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  [No.1352] 新アイドレス作業用スレッド 4 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 22:40:26

前のが長くなったので改めてたて直します。

新アイドレスおよびHQ化作業用のスレッドになります。


  [No.1353] 【砂漠の騎士】 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 22:41:06


  [No.1355] 要点 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 22:59:23

【パイロット】
L:パイロット = {
 t:名称 = パイロット(職業)
 t:要点 = パイロットスーツ,マフラー
 t:周辺環境 = 飛行場


【名パイロット】
L:名パイロット = {
 t:名称 = 名パイロット(職業)
 t:要点 = 略帽,イエロージャンパー,航空用腕時計
 t:周辺環境 = コクピット


【砂漠の騎士】
L:砂漠の騎士 = {
 t:名称 = 砂漠の騎士(職業)
 t:要点 = 鋭いまなざし,ゆったりとした服,曲がった剣
 t:周辺環境 = 砂漠


  [No.1354] 【ロードランナー】 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 22:42:11

ロードランナー用作業スレッドです。

現在、設定文で蘭堂さんが立候補。
http://arktos.noor.jp/naniwa/wforum.cgi?no=1313&reno=1312&oya=1043&mode=msgview

他、イラスト作業者募集中。絶賛募集中。


  [No.1356] 要点 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 23:01:12

【ロードランナー】
L:ロードランナー = {
 t:名称 = ロードランナー(職業)
 t:要点 = 歴戦の,歩兵,走る
 t:周辺環境 = ジャングル


【特殊部隊員】
L:特殊部隊員 = {
 t:名称 = 特殊部隊員(職業)
 t:要点 = 迷彩服,ベレー帽
 t:周辺環境 = 演習場


【FO】
L:FO = {
 t:名称 = FO(職業)
 t:要点 = 野戦服,地図,双眼鏡
 t:周辺環境 = 密林


  [No.1377] 設定文の草稿その1 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/07/17(Sat) 23:15:28

何度も検討しているうちに以前に言っていた対テロを前面に押し出すのはちょっと厳しいと感じるようになったので、ちょっと方向転換しました。
進捗報告として今の段階の草稿や予定を書いておきます。
感想やご意見などがありましたら、レスをお願いします。
#参考にさせてもらいまーす。

/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−以降は草稿

偵察とは敵や相手の様子をこっそり探る事である。
そして偵察には一般的な偵察である先行偵察と戦闘後の地域を調査する戦果確認の2種類がある。
余り聞き慣れない戦果確認とは具体的に言うと爆撃や砲撃を加えた地域が実際にどのような影響を受けているか、
誤爆は無かったか等を現地にいって調査し、記録を取る仕事である。
しかし戦果確認についてはこれまでクローズアップされる事は余りなく、
自他共に認める偵察の国であるナニワアームズ商藩国でもFOが兼任で行っていたに過ぎなかった。

そんなある日、日々手強くなってくる敵勢力から国民・国土を守る為に他の藩国同様、ナニワアームズ商藩国でも戦力の増強が計画された。
計画の骨子はパイロット職と歩兵職の2本柱を主軸とし、お互いに得手不得手をフォローするというものである。
というのも、評価値が高く主力となり得るI=D部隊では治安維持や市街戦、長期間に渡る国土や国民の防衛には不向きであり、
また機械なので当然ながら低物理域では活動する事すら叶わない為である。

そして役割分担は偵察についても同様に検討される事になった、つまり先行偵察と戦果確認である。
先行偵察については採用予定である偵察パイロットが受け持つ事が検討されていたが、
乗り物での偵察が主体となるので当然ながら細かい調査が必要となる戦果確認は実質不可能と言える。
そこで今回、新たに戦果確認を専門とする歩兵職業として白羽の矢が立ったのがロードランナーである。

/*/
ロードランナーとは
 歩兵部隊の最小単位である班レベルで動く部隊であり、
 爆撃や砲撃を行った後の地域の状態を見る戦果確認を主任務とする。
 乗り物には乗らずに自前の足で奥地までいって、そこで得た情報を記録し、持ち帰る事が役目。
/*/

ナニワアームズ商藩国におけるロードランナーが守るべき鉄則は2つある。
1つは現地まで赴き、そして生還する事。幾ら情報収集が上手くてもそれを本隊に持ち帰れなくては意味が無いのである。
情報を伝達するだけなら世の中には無線機という便利な文明の利器は確かに存在する訳だが、
ナニワにおいてはなるべく低物理域でもある程度の活動が行える事が求められるので結局の所、生還できる事が必須事項である点は揺るがない。
そして2つ目は現地での情報をしっかりと記録してこれを持ち帰る事。言うまでも無く偵察兵の本分である。

この2つの鉄則を守れる実力をロードランナーに習得させる為に次の4つの能力が重視された。
1.走る
  戦果確認を行う現地とは基本的に砲撃や爆撃を加えた場所である敵勢力下の奥地となる事が多い。
  そんな場所を移動する際に騒音を立てたり、痕跡を残しやすい乗り物を使うわけにはいかない為、頼りとなるのは自前の2本の脚となる。
  また敵から逃げる時にも重要である。
  
2.視る
  偵察兵の本分であり、現地で如何に迅速に戦果確認の為の情報収集が行えるかは時に生死を分ける事になると言える。
  
3.隠れる
  地形を友とし、身を潜め、敵をやり過ごす事で奥地へと進む。
  敵を倒す事では無く、偵察情報を持ちかえる事が任務である以上、時には必要となる。
  また銃が使えない低物理域ではより重要度が増す。
  
4.戦う
  敵勢力下で班単独で活動する以上、爆撃を免れた生き残りと鉢合わせをする事も当然ながら考えられるので、
  自衛の為に白兵や射撃など一通りの戦闘技術の習得は必須である。
  

そしてこれら4つの能力をロードランナーに習得させる為の教育・育成プランの作成に、これまでFO等の数々の歩兵を育ててきた歴戦の教官達が奮闘する事となったのである。


/*/ここから次ページ
以降、4つの能力それぞれを1ページ毎に文章をまとめる予定
#育成プランとか、能力習得の為の工夫など。今の所、予定している概要は以下の通り
走る
FOよりもより優れた走力が要求されるが、基礎訓練と栄養管理だけでは(既にFO育成で行っているので)差別化できない。
そこでスポーツ科学に着目し、ブレイクスルーを図る。
例えば富士山麓での高地トレーニング等

視る
これは歴戦の偵察兵のノウハウが伝授される方向性で

隠れる
こちらは偵察兵を仮想敵と見なして訓練。
(偵察兵の偵察を掻い潜れるようになる為の訓練)
またTPOに合わせた野戦服や迷彩服を用意。
#砂漠用とか雪原用、市街戦用、森林・密林用、場合によっては低物理域用等

戦う
特殊部隊員からしっかりとレクチャーを受けて、白兵訓練から拳銃の射撃訓練、CQC、アサルトライフルでの射撃訓練、そして銃の分解整備や即席の槍の作り方等を学ぶ。

/*/
後はSSを1つか2つぐらいの予定。


  [No.1393] Re: 設定文の草稿その1 投稿者:守上@携帯  投稿日:2010/08/09(Mon) 18:54:58

お疲れ様です!かなり遅くなってすみません。

ツッコミレス、させていただきます。




先行偵察については採用予定である偵察パイロットが受け持つ事が検討されていたが、

 ⇒先行偵察についてはパイロットの中から、偵察に特化した選抜チームが組まれる予定であるが
かな?


