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ナニワ作戦会議BBS
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  [No.1548] ss 計画・桑の木 投稿者:うさぎ  投稿日:2010/09/20(Mon) 23:16:33

承前:企画発動

「おはようございます、うさぎさん。
 いまお時間よろしいですか?」
「あ、うん、おはようさん。
 ちょっと待ってくれ、ここだけやっちゃうから」

今やっているのは自動防衛施設のプログラム改良だ。
こう言うのはこまめに手を入れないとあっという間に陳腐化してしまうのである。
不具合が出た時だけ対応していたのでは、ちょっとした新技術、新戦術に無力化されてしまう。

「……さて、休憩代わりに話を聞こうか」
「ありがとうございます。
 実は、今度の産業育成なんですが繊維産業に手を出そうと考えていまして」
「ああ、この前の会議でやってた奴な。
 ラインを作れって言うなら、必要人数動員できると思うよ。
 材料の輸入ルートと出来た製品の販売ルートさえ考えてもらえば……」
「そうじゃなくってですね。繊維開発そのものをやります。
 出来るだけ高品質高性能な奴を作って、その繊維素材で製品を作ってそれを産業にすることになりました。
 想定購買層は主に藩国外、もっと言うと帝国とかの中、高所得層です」

なん…だと…?

「おい、うちで繊維って言ったらI=Dに使ってる馬鹿高い軍事品と、冶金工場で使ってる化学繊維の類じゃねぇか!
 おっまえ、0から開発って何処まで無茶振りする気だ!」
「でも、そこがナニワっぽいでしょ?
 それに砂よけコートなんかに使ってる、伝統工芸品なんかも潜在技術です。
 あとは高級西国人の正装とか。ほら、結構あるじゃないですか。
 大体、普通の量産品じゃ帝国に価格面で太刀打ちできないんですよ。
 高級品志向で、ちょっと奮発して買うならナニワブランドみたいな」

毛長怪獣ウルールの毛織物は諸般の事情から使えなくなったが、すぐに代替品を探してくるのがナニワアームズであった。
実は羊を育てるのに標高の高い土地と言うのは必ずしも必要でない。涼しくて乾燥した気候と、十分な食料さえあれば条件を満たすのであった。
乾燥した土地に穴を掘って住んでいるナニワアームズは実は羊の育成に向いていたのである。(羊は明るいところが好きなので採光のために穴を開けたこともあってますます羊向きの環境になっている)
そう言った難しい理屈が分からなくても試しに輸入して飼い始めた家がでて来れば(そして成功すると)それをまねする家が出てくるものである。
そういった意味では、畜産技術、製糸技術がまったく無いと言う訳ではなかった。
それを機械技術を入れて拡大してやれば良いとのアイディアだったのだが、そんなものそんな簡単にいくはずも無い。
開発スタッフはいつも通りに地獄を見るのであった。

「じゃ、方法論は任せましたのでがんばって技術発掘してください」

うさぎは、いつも通りに後で〆てやると心に誓った。


1:桑の木

実は羊と言うのは草を食べて育つイメージがあるが割と雑食である。魚粉などを食べさせるところもあるようだ。
特に繊維質の多い葉を与えるところもあり、羊のご飯=草と言うのは当てはまらないのである。
それなら蚕と一緒に桑の葉を食べさせれば良いではないかと言う発想である。
実際、桑羊と言う桑を食べて育てた羊と言うものには前例がありこれに倣うこととした。

クワの木は成長が早く、大きく育つ。(植えて2・3年で収穫可能な大きさに育つ)
今から植林して桑畑を作っても何とかなりそうな種類で、適度に現実的なプランであった。

「これ全部覚えるんですか?データベースに入れて必要なときに閲覧って言う方式じゃ…」

まかされたうさぎが実働担当に雇ったバイトのえにし君(18)は、よく言うと要領のいい子でいつも楽して勝とうと言う事ばかりを考えている。
あれこれ考えるのが好きなのを見込んで雇ったのだが、すきあらば楽をする手口を考えるのが玉に瑕である。

「手間だけ考えれば実例の集約と閲覧をシステム化してもいいんだけどな。
 例えば土のphを酸性にするって言う対策を持った病気の症状が出たとしようか。
 これを見たときに誰かがデータベースに侵入してphをアルカリ性にしろって書き換えられてたらどうするんだ。
 そう言うサイバーテロの危険性をわざわざ抱え込む必要も無いだろう」
「そりゃぁ……そうですけど……」
「そもそもうち林業とかやったこと無いのにうまくいかねぇよ。
 毎年幹や枝を切って株面をつくって、仕立てをやるとか初めて知ったぞ。」

空に向かってぼやいてみるうさぎ。
難しい事は分からないバイト君。

「えーっと、なんで仕立てなんかやらないと駄目なんですか?」
「蚕って言うのは農薬の類が全部駄目なんだよ。病害虫の防除をやるには背が低いほうが良いらしい」
「うちって地下農場のノウハウがありますよね? 密室で育てればそう言うのは気にしなくって良いんじゃないですか?」
「あ」

http://dorill.at.webry.info/200612/article_5.html
まさかの地下王国の勝利だった。
さらに外界からシャットアウトされた施設なら極端な話砂漠のど真ん中でも第4層の隅っこにも設置可能である。
とりあえず調べて真似する所からはじめようとするうさぎと、何とか楽できないか考えるえにし君。
実はいいコンビなのかもしれない。

1頭の蚕は、幼虫の間に桑の葉換算で約20枚を食べる。
通常の桑園からは、10a(100m^2)で年間約2tの桑の葉が取れ、6万頭の蚕を養い、100kgの繭ができる計算だ。
ナニワ式では高刈仕立式(1mくらい)よりもさらに背を高く出来るため初期投資と設備費用をかんがみて差し引きプラスマイナス0程度だと見込まれている。

ちなみに桑の木は木苺のような甘い実をつけるうえに葉をてんぷらにして食べるところもあるそうだ。
有事の際には食料として使う事も出来るのではと期待される。


#ごめんなさい製糸部分は作業中です


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