会議の様子を参考にSSを1本書いてみました。 何か気になる事があればビシバシとツッコミをお願いします。 #後、各PCが出ている場面で自分ならこういう言い回しをしそうとかがあれば是非レスをお願いします。 後、今までのSSでは守上摂政と書いていた部分を一先ず暮里藩王と置き換えてみたんですが、もし他の呼称の方が良ければそれもレスをお願いします。 #なんというか字面が少し勇ましいかなあとか思ったり。暮里女王とか暮里王女とかの方が良いかな?
/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
○ナニワ繊維開発物語
東には富士山、南には海が臨む広大な砂漠、その真ん中で交差する交易路を通る行商人の憩いの場であるオアシス。 オアシスの周辺では12個の吹き抜けが開き、地下に風とお日様を届ける。 風が通り、お日様が差し込む地下都市ナニワアームズの一角にナニワ行政庁は今も昔も変わらずにポツンと佇んでいた。
そして相変わらずにおコタとその上で丸くなる王猫トラさんを囲んで政府首脳陣は今日も今日とて藩国会議をしているのであった。
/*/
「えー、それでは本日の議題である産業育成についての会議を行う前にまずは現状を整理したいと思います」 ごそごそと蘭堂が取り出した一枚の紙をホワイトボードに貼りつける。 紙面には妙な伸縮を繰り返す棒グラフが描かれていた。 「何?この妙に伸び縮みしている棒グラフ?」 と皆を代表して暮里藩王が疑問を口にする。 「国民の収入の変遷をまとめてみました」 えっへんと胸をはる蘭堂。 「「ああー、な、なるほど。。」」 と異口同音で納得しつつも微妙な表情を浮かべる政府首脳陣。 どことなくショボーンな雰囲気である。 「あ、あれ?そこで落ち込まないで!この現状を踏まえて、どう改善していくかを相談するのが重要なんだから!」 「ま、まあそうですね。話を続けて下さい」 何とか気を取り直した真輝が続きを促す。 「りょーかいです。ゴホン!では改めて説明を続けさせて貰います」 「グラフが示すように山あり谷ありな我が藩国の経済状況ですが冶金工場完成後に鉱山が主要産業になった後は資源頼りの状態が続いていました」 「そして我が藩国の国民の台所事情にダイレクトにダメージを与えた原因はデフレ以外としては鉱山が使えなかったり、資源の価値や需要が下がった事が原因でした」 「つまり主要産業が資源1本という状態は非常に脆く、資源の価値と国民の台所事情がダイレクトに連動してしまいます」 「ライバルとして海外の資源産出地が沢山ある上に、今後、T18の局面を乗り越えた後は情勢も落ち着いて軍需が下がると予想されるので資源の需要も更に下がると思います」 「このまま鉱山一本では藩国の経済は苦境に立たされると予想できます。そこで新しい産業の柱が必要になってきます」 「幸い、産業育成準備が好調に推移したお蔭で繊維産業が興ってきました」 ふむふむとメモを取ったり、思いを巡らしたりする一同。 「ラグドールも好評で無事、共通機に採用されたしね」 と暮里藩王。 「ですな。うちの藩国の技術力の高さが認められたって事だと思います」 「そして乃亜さんのショップ経営のお蔭で藩国民の技術者の間でも繊維に関心が集まってそうです」 「そこで今こそ以前からプランが練られていた繊維産業にまつわる新素材の開発を本格的に始動するタイミングでは無いかと思います」 そう説明を終えるといそいそと蘭堂はおコタに戻り、ミカンを摘まむ。 「なるほど。確かに良い頃合いだね。よし、うちの技術力を活かした繊維での新素材の開発を進めよう」 藩王の鶴の一声に皆が頷く。 「それでどんな繊維にします?」 と乃亜が疑問を提示し、それに暮里藩王が答える。 「うん。それには腹案があってね」 「うちは地下に鉱脈あるし冶金工場もあるから、工場から出る排水とか排煙とかをクリーンにする技術って研究もされてるはずだし、濾過技術がそこそこあるはずなんだよね」 「なので、そういうのに適用できる高性能なフィルターとかが良いかな」 「そうなるとナノファイバーという繊維を開発できればフィルターだけでなく、他の事にも応用できそうです」 真輝が情報を漁りつつ、候補をピックアップしていく。 「うんうん。良いね。ではこうしよう、まずはナノファイバーを開発し、その適用例として濾過フィルターに適用してみる。上手くいけばそれを商業展開を考えると」 「蘭堂さん、どう?こういう方向でプロジェクトを進められそう?」 「うーん、何とか行けそうですね。来週辺りに企画書をまとめ直して提出します」 「了解ー。蘭堂さんはそれでよろしくー。じゃあ真輝さんは引き続き・・」 テキパキと指示を出し始める暮里藩王とそれを受けて動き始める政府首脳陣。