ロードランナーとは
 歩兵部隊の最小単位である班レベルで動く部隊であり、
 爆撃や砲撃を行った後の地域の状態を見る戦果確認を主任務とする。
 乗り物には乗らずに自前の足で奥地までいって、そこで得た情報を記録し、持ち帰る事が役目。

 ⇒ガンパレで医療物資持って走ってたけど、そういうのとか伝令が主任務だと思ってました………。
機械だとバレるとこを人が変わりにする………だと偵察兵と変わらないのかな。

戦果確認だと、戦闘終わってからが出番???



その他の設定に関しては問題ないというか、バッチリだと思います。

ありがとうございますー!!


  [No.1561] 設定文の草稿2 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/10/11(Mon) 21:56:05
設定文の草稿2 (画像サイズ: 494×305 22kB)














えーっと、遅くなりましたが、ロードランナーの設定文が一通りできました。
後はこれにSSを1つか2つ最後のページに加えれば完成かなあと考えています。
感想やご意見などがありましたら、レスをお願いします。


/*/

偵察とは敵や相手の様子をこっそり探る事である。
そして偵察には一般的な偵察である先行偵察と戦闘後の地域を調査する戦果確認の2種類がある。
余り聞き慣れない戦果確認とは具体的に言うと爆撃や砲撃を加えた地域が実際にどのような影響を受けているか、
誤爆は無かったか等を現地にいって調査し、記録を取る仕事である。
しかし戦果確認についてはこれまでクローズアップされる事は余りなく、
自他共に認める偵察の国であるナニワアームズ商藩国でもFOが兼任で行っていたに過ぎなかった。

そんなある日、日々手強くなってくる敵勢力から国民・国土を守る為に他の藩国同様、ナニワアームズ商藩国でも戦力の増強が計画された。
計画の骨子はパイロット職と歩兵職の2本柱を主軸とし、お互いに得手不得手をフォローするというものである。
というのも、評価値が高く主力となり得るI=D部隊では治安維持や市街戦、長期間に渡る国土や国民の防衛には不向きであり、
また機械なので当然ながら低物理域では活動する事すら叶わない為である。

そして役割分担は偵察についても同様に検討される事になった、つまり先行偵察と戦果確認である。
先行偵察についてはパイロットの中から、偵察に特化した選抜チームが組まれ、これにあたる予定であるが、
乗り物での偵察が主体となるので当然ながら細かい調査が必要となる戦果確認は実質不可能と言える。
そこで今回、新たに戦果確認を専門とする歩兵職業として白羽の矢が立ったのがロードランナーである。

/*/
ロードランナーとは
 歩兵部隊の最小単位である班レベルで動く部隊であり、
 爆撃や砲撃を行った後の地域の状態を見る戦果確認を主任務とする。
 乗り物には乗らずに自前の足で奥地までいって、そこで得た情報を記録し、持ち帰る事が役目。
/*/

ナニワアームズ商藩国におけるロードランナーが守るべき鉄則は2つある。
1つは現地まで赴き、そして生還する事。幾ら情報収集が上手くてもそれを本隊に持ち帰れなくては意味が無いのである。
情報を伝達するだけなら世の中には無線機という便利な文明の利器は確かに存在する訳だが、
ナニワにおいてはなるべく低物理域でもある程度の活動が行える事が求められるので結局の所、生還できる事が必須事項である点は揺るがない。
そして2つ目は現地での情報をしっかりと記録してこれを持ち帰る事。言うまでも無く偵察兵の本分である。

この2つの鉄則を守れる実力をロードランナーに習得させる為に次の4つの能力が重視された。
1.走る
2.視る
3.隠れる
4.戦う

以降はこれら4つの能力に焦点を当てて、ナニワアームズ商藩国におけるロードランナーを見てみよう。

/*/ここから次ページ


#これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

1.走る

ロードランナーを特徴付ける性質の1つが走る事に特化しているという点である。
これはロードランナーの主任務である戦果確認と密接に関係している。

戦果確認は敵地への爆撃や砲撃の成果を確認する為に自軍が完全には制圧できていない地域で偵察を行う事になる。
その為、情報収集が目的の軍事行動である以上、敵の残存勢力が潜んでいる可能性を想定し、なるべく交戦を避けて秘密裏に行う必要がある。
そこで大火力よりも寧ろ痕跡を残さない移動手段が必要とされ、結果として車両を用いない徒歩での機動力に特化した部隊としてロードランナーが登場する事となった。

しかしここに1つの問題点があった。
一般の歩兵にとっても徒歩は基本的な能力である為に基礎訓練は十分に行われており、差別化を図る為に単純にそれらを上回る負荷を与える訓練を行う事は身体への悪影響が懸念されたのである。
そこでナニワアームズ商藩国では訓練による過度な身体への負担をかける事なく、効率的なトレーニングを行う手法としてスポーツ科学的アプローチに着目した。
スポーツ、中でも陸上競技においては走る事は基本中の基本であり、最も研究が進んでいる分野であると言える。
そこで走行フォームや効率の良い筋力トレーニング、高地トレーニング等を取り入れると共に市民病院の医師や栄養士の協力も仰ぎ、四肢の故障や栄養の偏りを配慮した訓練プログラムが作成された。
また個人毎の身体的な能力差を配慮したきめ細かいトレーニングメニューの調整や相談を受け持つ為にコーチやトレーナーの育成にも力が注がれた。

そしてロードランナーの訓練にはスポーツトレーニングのアプローチを取り込んでいるが、純粋なそれとは異なる点もある。
想定される活動エリアが砂漠、森林、ジャングル(密林)、雪原、山岳地帯等の自然の要害とも言うべき入り組んだ場所になりやすい為である。
その為、整地された場所で行われる陸上競技等のスポーツとは異なり、入り組んだ地形の特性を把握し、それらを見事に走破する事を想定した実地訓練も頻繁に行われた。

