
その物語はナニワなら誰でも1度は寝物語に聞くお伽噺として、ナニワアームズ商藩国に今なお残り続けています。

〜ガイドブック ぶらり藩国ウォーカー ナニワアームズ商藩国の章から抜粋〜


○とある砂漠の騎士のお話

時はナニワアームズ商藩国が隊商として定住の地を求めて世界中の砂漠を渡り歩いていた頃。
赤い砂塵が舞い上がる赤銅色の岩石砂漠と金色の砂砂漠がせめぎ合う境界線に佇む宿場町から話の幕は開かれる。

ゆったりとした旅装をまとった旅人が酒場に訪れると、酒気で鬼のように顔を朱に染めた大男が給仕の少女に絡んでいました。
それを見かねた旅人は毅然とした態度でこう言った。
「やめないか。大の大人が酒の勢いに任せて少女に無理強いとは情けない」
これを聞いた大男は湯気を出さんばかりに憤激し、旅人にそれこそ鬼の如き勢いで殴りかかりました。
されど旅人も黙って殴られはしませんでした。怒りに任せて次々と繰り出される拳をあるいは受け止め、あるいは腕を払い、受け流しました。
息が切れ始めるまで続けた後、これは叶わないと見て取った大男はとうとう思い余って剣の柄を握りました。
それを見た酒場の面々は軽く息をのみ、酒場の空気が静まり返りかえる。
ピンと張り詰めた空気の中、剣を握って気が大きくなった大男が脅し文句を口にしようとした瞬間、被せる様に旅人はこう告げました。
「剣を抜き放つという事は如何に酒に酔っていたとは言え、相手だけで無く自身も切られる立場に身を置くという事。本当に良いのだな?」
高ぶるでもなく、憤るでもなく、当たり前の心構えを静かに語るように、真摯な意志が込められた声が大男の耳朶を打つ。
その声に釣られるように大男が向けた視線の先には旅人の鋭いまなざしがあった。
そのまま両者は動きを止め、対峙し始め、じりじりと静かに弓の弦を引き絞るように時間と共に高まる緊迫感。
高まる緊張と全てが時間を忘れたように静止した店内で遂に動いたのは、旅人の気迫に圧されるように逸らされた大男の視線でした。
大男はすっかり酔いが醒めたかのような蒼白の顔で捨て台詞をはいてスゴスゴと店を退散したのでありました。
ほっとした安堵の息と共に酒場を満たす歓声と感謝の声。
その騒動が収まった後、一杯のお酒を注文し、周辺地域の情報を尋ねた終えた旅人は静かに酒場を後にしたのでした。

/*/

「さあこのお話はこれでおしまい」柔らかな深みのある声が閑静な図書館でひっそりと漂う。
今日も砂漠の騎士に纏わるお伽噺に聞き入っていた俺と話に惹かれて集まっていた子供達は同時に余韻に浸るようにそっとため息を漏らした。
「どうだね、参考にはなったかね?」
この小さな図書館で唯一人の小柄な老司書は真っ白で豊かな髭を扱きながら尋ねる。
「ええ、とても参考になりましたよ。いつもありがとうございます」
そう答えて俺はペコリと礼をする。
「なんのなんの。年寄りの昔話で良ければ何時でも聞きに来なさい」
そういって老司書が笑っていると子供達の中でも人一倍、好奇心旺盛な少女がこう尋ねた。
「ねえねえ、この後はどうなるの?」
「それがねえ、この後については特にお話は伝わって無いんだよ」
老人は少し困り顔でそう告げた。
「えー?続き無いの〜」「そんな〜」「これで終わりなのかあ…」
と口々に残念そうな声を上げる子供達。
その様子を見て老司書は少し思案してから何か思い付いたらしく朗らかな笑顔を浮かべて、こう言った。
「どうしても気になるなら、想像して御覧」

彼がどんな人か?何て名前でどんな事を経験してきたか?彼の仲間達にはどんな人達がいたのか?
そしてこの後、彼の旅がどうなるのか、
彼が守る隊商がどんな事に遭遇し、彼やその仲間たちがどうやってそれらを潜り抜けるか。

想像して御覧。案外そこに答えがあるかも知れないよ?…と

それを聞いた子供達の大半は「えー。無理だよー」とぼやいていたが、
残りの数人は目を輝かせて思案顔で早くも想像の翼を広げていた。
老司書はその様子に嬉しそうに目を細め、真っ白な髭を撫でながら見守っていた。