その様子をおコタの上で眺めていたトラさんが「にゃーん」と満足そうに一鳴きするのであった。
/*/
蘭堂が国内の技術者を集めて、本格的なプロジェクトチームを発足させて方向性や中間目標を示し、 真輝は技術資料・論文等の収集や整理、プロジェクトの研究成果の管理等を行い、 乃亜は繊維に関する知識面でのサポートやアドバイス、フォローを行う。 そして暮里藩王が全体の進捗を管理し、必要に応じてコテ入れを行った。
こうして政府首脳陣が忙しなく動き始める。 プロジェクト始動を知らせるポスター等の告知が行われ、繊維に興味を持っていた技術者の何人かが足を止めてポスターを覗き込む。 数人がプロジェクトの参加を表明し、早速、研究室や工場が整備され始める。 少人数の為に進みはゆっくりだが目新しい分野である為に日々新しい発見の連続に思わず小躍りするスタッフ一同であった。 そんな楽しげな雰囲気を目にした他の技術者や研究者が数十人、足を止めてパンフレットを見直す。 そして次の日には十数人が新たにプロジェクトへ参加した。(そして面接をした政府首脳陣も大忙しであった)
少しずつ利用者が増えていく研究室や工場の食堂に調理師のおばちゃん達もそろそろ本気出して頑張るかと腕まくり。
「ただいまー」 そう声をかけて帰宅した、とある商人の旦那さん。 「「おかえりー」」と子供達が嬉しそうに出迎え、思わず旦那さんの顔が綻ぶ。 仕事着から普段着に着替えていると最近、やけに張り切っている妻の様子にふと気が付いた。 そこで家族揃って晩飯を食べながら軽く尋ねてみた。 「そういえば最近何か嬉しい事でもあったのかい?」 子供の口のまわりについたケチャップを拭き取ってあげながら、食堂のおばちゃんが答える。 「それがねえ、最近、発足したプロジェクトが好調らしくて、技術者や研究者の人達が張り切っていてね。うちも負けてられないからねえ」 「ほうほう、なるほど」と相槌を打ちつつ、これは商機がありそうだと考え始める商人の旦那さんであった。
こうして始めはゆっくりと進み始めたプロジェクトは次第に規模と勢いを増してナニワアームズ商藩国全体の規模へと広がっていくのであった。
/*/
「プロジェクトの進捗具合はどう?」と蘭堂に尋ねる暮里藩王。 「良好ですね。始めは少し手間取りましたが、最近はスタッフも充実してきましたし、段々興が乗ってきたのか皆の意欲も高いです」 「勿論、繊維という新しい分野だけに日々、色々な課題が発生していますが、それを上回る熱意で次々と課題がクリアされています」 と資料を確認しながら蘭堂が答える。 「後、1ヶ月ぐらいで具体的な成果が形になりそうですね」 「そっかそっか。それは何よりだね」
/*/ それから1ヶ月後、毎度おなじみ政庁の一室。
「以上の様に各種フィルターにナノファイバーを応用した結果、工業用汚染水のろ過装置とか空調フィルターで大幅な性能の改善が見られました」 「多少、従来のフィルターよりはコストがかさみますが、効率はこちらの方が遥かに上ですね」 と真輝が研究成果を政府首脳陣に発表した。
「「なるほどー」」
「良い感じですね」「うんうん」 と政府首脳陣が好調な成果に喜んでいると、バターンと扉を開いて暮里藩王が勢いよく入ってきた。 「おーい、皆、聞いて聞いて」
「どうしたんですか、そんなに慌てて?」 乃亜が声をかけると 「うん、研究成果を元に軽く他藩国に売り込みをしてみたんだけど、閉鎖環境を持つ藩国の手応えが中々良くてね」 「何と海法よけ藩国さんからは早速オファーが掛かったよ!」
「おお凄い!」 「他藩国から早速オファーとは幸先がいいですね」 「うん、この調子で商業化目指して頑張ろう!」
「「おー!」」
こうしてプロジェクトは更に商業化を目指して邁進するのであった。
/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
#ちなみにB海法等によるなりすまし対策として個人ではなく、藩国同士の交渉という事でちょっとぼかしてみました。
|