/*/ここから次ページ


#これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

2.視る

偵察兵にFO、偵察用I=Dバーミーズ。
偵察にこだわりと一家言を持つ者が多いナニワアームズ商藩国において偵察兵は登場以来の長きに渡り、
たとえサイボーグが着用アイドレスから外れようとも常に歩兵と共にあり続けた。
しかし時は流れ、そんな歴戦の偵察兵達にも遂にバトンを渡すタイミングが訪れたのである。
これまで歩兵部隊の変遷を見つめ続けてきた偵察兵達の意気込みは並々ならぬものであり、自分達の後継としてのロードランナーの育成には情熱を注ぐ事となった。

さて、ここで話を少し変えて、彼らが熱意を込めて伝授する偵察について改めて少し述べてみよう。
偵察とは自軍の眼となり、敵の状態や状況を”視る”事である。そして”視る”タイミングによってそれは先行偵察と戦果確認の2つに分けられる。
大雑把に例えるならば、相手を殴る前に”視る”のが先行偵察、殴った後に相手を”視る”事が戦果確認である。
つまり戦果確認とは自分達が行った行動の結果をしっかり見つめるという事であり、アフターフォローの第一歩と言えた。
相手を殴りっ放しにしない為に彼らロードランナーは存在するとも言えるわけである。

閑話休題。バトンを渡す側にまわった歴戦の偵察兵やFO達はロードランナーにおける偵察能力の活用法として2種類の用途に着目した。
1つは当然ながら目的地で情報収集に駆使するという用途。もう1つは敵地奥深くまでの進軍ルート(監視の網目や抜け道等)を見付ける為に駆使するという用途であった。
その為に航空写真や地図を読み取る事を徹底的に教え込み、
その上で砂漠、森林、密林(ジャングル)、山に市街地と言った様々な地形でのフィールドワークを重ねる事で頭と体に地形の性質や地図との関連性等を叩き込んだのである。


/*/ここから次ページ


#これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

3.隠れる

歩兵が隠れる為の手法・装備と聞いて真っ先に思い付くものの1つとして迷彩または迷彩服が挙げられる。
それは遡ればトラを始めとした野生動物が生来的に備えているものでも有り、人が知恵によってそれらを真似て生み出した工夫でもある。
ナニワアームズでは古くから歩兵やバーミーズで光学迷彩を良く用いていたが、今回はそれをそのまま流用する事はできなかった。
というのも、ロードランナーの活動領域の想定エリアの1つである低物理域では当然ながら光学迷彩なんて科学技術の結晶は作動しない為である。
その一方で低物理域では銃器が運用できない以上、ロードランナー達の攻撃手段は白兵に限定され、必然的に隠れる事の重要性は高まる。

故にこの対策が講じられた訳であるが、検討の結果として採用された方法は実にありきたりで冴えないやり方ではあったが、それだけに効果はそれなりに見込めた。
その方法とは……
TPOに合わせて服装を替える!
以上終わりである。

TLOを用いずに実現する方法としてはこれ以外に思い付かなかったわけではあるが、
衣服はそれこそ原始時代にまで遡らない限りは常に人類と共にあった為、シンプルだが無難であると判断したのである。
幸いながら手元には服を作る為の品質の良い布地には困らない事、服飾関連のアドバイザーもいた事からこの頭の悪い手法は実施されたのである。
こうして砂漠、雪原、草原、森林、密林(ジャングル)、山に果ては市街地。様々なシチュエーションに応じた迷彩服が用意される事となった。
ちなみにちくちく手縫いで作る関係上、低物理域用の野戦服が一番高価かつ貴重であり、皆の愛着も一際で高く人気No.1であった。
実際に綻んだり破れても修繕して長い間、愛用する者も多かったそうである。

/*/ここから次ページ


#これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

4.戦う

特殊部隊員という職業がある。
黒を基調としたベレー帽と迷彩服に身を包んだ彼らは日夜、演習場での訓練を欠かさない。
そんな彼らは長い間、ナニワアームズ商藩国の歩兵部隊の戦闘技術の研鑽を影から支え続けた功労者であった。

ロードランナーは敵勢力下で班単独で活動する事が多い為、白兵や射撃等の最低限の戦闘技術の習得は必須である。
そしてロードランナー候補生達がそれらの戦闘技術の習得をする際にも特殊部隊員達の豊富な経験と研鑽が大いに役立つ事となった。

特殊部隊員から出向した教官達はロードランナーの特徴とその任務内容から必要十分な訓練メニューを考案し、これを実践した。

ナイフや銃剣、軍隊格闘術を駆使したCQC(Close Quarters Combat)、拳銃や手榴弾、サブマシンガンを用いた近接格闘、そしてアサルトライフルを用いた射撃戦。
これらの基本戦闘技術に始まり、銃の分解整備から野外でのサバイバル訓練に到るまで単独完結する戦闘単位として機能する為の最低限の技能教育がみっちりと行われた。
それらを受け、ロードランナー候補生達は正にスポンジが水を吸う如く、これらの技術を習得した。
これは各種走力訓練で底上げされた候補生の強靭な足腰や持久力とそれらを合わせて特殊部隊員達によって考案された訓練メニューの相乗効果の顕れであった。

一方で戦術ドクトリンは近代戦闘の基本でもあるファイア&ムーブメントにポイントを絞っての徹底的に教え込んだ。
これはロードランナーの任務が戦闘による敵の撃破では無い事を踏まえて、教える戦術ドクトリンをロードランナーの特徴が活かしやすい1種類に絞り込んだ為である。
ちなみにファイア&ムーブメントとは大雑把に言うと銃火器による射撃で敵部隊の足を止める火力班(ファイア)とその間に相手の側面・後方に回り込んで攻撃を加える突撃班(ムーブメント)に分かれて火力と運動を効果的に連携させる戦術の事である。

#この辺に添付した概要図を挿入

また教官達は特に火力班・突撃班どちらの場合も地形を有効活用する事を徹底させた。
この方針はロードランナーの主な活動地域が入り組んだ地形になりやすい事、
ロードランナーそのものは機動性を重視する為にどうしても軽装甲になりがちである事から採用された。
火力班として行動する時には地形を活かした効果的な遮蔽の取り方を、
突撃班として行動する時には地形に紛れ、適切なルートを見付けて静かに素早く移動する方法を
重点的に訓練したのである。


  [No.1588] SSの草稿その1 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/10/31(Sun) 21:30:26

遅くなりましたが、何とかSSの草稿が出来ました。
富士山、特にその樹海(ジャングルまたは密林相当のイメージ)を主な演習場とした特別訓練の様子を描いたものにしました。
もし問題がありそうな点や改善案などがありましたら、ツッコミのレスをよろしくお願いします。