部屋を照らす暖かな朝の日差しの中、老人と子供達の時間はゆったりと流れていく。


○祈り

「騎士? 誰かに仕えているのか?」

私は雇っているつもりなぞないからな、と女は眉を吊り上げてその者の瞳をねめつける。


「もしも」

その者は、女を宥めるように微笑むと言う。

「もしも私が何かに仕えているとするならば、それはたぶん、正義と慈悲だろう」

「あなたの神のことか?」

首を傾げる女に、その者は首を振る。


「いいや、おそらくは違う」

「私の神はただ、この身を赦すだけだろう」

「・・慈悲と正義、双方が同じ道を示す時は、自分は力を尽くすのみだ」

「だが2つが違う道を示す時、私はいつもひどく迷う」

「慈悲と正義は。 時に私を切り裂く刃のようだ」

「すべての者が悲しまねば良いと思う。
 護りたいと願う。
 自分の腕がもっと広ければと、腑甲斐なく思う。 ・・・だが、自分にできるのはがむしゃらに戦うことだけだった」

「いつも思うのだ。私の取ってきた道は、果たしてどれだけ正しかったのかと。やれるべき事が、もっと他にもあったのではないかと」


乾いた風をはらみ、ひるがえる頭布。
護るためにしか抜かぬと決めた、腰に帯びた半月の剣に触れる。


「・・そうやって、迷い苦しんだことを、私の神はご存知だ。ゆえに、私はいまだ裁かれずここに在る」

「あなたはいつも正しいぞ。 それに文句をつけるならば、私があなたの神に文句を言う。”ならば自分でやってみろ”と」

むくれて口を尖らせる様に苦笑して、遠く広がる砂丘に目を移す。

果てのない問いは、まるでこの地の砂粒を数えるが如くのようでもある。


「道は、見つかるか?」

その声に、振り返らず顔を上げて笑ってみせる。
遠く、遠く遥かな彼方を見据え。

「さて? ・・今もまだ。迷ってもなお、迷うが故に、ただ、進まねばならぬのだろう」

「一歩でも<それ>に近づくために」


聞こえるものと云えば、風に流れる砂の音と、そして己の鼓動。
何もないと見える世界で、ふいに空気が動いた。

「・・・・では、私は祈ろう。よい風が、いつもあなたの背を押すようにと」


○夕焼けの思い出

ナニワアームズ商藩国の地上部にある飛行場の管制塔の一角にある休憩室。
窓から差し込む夕日を浴びながら一人の老パイロットは外の景色を眺めていた。
何度も洗った為かすっかり色褪せた略帽を被り、年季が入ったイエロージャンパーを羽織った姿はそれがまるで普段着のように彼に馴染んでいた。
この老パイロット、名をファヒーム=ターリックという は今迷っていた。
最近まで自身の人生最後の大仕事のつもりで参加していた国家プロジェクトでの実績が評価され、政府からオファーが掛ったのである。
もっとも政府からのオファーと言っても特に拘束力があるわけでは無く、個人の都合で辞退したところで何ら支障は無い。
(寧ろ、強制力があったら迷う必要も無かったんだがな。)
ファヒームの口から軽くため息が漏れる。
プロジェクトでの活動を通して、燻っていたパイロット魂は再燃したし、自分の故郷の為に尽力するというのも魅力的だ。
しかし長年の古巣である今の職場を離れる踏ん切りがなかなか付けれなかった。
そして思い悩んでいるうちに、知らず知らずに足は古巣に向いていたのである。
すっかり冷めきった黒さと苦さと安さが取り柄のインスタントコーヒーに口を付ける。
(・・・わかりきっているが、やはり何度飲んでもここのコーヒーは不味いな。)
しかし慣れ親しんだ味でもあった。
口に残る苦さに閉口しつつ、夕焼け空を眺めていると不意に昔の、彼が少年だった頃を思い出していた。

彼の父の名はターリック=サーレハと言う。
厳格な性格で人にも厳しかったが、何よりもまず自分自身に厳しい人だった。
常に研鑽を怠らず、寡黙だがその鋭いまなざしは常に先を見据えていた。
パイロットスーツに身を包み、マフラーを纏ってコクピットに乗り込む父の背は子供心に大変逞しく、また何よりも格好良かった。
そんな父の唯一の趣味が映画観賞であった。
ある日、少年だった俺は父に連れられて、映画を見に行った。
今から振り返るとそれは良くある冒険活劇だった。
滅亡の危機に瀕した小国の飛行機乗りの青年が小国を救う様をその青年に憧れる少年の目を通して描かれたものだ。
それでも当時少年だった俺は目を輝かせてその映画を夢中で楽しんだ。
夕日が沈む黄昏時。
映画の余韻に浸りながらの帰路の途中の事だった。
「やっぱり良いなあ。」
思わず父の口からポロリと零れ落ちたその呟きには確かに憧憬が入り混じっていた。
今は亡き父のその言葉が何故か心に残っていた。

