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ナニワ作戦会議BBS
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  [No.1924] SS01草稿その2 投稿者:蘭堂 風光@ナニワアームズ商藩国  投稿日:2014/04/29(Tue) 11:48:09

後半部分を企業を絡めるように幾つか手直ししてみました。
こんな感じでどうですかね?引き続きツッコミよろしくです。
#ちなみにもう1つSSを検討中なんだけど、そっちは粗筋とオープニングを書いた所で筆が止まっています。ちょっと時間が掛かりそう。

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○ナニワ繊維開発物語

東には富士山、南には海が臨む広大な砂漠、その真ん中で交差する交易路を通る行商人の憩いの場であるオアシス。
オアシスの周辺では12個の吹き抜けが開き、地下に風とお日様を届ける。
風が通り、お日様が差し込む地下都市ナニワアームズの一角にナニワ行政庁は今も昔も変わらずにポツンと佇んでいた。

そして相変わらずにおコタとその上で丸くなるトラさんを囲んで政府首脳陣は今日も今日とて藩国会議をしているのであった。

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「えー、それでは本日の議題である産業育成についての会議を行う前にまずは現状を整理したいと思います」
ごそごそと蘭堂が取り出した一枚の紙をホワイトボードに貼りつける。
紙面には妙な伸縮を繰り返す棒グラフが描かれていた。
「何?この妙に伸び縮みしている棒グラフ?」
と皆を代表して暮里摂政が疑問を口にする。
「国民の収入の変遷をまとめてみました」
えっへんと胸をはる蘭堂。
「「ああー、な、なるほど。。」」
と異口同音で納得しつつも微妙な表情を浮かべる政府首脳陣。
どことなくショボーンな雰囲気である。
「あ、あれ?そこで落ち込まないで!この現状を踏まえて、どう改善していくかを相談するのが重要なんだから!」
「ま、まあそうですね。話を続けて下さい」
何とか気を取り直した真輝が続きを促す。
「りょーかいです。ゴホン!では改めて説明を続けさせて貰います」
「グラフが示すように山あり谷ありな我が藩国の経済状況ですが冶金工場完成後に鉱山が主要産業になった後は資源頼りの状態が続いていました」
「そして我が藩国の国民の台所事情にダイレクトにダメージを与えた原因はデフレ以外としては鉱山が使えなかったり、資源の価値や需要が下がった事が原因でした」
「つまり主要産業が資源1本という状態は非常に脆く、資源の価値と国民の台所事情がダイレクトに連動してしまいます」
「ライバルとして海外の資源産出地が沢山ある上に、今後、T18の局面を乗り越えた後は情勢も落ち着いて軍需が下がると予想されるので資源の需要も更に下がると思います」
「このまま鉱山一本では藩国の経済は苦境に立たされると予想できます。そこで新しい産業の柱が必要になってきます」
「幸い、産業育成準備が好調に推移したお蔭で繊維産業が興ってきました」
ふむふむとメモを取ったり、思いを巡らしたりする一同。
「ラグドールも好評で無事、共通機に採用されたしね」
と暮里摂政。
「ですな。うちの藩国の技術力の高さが認められたって事だと思います」
「そして乃亜さんのショップ経営のお蔭で藩国民の技術者の間でも繊維に関心が集まってそうです」
「そこで今こそ以前からプランが練られていた繊維産業にまつわる新素材の開発を本格的に始動するタイミングでは無いかと思います」
そう説明を終えるといそいそと蘭堂はおコタに戻り、ミカンを摘まむ。
「なるほど。確かに良い頃合いだね。よし、うちの技術力を活かした繊維での新素材の開発を進めよう」
藩王の鶴の一声に皆が頷く。
「それでどんな繊維にします?」
と乃亜が疑問を提示し、それに暮里摂政が答える。
「うん。それには腹案があってね」
「うちは地下に鉱脈あるし冶金工場もあるから、工場から出る排水とか排煙とかをクリーンにする技術って研究もされてるはずだし、濾過技術がそこそこあるはずなんだよね」
「なので、そういうのに適用できる高性能なフィルターとかが良いかな」
「そうなるとナノファイバーという繊維を開発できればフィルターだけでなく、他の事にも応用できそうです」
真輝が情報を漁りつつ、候補をピックアップしていく。
「うんうん。良いね。ではこうしよう、まずはナノファイバーを開発し、その適用例として濾過フィルターに適用してみる。上手くいけばそれを商業展開を考えると」
「蘭堂さん、どう?こういう方向でプロジェクトを進められそう?」
「うーん、何とか行けそうですね。来週辺りに企画書をまとめ直して提出します」
「了解ー。蘭堂さんはそれでよろしくー。じゃあ真輝さんは引き続き・・」
テキパキと指示を出し始める暮里摂政とそれを受けて動き始める政府首脳陣。