/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/

タイトル:ロードランナー訓練生の挑戦

/*/

ざわざわと遠くで喧騒の音が聞こえる。
簡素なロッカーが並び、1卓のテーブルがあるだけのシンプルな待機室では一人の男が黙々と作業を続けている。
L字型の銃身、照準器が付いたスライド、グリップや引き金が付いたフレーム、弾層、リコイルスプリング、銃弾
コト、コト、コトと静かで硬質な音と共に一切の淀みの無い所作で拳銃が部品毎に分解されてテーブルの上に並べられていく。
そして部品の一つ一つを丹念に磨いて汚れを拭っていく。

男は名を柊と言い、ロードランナーの訓練生である。
そしてここは年に1,2度だけ開催されるトライアル訓練時にだけ使われる待機室であった。
このトライアル訓練は国境にある富士山の麓から樹海を通り、途中のチェックポイントを通過し、山の中腹にあるゴールまで到達するという内容の競技になっている。
ハードな内容であるこのトライアルは訓練課程時の目標や腕試しとして実施され、普段は遭難者が出やすい為に立ち入り禁止である富士山を演習場として行われる。
その内容から参加は任意というか逆に一定以上の実力があると認められないと参加資格さえ貰えない程だが、
それだけにトライアルを突破したものは相当な実力者と一目置かれる事から腕試しに参加する者は毎回多い。
外から漏れ聞こえる喧騒も意外とお祭り好きなナニワアームズ商藩国らしく藩国中から見物客が来ている為である。

出番を待ちながら自身のコンセントレーションを高める為に身体にすっかり染み付いた銃の分解整備を行いながら、今回のトライアルのルート選定を頭の中で反芻する。
今回のトライアルでは等高線と河川だけが描かれたシンプルな地図と航空写真が配付されており、参加者達は皆それらを手掛かりとしてルート選定を行う事になっている。
少しずつ銃の整備が終わり、テーブルの上で冷たい光沢を放つ部品が一つずつ組み上げられていく。
自らが駆け抜ける事になる道筋を1つずつ選定しながら柊は時が訪れるのを静かに待ち続ける…。


/*/

ゴオゥゥ
風切り音が鳴り、緑の風景は現れては次々に後方へと流れていく。
一定のペースで繰り返される自身の呼気が聞こえ、足が落ち葉を踏む時になる音がカサカサと聞こえる。
そして落ち葉に覆われた焦げ茶色の地面は傾斜と共に遥か先まで続いており、ジャングルや密林の如く生い茂った樹木や茂みの中に消えている。

鍛え上げた2本の足が身体を前へ前へと斜面を押し上げる。
自身の身体の隅々を指先に到るまで意識し、重心を整え、反復練習で身に付けた走行フォームで脚力を走力へと転換する。

疾走する柊によって撹拌された樹海の空気は静から動へと塗り替えられてゆく。
そして柊は額に流れる汗もそのままに疾走を続けながらも見事な集中力で自身が進むべきルートを次々と見出し、ルートの再選定を繰り返して行く。

何と言っても樹海である。
一瞬の油断が道を見失う事に繋がりかねず、実際には遭難者に備えた歴戦の偵察兵達が本部で待機している事さえも、今この瞬間は柊の頭の中から除外されていた。


今を遡る事、丁度2年前。
ロードランナーを目指してその門戸を叩いたときの彼は自分に全く自信が持てなかった。
取り立てて特技と言えるものも無く、争いごとが好きでは無かった性格も災いして就職戦争には悉く敗退し、ロードランナー訓練校に通う事になったのである。
変化に乏しく、諦観と灰色に満ちた日常生活がまた始まると考えていた彼の甘い予想は入校初日からあっさりと叩き壊される事となった。

性格上、競争があるスポーツにも関心を持てず、それまで殆ど身を入れて身体を動かした事が無かった彼はその日も何時もの如く、惰性で程々に訓練メニューをこなそうとした。
そして一発で教官に見抜かれ、みっちりとワンツーマンでしごかれる事になったのである。
良く日焼けした褐色の肌にベレー帽の端から見えるクセッ毛の銀髪が特徴的なその教官の名前はランディ=ゴトー。これまでに数多くのヒヨコ達をFOへと鍛えてきたベテラン教官である。
その卓越した洞察力によって、まるで読心術でも使えるんじゃないか?と疑うほどの精度でもって、柊の全力を引き出すトレーニングメニューが課された。
日頃の運動不足が祟り、訓練でヘロヘロになった柊が教官に言われるがままに訪れた場所は食堂であった。
そこで出された何の変哲も無いカレーライスを一口食べたときの衝撃を柊は今も色鮮やかに思い出す事が出来る。
それは全力を出し切った者に対してのみ与えられる美味であり、彼がその生涯で始めて味わったはずの、しかしどこか懐かしい達成感の味であった。
この日の出来事を境に彼の行動は一変した。様々な事に全力で挑み、失敗と成功を繰り返しながら1つずつゆっくりと確実に出来る事を増やしていったのである。


そして今、柊はここ富士の樹海にいた。
僅かな物音ともに緑の海原をかき分け、迷彩服に風をはらませながら、己が見出した航路に沿って全力で疾走しているのである。

/*/
少しずつ傾斜が緩くなり、それに従うように頭上に生い茂った樹木の枝葉の隙間からの木漏れ日の量が減る。
より薄暗くなった森林の空気は辺りをひんやりと冷やし、足元の落ち葉も湿り気を帯びて足音を静かに受け止める。
辺りの様相の変化に気が付いた柊はそろそろチェックポイント付近に辿り着いたと当たりを付けて走る速度を緩め、慎重に歩を進め始める。

チェックポイントには多数の中堅の偵察兵やFOが監視者として展開し、監視の目を光らせている。
この監視エリアを無事に突破する事が本試験の必須条件であり、最難関ポイントの1つと言える。
これまでは己との戦いだったが、ここから先は監視者と自分の腕比べである。

自然と息を潜め、気配を殺す。

”隠密行動と偵察は一枚のコインの裏表”

教官の言葉を思い出しながら、注意深く地面に視線を走らせる柊。

”自分が隠れるときも、偵察するときの視点・考え方を忘れるな”