ふと気がつくと夕日は沈みきり、航空用腕時計が示す時刻は夕飯時。
紙コップに残っていたコーヒーを一気に飲み干すと休憩室を後にした。

翌日、俺は新しい門戸を叩いていた。

○帰り道
黄昏時の砂漠の空が赤紫から深い藍色へと刻々とその色彩を移ろわせる。
その鮮やかな空の下に響くリズミカルな呼気。
緩やかな旅装を模した衣装を纏った褐色の肌に珠の様な汗が浮かぶ。
ストレートの銀髪を腰まで伸ばした少女が辺りの様子に気付き、動きを止めて気息を整えようとする。
日が暮れ、家路につく人々の喧騒。そして辺りの人影も段々疎らになっていた。

ナニワアームズ商藩国にはその建国に大きく貢献した砂漠の騎士に纏わる逸話が様々な形を取って今なお残っている。
特に砂漠の騎士をモチーフとした舞踊はお祭り等でも根強い人気を誇る演目の一つである。

少女は習い立ての砂漠の騎士の舞を次のお祭りまでに何とかをマスターしようと日中から熱心に練習を続けていた。

「もう日暮れか…。よし、最後におさらいをして今日の練習の締めにしよう」
そう呟くとパン!と自分の両頬を軽く叩いて気合いを入れる。
目を閉じ、すーっ、と息を深く吸い込み深呼吸。そしてゆっくりと息を吐く。
すっと周囲の喧騒が遠のき、入れ替わるように脳裏に歌詞を浮かべる。

”周囲を満たす砂塵の中を進む砂漠の騎士”

静かに両腕を持ちあげ、軸足を下げてポーズを取る。
頭の中で舞踏のリズムを強くイメージする。
トン…トン…トン。トン…トン、トン。トン、トン、トン!
次第に鮮明になっていく律動。

”鋭い眼差しは鷹の様に毅然と行く先を見据え”

パチリと開いた眼差しは真っ直ぐに前を見据える。
リズミカルな律動に合わせて緩やかに舞い始める。
奔放に伸びる褐色の腕、リズムと共に身体を跳躍させるしなやか足腰。
くるりと身をひるがえし、銀砂の髪が弧を描く。

”はためく旅装は旗の如く隊商を導く”

サアッと夜気を含んだ砂漠の涼風が吹き流れ、ゆったりとした衣装が風をはらんで宙になびく。
空は深い藍色から一番星が瞬く夜空へと姿を変えていた。

”守護の為に曲刀を抜き放ち”

そのまま流れるような所作で少女は腰の練習用の模造刀を抜き放つ。
銀色の刀身が満月の光を受けて三日月のように輝く。
途端に戦いの激しさを物語るようにテンポが跳ね上がる。
地上に落ちた三日月がときに山なりに、ときに弧を描き、リズミカルな呼気と共に変幻自在に砂漠の上を滑りゆく。
さらにリズムは加速され、舞いは熱を帯びてクライマックスへと突き進む。

”和睦の為に曲刀を鞘に納め”

テンポが最高潮に達した瞬間に少女は右手に逆手に握った三日月を頭上に掲げ、腰の鞘を左手で抜きとる。
一拍後、鞘を刃の先端に寄せるとそのまま左手を右手に合わせるように持ち上げていき、納刀。

”金打の音色を打ち鳴らす”

キンッ。涼やかな金打が辺りに響き、律動は静まり鞘に納めた曲刀を捧げるように掲げたままピタリと静止する。
宙に舞っていた衣装が鎮まる。

「ふう。」
少女が一息つくと張り詰めていた空気が弛緩し、少女は腕を頭上に挙げたまま、うーんと背を伸ばす。
「うん、我ながら会心の出来♪」
と、パチパチパチと突然拍手が鳴り響く。
驚いた少女が音の方に視線をやると何時の間にか家路に向かう足を止めて集まっていたギャラリーがやんややんやの大喝采。
激しい運動で上気していた顔が見る見るうちに真っ赤に染まる。
恥ずかしげにペコリとギャラリーに頭を下げると大慌てで少女は家路に着いたのであった。


/*/

”こうして一行は無事旅を続ける事ができたとさ、おしまい。”
”・・・”
                        すやすやと寝息を立てて眠る子供とにっこりと微笑み、その寝顔を見守る母親


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