その様子をおコタの上で眺めていたトラさんが「にゃーん」と満足そうに一鳴きするのであった。

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プロジェクト本格始動に伴い、まず最初に行われたのは研究スタッフを始めとした人員の確保である。
研究者・技術者については
・過去のラグドールの開発プロジェクトで実績がある人物を通して各種企業、町工場等にスタッフを募集。
・乃亜が服飾業を経営している経験とコネを活かして国内の有望な企業や工場にナノファイバー開発に興味や意欲がある人材の派遣を依頼。
・I=D工場などの国営施設に勤務している藩国専属の研究者グループからはベテランを派遣。

営業や事務方については
・事務方は普段政庁で一緒に働いている気心が知れた人材を派遣。
・営業には政府の広報部に加えて、国内の個人商店組合を介して意欲のある商人達の紹介を依頼。

と言った方法で募集され、政府首脳陣による面接を行って最終的なプロジェクトチームが決定、発足した。

その後は蘭堂がプロジェクトチームとの交渉や研究の方向性・中間目標の提示を、
真輝が技術資料・論文等の収集や整理、プロジェクトの研究成果の管理等を、
乃亜は繊維に関する知識面でのサポートやアドバイス、フォローに加えて広報や営業の管理を行う。
そして暮里摂政が全体の進捗を管理し、必要に応じてコテ入れを行った。

こうして政府首脳陣が忙しなく動き始める。
広報部を通してプロジェクト始動を始めとしたプロジェクトの進捗はポスターやラジオによって積極的に国内への広報活動が行われ、
研究・開発に必要な機材の発注が国内の町工場にも順次行われた。
プロジェクトの本拠地には臨時の寄宿舎等も整備され、周辺には研究スタッフ達の胃袋を満たす様々な飲食店の店舗や屋台が立ち始める。

プロジェクトが進むにつれて拠点を中心に活況が広がり、有用性を感じ取った国内のメーカーや企業、商人達もプロジェクトの積極的な参入を検討しはじめた。

始めはゆっくりと進み始めたプロジェクトは次第に規模と勢いを増してナニワアームズ商藩国全体の規模へと広がっていくのであった。

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そびえるように積み上げられた資料の山。
その合間からは蘭堂と真輝が打ち合わせを行ったり、プロジェクトの進捗資料に目を通している様子が見え隠れする。
ちなみに乃亜嬢は広報の為に外回りである。
コンコンと開かれたままの入り口の扉を軽くノックして暮里摂政が様子見に現れる。

「プロジェクトの進捗具合はどう?」と蘭堂に尋ねる暮里摂政。
「中々好調ですねえ。事前に行ったプレゼンが功を奏したのか、どの企業も結構優秀な人材を出向してくれたみたいです」
「みんな意欲が高くて発想も柔軟、うちの国営施設専属のベテラン研究者達の研究ノウハウも吸収しているようで徐々に成果が上がってきています」
「お蔭で繊維という新しい分野だけに日々、色々な課題が発生していますが、それを上回る熱意で皆が次々と課題をクリアしていますね」
「なるほどなるほど」
「ただ参入希望の企業も増えていてプロジェクトの規模が多くなり始めているので手伝いの増員をお願いしたい所です」と真輝。
「分かった。その辺は任せといて、心当たりがあるから」
「後はそうですねえ。このペースなら後1ヶ月ぐらいで具体的な成果が形になりそうですね」
と資料を確認しながら蘭堂が答える。
「そっかそっか。それは何よりだね」

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それから1ヶ月後、毎度おなじみ政庁の一室。

「以上の様に各種フィルターにナノファイバーを応用した結果、工業用汚染水のろ過装置とか空調フィルターで大幅な性能の改善が見られました」
「多少、従来のフィルターよりはコストがかさみますが、効率はこちらの方が遥かに上ですね」
と真輝が研究成果を政府首脳陣に発表した。

「さらに藩国専属の研究スタッフがこれまでの藩国規模のプロジェクトを通して積み上げていた研究開発や安全管理、機密情報の取り扱い方等のノウハウも各企業から出向して貰っていた研究者・技術者へ上手く伝播する事が出来たかなと」
「そしてナノファイバーの研究成果に手応えを感じたのか本プロジェクトに参入していた企業の幾つかで新人研究者や技術者の新規雇用が増えているみたいで研究部門の新設を検討していそうです」
と引き継ぐように蘭堂がプロジェクト参入企業の動向を軽く紹介した。

「「なるほどー」」
「良い感じですね」「うんうん」

そうして政府首脳陣が好調な成果に喜んでいると、バターンと扉を開いて暮里摂政が勢いよく入ってきた。
「おーい、皆、聞いて聞いて」

「どうしたんですか、そんなに慌てて?」
乃亜が声をかけると
「うん、研究成果を元に軽く他藩国に売り込みをしてみたんだけど、閉鎖環境を持つ藩国の手応えが中々良くてね」
「何と海法よけ藩国さんからは早速正式なオファーが掛かったよ!」

「おお凄い!」
「他藩国から早速オファーとは幸先がいいですね」
「うん、この調子で商業化目指して頑張ろう!」

「「おー!」」

こうしてプロジェクトは更に商業化を目指して邁進するのであった。

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