やっぱりあった!何度か人が通った痕跡だ。

監視者の巡回ルートを確認し、その死角となるであろう獣道を見つけ、自身の痕跡をなるべく残さないように注意を払いながら奥へと進み始める。

ある時は樹木の影に隠れ、またある時は身を潜めた茂みの側を偵察兵が通り過ぎるのを息を止めてやり過ごし、双眼鏡を構えたFOの監視を潜り抜ける。
それはさながら銃弾が飛ばない銃撃戦である。視線という名の射線から遮蔽物を駆使して身を守り、動から静へ、静から動へ。
音を立てないように注意を重ね、奥へ奥へと進む。
滝の様に流れていたはずの汗は何時しか止まり、汗を吸った野戦服のアンダーウェアがびっしょりと肌に貼り付き、体温を奪う。

徐々に偵察兵をやり過ごす頻度が増え、何度もルート変更を余儀なくされる。

そしてさらに奥地に進み、何度かヒヤリとする局面をやり過ごすに至って

…おかしい。

嫌な胸騒ぎを感じた柊は違和感の原因に考えを巡らせると、何時の間にか有力な進行ルートが当初の予測の半分にまで減っている事に気が付いた。
どうやら直接目視される事は無かったが、痕跡が見つかったのだろう。恐らく今頃は徐々に監視の網目が狭められているに違いない。

ガサリ。

不意に背後の茂みが揺れ、偵察兵が現れた。

ち、近い!

そう感じたのはどうやら柊だけでは無かった。
驚愕に目を大きく開きながら咄嗟にアサルトライフルを構えようとする偵察兵。
その瞬間には軍用ブーツに覆われた踵がアサルトライフルの銃口に迫る。
後ろ回し蹴りを繰り出しながら、柊はホルダーから拳銃を抜きとり、冷たい輝きを帯びた銃口を相手に押し付けた。
それは訓練によって染み付いた流れるような動作であった。
樹海に2発の銃声が鳴り響く。
どさりと地面に倒れる偵察兵。
柊に蹴り飛ばされた偵察兵の銃口の先にある樹木にはベッタリとペイント弾の染料が塗りたくられていた。

ふうと思わず安堵のため息を漏らした柊であったが、事態は逆により切迫したものになりつつあった。

今回の試験ではペイント弾を一発でも命中した人物はやられたものとみなす。
今、足元に倒れている偵察兵の人もそれでノーリアクションになっているのだが、これは自分にも当てはまる。
ペイント弾が少しでも身体に掠れば即時に失格なのである。
そして派手に鳴り響いた銃声は間も無く周囲の偵察兵やFOを招き寄せるだろう。
仮にこのまま1対多で銃撃戦をやっても結果は火を見るより明らかである。

どうする?ここまで場所が絞り込まれては例え隠れても人海戦術で直ぐに見つかってしまう。
かと言って直接戦うのは論外だ。
刻々と迫るリミットを意識しながら必死に対処法を検討するが焦りが思考を空回りさせる。
思わず項垂れた柊の目に入ったのは自身を支える鍛え抜いた2本の足であった。
その瞬間、柊は腹を括った。

これだ。この土壇場の状況を打破する切り札はこれしかない。

そして柊は一つの賭けに出る事を選んだ。
一度腹を括れば、柊の行動に迷いは無かった。
慌てずにルートを再検討し、幾つかある候補から最も険しい最短ルートを選びだし、引き絞られた矢が放たれたように全力疾走を開始した。

静粛性をかなぐり捨てたロードランナーの走力は目を見張る速度を叩きだし始める。
潜めていた息は次第にリズミカルな呼気へと変わり、騒々しい足音を立てる事も構わずに柊は樹海の中を駆け抜けていく。
騒音に気が付き、周囲から続々と集まってきた偵察兵やFOが追跡を開始する。
それには構わず柊は見出した1つの道筋を、前方を、ただ一心に見据えて真っ直ぐ前へと突き進む。
周囲は再び傾斜が強くなり、生い茂った樹木があちこちに根を張り、落ち葉は地面の凹凸を覆い隠す。
一歩でも踏み外せば転倒し、場合によっては大怪我を負いかねない悪路へと様相が変わり始める。
足場を見極め、迷い無く一歩を踏みこみ、身体を前へと押し上げる。
ロードランナーは絶妙なバランス感覚と強靭な足腰を活かして悪路を次々に走破していく。
落ち葉を舞い上げ、派手な痕跡を残しながら疾走するロードランナー。
やがて木々が途切れ、目に沁みるような青空が前方に広がる。
遂にランナーは追手が呆れる程の騒音と勢いで監視エリアを駆け抜けたのであった。

/*/

富士山中腹のゴール地点。
山特有のひんやりと身が引き締まるような空気の中で柊は目の前に広がる風景に魅入っていた。

眼下には砂で出来た砂丘がまるで絹のような滑らかさで広大に広がる。
その広大な砂の海原を4つに切り分ける交易路
路が交わる中央には緑の輪に囲まれた蒼い蒼いオアシスが宝石のように輝き
それによりそうように宿場町が佇んでいた。


  [No.1591] おつかれさまー! 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/11/03(Wed) 22:54:45

> 遅くなりましたが、何とかSSの草稿が出来ました。
> 富士山、特にその樹海(ジャングルまたは密林相当のイメージ)を主な演習場とした特別訓練の様子を描いたものにしました。
> もし問題がありそうな点や改善案などがありましたら、ツッコミのレスをよろしくお願いします。
>
>
> /*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/
>
> タイトル:ロードランナー訓練生の挑戦
>
> /*/
>
> ざわざわと遠くで喧騒の音が聞こえる。
> 簡素なロッカーが並び、1卓のテーブルがあるだけのシンプルな待機室では一人の男が黙々と作業を続けている。
> L字型の銃身、照準器が付いたスライド、グリップや引き金が付いたフレーム、弾層、リコイルスプリング、銃弾
> コト、コト、コトと静かで硬質な音と共に一切の淀みの無い所作で拳銃が部品毎に分解されてテーブルの上に並べられていく。
> そして部品の一つ一つを丹念に磨いて汚れを拭っていく。
>
> 男は名を柊と言い、ロードランナーの訓練生である。
> そしてここは年に1,2度だけ開催されるトライアル訓練時にだけ使われる待機室であった。
> このトライアル訓練は国境にある富士山の麓から樹海を通り、途中のチェックポイントを通過し、山の中腹にあるゴールまで到達するという内容の競技になっている。
> ハードな内容であるこのトライアルは訓練課程時の目標や腕試しとして実施され、普段は遭難者が出やすい為に立ち入り禁止である富士山を演習場として行われる。
> その内容から参加は任意というか逆に一定以上の実力があると認められないと参加資格さえ貰えない程だが、
> それだけにトライアルを突破したものは相当な実力者と一目置かれる事から腕試しに参加する者は毎回多い。
> 外から漏れ聞こえる喧騒も意外とお祭り好きなナニワアームズ商藩国らしく藩国中から見物客が来ている為である。

#見物客は・・・どうだろう。居そうな気もするけど居て欲しくないのが本音かも。

>
> 出番を待ちながら自身のコンセントレーションを高める為に身体にすっかり染み付いた銃の分解整備を行いながら、今回のトライアルのルート選定を頭の中で反芻する。
> 今回のトライアルでは等高線と河川だけが描かれたシンプルな地図と航空写真が配付されており、参加者達は皆それらを手掛かりとしてルート選定を行う事になっている。
> 少しずつ銃の整備が終わり、テーブルの上で冷たい光沢を放つ部品が一つずつ組み上げられていく。
> 自らが駆け抜ける事になる道筋を1つずつ選定しながら柊は時が訪れるのを静かに待ち続ける…。
>
>
> /*/
>
> ゴオゥゥ
> 風切り音が鳴り、緑の風景は現れては次々に後方へと流れていく。
> 一定のペースで繰り返される自身の呼気が聞こえ、足が落ち葉を踏む時になる音がカサカサと聞こえる。
> そして落ち葉に覆われた焦げ茶色の地面は傾斜と共に遥か先まで続いており、ジャングルや密林の如く生い茂った樹木や茂みの中に消えている。
>
> 鍛え上げた2本の足が身体を前へ前へと斜面を押し上げる。
> 自身の身体の隅々を指先に到るまで意識し、重心を整え、反復練習で身に付けた走行フォームで脚力を走力へと転換する。
>
> 疾走する柊によって撹拌された樹海の空気は静から動へと塗り替えられてゆく。
> そして柊は額に流れる汗もそのままに疾走を続けながらも見事な集中力で自身が進むべきルートを次々と見出し、ルートの再選定を繰り返して行く。
>
> 何と言っても樹海である。
> 一瞬の油断が道を見失う事に繋がりかねず、実際には遭難者に備えた歴戦の偵察兵達が本部で待機している事さえも、今この瞬間は柊の頭の中から除外されていた。
>
>
> 今を遡る事、丁度2年前。
> ロードランナーを目指してその門戸を叩いたときの彼は自分に全く自信が持てなかった。
> 取り立てて特技と言えるものも無く、争いごとが好きでは無かった性格も災いして就職戦争には悉く敗退し、ロードランナー訓練校に通う事になったのである。
> 変化に乏しく、諦観と灰色に満ちた日常生活がまた始まると考えていた彼の甘い予想は入校初日からあっさりと叩き壊される事となった。
>
> 性格上、競争があるスポーツにも関心を持てず、それまで殆ど身を入れて身体を動かした事が無かった彼はその日も何時もの如く、惰性で程々に訓練メニューをこなそうとした。
> そして一発で教官に見抜かれ、みっちりとワンツーマンでしごかれる事になったのである。
> 良く日焼けした褐色の肌にベレー帽の端から見えるクセッ毛の銀髪が特徴的なその教官の名前はランディ=ゴトー。これまでに数多くのヒヨコ達をFOへと鍛えてきたベテラン教官である。
> その卓越した洞察力によって、まるで読心術でも使えるんじゃないか?と疑うほどの精度でもって、柊の全力を引き出すトレーニングメニューが課された。
> 日頃の運動不足が祟り、訓練でヘロヘロになった柊が教官に言われるがままに訪れた場所は食堂であった。
> そこで出された何の変哲も無いカレーライスを一口食べたときの衝撃を柊は今も色鮮やかに思い出す事が出来る。
> それは全力を出し切った者に対してのみ与えられる美味であり、彼がその生涯で始めて味わったはずの、しかしどこか懐かしい達成感の味であった。
> この日の出来事を境に彼の行動は一変した。様々な事に全力で挑み、失敗と成功を繰り返しながら1つずつゆっくりと確実に出来る事を増やしていったのである。
>
>
> そして今、柊はここ富士の樹海にいた。
> 僅かな物音ともに緑の海原をかき分け、迷彩服に風をはらませながら、己が見出した航路に沿って全力で疾走しているのである。
>
> /*/
> 少しずつ傾斜が緩くなり、それに従うように頭上に生い茂った樹木の枝葉の隙間からの木漏れ日の量が減る。
> より薄暗くなった森林の空気は辺りをひんやりと冷やし、足元の落ち葉も湿り気を帯びて足音を静かに受け止める。
> 辺りの様相の変化に気が付いた柊はそろそろチェックポイント付近に辿り着いたと当たりを付けて走る速度を緩め、慎重に歩を進め始める。
>
> チェックポイントには多数の中堅の偵察兵やFOが監視者として展開し、監視の目を光らせている。
> この監視エリアを無事に突破する事が本試験の必須条件であり、最難関ポイントの1つと言える。
> これまでは己との戦いだったが、ここから先は監視者と自分の腕比べである。
>
> 自然と息を潜め、気配を殺す。
>
> ”隠密行動と偵察は一枚のコインの裏表”
>
> 教官の言葉を思い出しながら、注意深く地面に視線を走らせる柊。
>
> ”自分が隠れるときも、偵察するときの視点・考え方を忘れるな”
>
> やっぱりあった!何度か人が通った痕跡だ。
>
> 監視者の巡回ルートを確認し、その死角となるであろう獣道を見つけ、自身の痕跡をなるべく残さないように注意を払いながら奥へと進み始める。
>
> ある時は樹木の影に隠れ、またある時は身を潜めた茂みの側を偵察兵が通り過ぎるのを息を止めてやり過ごし、双眼鏡を構えたFOの監視を潜り抜ける。
> それはさながら銃弾が飛ばない銃撃戦である。視線という名の射線から遮蔽物を駆使して身を守り、動から静へ、静から動へ。
> 音を立てないように注意を重ね、奥へ奥へと進む。
> 滝の様に流れていたはずの汗は何時しか止まり、汗を吸った野戦服のアンダーウェアがびっしょりと肌に貼り付き、体温を奪う。
>
> 徐々に偵察兵をやり過ごす頻度が増え、何度もルート変更を余儀なくされる。
>
> そしてさらに奥地に進み、何度かヒヤリとする局面をやり過ごすに至って
>
> …おかしい。
>
> 嫌な胸騒ぎを感じた柊は違和感の原因に考えを巡らせると、何時の間にか有力な進行ルートが当初の予測の半分にまで減っている事に気が付いた。
> どうやら直接目視される事は無かったが、痕跡が見つかったのだろう。恐らく今頃は徐々に監視の網目が狭められているに違いない。
>
> ガサリ。
>
> 不意に背後の茂みが揺れ、偵察兵が現れた。
>
> ち、近い!
>
> そう感じたのはどうやら柊だけでは無かった。
> 驚愕に目を大きく開きながら咄嗟にアサルトライフルを構えようとする偵察兵。
> その瞬間には軍用ブーツに覆われた踵がアサルトライフルの銃口に迫る。
> 後ろ回し蹴りを繰り出しながら、柊はホルダーから拳銃を抜きとり、冷たい輝きを帯びた銃口を相手に押し付けた。
> それは訓練によって染み付いた流れるような動作であった。
> 樹海に2発の銃声が鳴り響く。
> どさりと地面に倒れる偵察兵。
> 柊に蹴り飛ばされた偵察兵の銃口の先にある樹木にはベッタリとペイント弾の染料が塗りたくられていた。
>
> ふうと思わず安堵のため息を漏らした柊であったが、事態は逆により切迫したものになりつつあった。
>
> 今回の試験ではペイント弾を一発でも命中した人物はやられたものとみなす。
> 今、足元に倒れている偵察兵の人もそれでノーリアクションになっているのだが、これは自分にも当てはまる。
> ペイント弾が少しでも身体に掠れば即時に失格なのである。
> そして派手に鳴り響いた銃声は間も無く周囲の偵察兵やFOを招き寄せるだろう。
> 仮にこのまま1対多で銃撃戦をやっても結果は火を見るより明らかである。
>
> どうする?ここまで場所が絞り込まれては例え隠れても人海戦術で直ぐに見つかってしまう。
> かと言って直接戦うのは論外だ。
> 刻々と迫るリミットを意識しながら必死に対処法を検討するが焦りが思考を空回りさせる。
> 思わず項垂れた柊の目に入ったのは自身を支える鍛え抜いた2本の足であった。
> その瞬間、柊は腹を括った。
>
> これだ。この土壇場の状況を打破する切り札はこれしかない。
>
> そして柊は一つの賭けに出る事を選んだ。
> 一度腹を括れば、柊の行動に迷いは無かった。
> 慌てずにルートを再検討し、幾つかある候補から最も険しい最短ルートを選びだし、引き絞られた矢が放たれたように全力疾走を開始した。
>
> 静粛性をかなぐり捨てたロードランナーの走力は目を見張る速度を叩きだし始める。
> 潜めていた息は次第にリズミカルな呼気へと変わり、騒々しい足音を立てる事も構わずに柊は樹海の中を駆け抜けていく。
> 騒音に気が付き、周囲から続々と集まってきた偵察兵やFOが追跡を開始する。
> それには構わず柊は見出した1つの道筋を、前方を、ただ一心に見据えて真っ直ぐ前へと突き進む。
> 周囲は再び傾斜が強くなり、生い茂った樹木があちこちに根を張り、落ち葉は地面の凹凸を覆い隠す。
> 一歩でも踏み外せば転倒し、場合によっては大怪我を負いかねない悪路へと様相が変わり始める。
> 足場を見極め、迷い無く一歩を踏みこみ、身体を前へと押し上げる。
> ロードランナーは絶妙なバランス感覚と強靭な足腰を活かして悪路を次々に走破していく。
> 落ち葉を舞い上げ、派手な痕跡を残しながら疾走するロードランナー。
> やがて木々が途切れ、目に沁みるような青空が前方に広がる。
> 遂にランナーは追手が呆れる程の騒音と勢いで監視エリアを駆け抜けたのであった。
>
> /*/
>
> 富士山中腹のゴール地点。
> 山特有のひんやりと身が引き締まるような空気の中で柊は目の前に広がる風景に魅入っていた。
>
> 眼下には砂で出来た砂丘がまるで絹のような滑らかさで広大に広がる。
> その広大な砂の海原を4つに切り分ける交易路
> 路が交わる中央には緑の輪に囲まれた蒼い蒼いオアシスが宝石のように輝き
> それによりそうように宿場町が佇んでいた。


かっこよかったー。
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SS作成お疲れ様です!
見物客以外は特に気になった点はありませんでした。


  [No.1593] Re: おつかれさまー! 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/11/05(Fri) 20:08:46

> #見物客は・・・どうだろう。居そうな気もするけど居て欲しくないのが本音かも。
#見方によっては軍事訓練でもある訳だし、確かに民間人の見物客がいるのは余り良くないかもですな。

#外から漏れ聞こえる喧騒も意外とお祭り好きなナニワアームズ商藩国らしく藩国中から見物客が来ている為である。
#↓
#外から漏れ聞こえる喧騒も自らは参加しないもののトライアルの行方が気になる訓練生達が数多く見学している為である。

#と見物客を同じ訓練生にした方がいいですかね?


  [No.1595] Re: おつかれさまー! 投稿者:守上@携帯  投稿日:2010/11/11(Thu) 07:45:27

そうですね。
そんな感じでお願いします。


  [No.1679] 設定文+SSの決定稿 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/12/30(Thu) 12:08:21
設定文+SSの決定稿 (画像サイズ: 494×305 22kB)

一通り見直して誤字脱字も無さそうだったので
取り敢えずロードランナーの設定文とSSの決定稿をまとめておきます。
#要点や周辺環境も大体は押さえているはずです。

/*/

偵察とは敵や相手の様子をこっそり探る事である。
そして偵察には一般的な偵察である先行偵察と戦闘後の地域を調査する戦果確認の2種類がある。
余り聞き慣れない戦果確認とは具体的に言うと爆撃や砲撃を加えた地域が実際にどのような影響を受けているか、
誤爆は無かったか等を現地にいって調査し、記録を取る仕事である。
しかし戦果確認についてはこれまでクローズアップされる事は余りなく、
自他共に認める偵察の国であるナニワアームズ商藩国でもFOが兼任で行っていたに過ぎなかった。

そんなある日、日々手強くなってくる敵勢力から国民・国土を守る為に他の藩国同様、ナニワアームズ商藩国でも戦力の増強が計画された。
計画の骨子はパイロット職と歩兵職の2本柱を主軸とし、お互いに得手不得手をフォローするというものである。
というのも、評価値が高く主力となり得るI=D部隊では治安維持や市街戦、長期間に渡る国土や国民の防衛には不向きであり、
また機械なので当然ながら低物理域では活動する事すら叶わない為である。

そして役割分担は偵察についても同様に検討される事になった、つまり先行偵察と戦果確認である。
先行偵察についてはパイロットの中から、偵察に特化した選抜チームが組まれ、これにあたる予定であるが、
乗り物での偵察が主体となるので当然ながら細かい調査が必要となる戦果確認は実質不可能と言える。
そこで今回、新たに戦果確認を専門とする歩兵職業として白羽の矢が立ったのがロードランナーである。

/*/
ロードランナーとは
 歩兵部隊の最小単位である班レベルで動く部隊であり、
 爆撃や砲撃を行った後の地域の状態を見る戦果確認を主任務とする。
 乗り物には乗らずに自前の足で奥地までいって、そこで得た情報を記録し、持ち帰る事が役目。
/*/

ナニワアームズ商藩国におけるロードランナーが守るべき鉄則は2つある。
1つは現地まで赴き、そして生還する事。幾ら情報収集が上手くてもそれを本隊に持ち帰れなくては意味が無いのである。
情報を伝達するだけなら世の中には無線機という便利な文明の利器は確かに存在する訳だが、
ナニワにおいてはなるべく低物理域でもある程度の活動が行える事が求められるので結局の所、生還できる事が必須事項である点は揺るがない。
そして2つ目は現地での情報をしっかりと記録してこれを持ち帰る事。言うまでも無く偵察兵の本分である。

この2つの鉄則を守れる実力をロードランナーに習得させる為に次の4つの能力が重視された。
1.走る
2.視る
3.隠れる
4.戦う

以降はこれら4つの能力に焦点を当てて、ナニワアームズ商藩国におけるロードランナーを見てみよう。

/*/ここから次ページ


#これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

1.走る

ロードランナーを特徴付ける性質の1つが走る事に特化しているという点である。
これはロードランナーの主任務である戦果確認と密接に関係している。

戦果確認は敵地への爆撃や砲撃の成果を確認する為に自軍が完全には制圧できていない地域で偵察を行う事になる。
その為、情報収集が目的の軍事行動である以上、敵の残存勢力が潜んでいる可能性を想定し、なるべく交戦を避けて秘密裏に行う必要がある。
そこで大火力よりも寧ろ痕跡を残さない移動手段が必要とされ、結果として車両を用いない徒歩での機動力に特化した部隊としてロードランナーが登場する事となった。

しかしここに1つの問題点があった。
一般の歩兵にとっても徒歩は基本的な能力である為に基礎訓練は十分に行われており、差別化を図る為に単純にそれらを上回る負荷を与える訓練を行う事は身体への悪影響が懸念されたのである。
そこでナニワアームズ商藩国では訓練による過度な身体への負担をかける事なく、効率的なトレーニングを行う手法としてスポーツ科学的アプローチに着目した。
スポーツ、中でも陸上競技においては走る事は基本中の基本であり、最も研究が進んでいる分野であると言える。
そこで走行フォームや効率の良い筋力トレーニング、高地トレーニング等を取り入れると共に市民病院の医師や栄養士の協力も仰ぎ、四肢の故障や栄養の偏りを配慮した訓練プログラムが作成された。
また個人毎の身体的な能力差を配慮したきめ細かいトレーニングメニューの調整や相談を受け持つ為にコーチやトレーナーの育成にも力が注がれた。

そしてロードランナーの訓練にはスポーツトレーニングのアプローチを取り込んでいるが、純粋なそれとは異なる点もある。
想定される活動エリアが砂漠、森林、ジャングル(密林)、雪原、山岳地帯等の自然の要害とも言うべき入り組んだ場所になりやすい為である。
その為、整地された場所で行われる陸上競技等のスポーツとは異なり、入り組んだ地形の特性を把握し、それらを見事に走破する事を想定した実地訓練も頻繁に行われた。

/*/ここから次ページ


#これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

2.視る

偵察兵にFO、偵察用I=Dバーミーズ。
偵察にこだわりと一家言を持つ者が多いナニワアームズ商藩国において偵察兵は登場以来の長きに渡り、
たとえサイボーグが着用アイドレスから外れようとも常に歩兵と共にあり続けた。
しかし時は流れ、そんな歴戦の偵察兵達にも遂にバトンを渡すタイミングが訪れたのである。
これまで歩兵部隊の変遷を見つめ続けてきた偵察兵達の意気込みは並々ならぬものであり、自分達の後継としてのロードランナーの育成には情熱を注ぐ事となった。

さて、ここで話を少し変えて、彼らが熱意を込めて伝授する偵察について改めて少し述べてみよう。
偵察とは自軍の眼となり、敵の状態や状況を”視る”事である。そして”視る”タイミングによってそれは先行偵察と戦果確認の2つに分けられる。
大雑把に例えるならば、相手を殴る前に”視る”のが先行偵察、殴った後に相手を”視る”事が戦果確認である。
つまり戦果確認とは自分達が行った行動の結果をしっかり見つめるという事であり、アフターフォローの第一歩と言えた。
相手を殴りっ放しにしない為に彼らロードランナーは存在するとも言えるわけである。

閑話休題。バトンを渡す側にまわった歴戦の偵察兵やFO達はロードランナーにおける偵察能力の活用法として2種類の用途に着目した。
1つは当然ながら目的地で情報収集に駆使するという用途。もう1つは敵地奥深くまでの進軍ルート(監視の網目や抜け道等)を見付ける為に駆使するという用途であった。
その為に航空写真や地図を読み取る事を徹底的に教え込み、
その上で砂漠、森林、密林(ジャングル)、山に市街地と言った様々な地形でのフィールドワークを重ねる事で頭と体に地形の性質や地図との関連性等を叩き込んだのである。


/*/ここから次ページ


#これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

3.隠れる

歩兵が隠れる為の手法・装備と聞いて真っ先に思い付くものの1つとして迷彩または迷彩服が挙げられる。
それは遡ればトラを始めとした野生動物が生来的に備えているものでも有り、人が知恵によってそれらを真似て生み出した工夫でもある。
ナニワアームズでは古くから歩兵やバーミーズで光学迷彩を良く用いていたが、今回はそれをそのまま流用する事はできなかった。
というのも、ロードランナーの活動領域の想定エリアの1つである低物理域では当然ながら光学迷彩なんて科学技術の結晶は作動しない為である。
その一方で低物理域では銃器が運用できない以上、ロードランナー達の攻撃手段は白兵に限定され、必然的に隠れる事の重要性は高まる。

故にこの対策が講じられた訳であるが、検討の結果として採用された方法は実にありきたりで冴えないやり方ではあったが、それだけに効果はそれなりに見込めた。
その方法とは……
TPOに合わせて服装を替える!
以上終わりである。

TLOを用いずに実現する方法としてはこれ以外に思い付かなかったわけではあるが、
衣服はそれこそ原始時代にまで遡らない限りは常に人類と共にあった為、シンプルだが無難であると判断したのである。
幸いながら手元には服を作る為の品質の良い布地には困らない事、服飾関連のアドバイザーもいた事からこの頭の悪い手法は実施されたのである。
こうして砂漠、雪原、草原、森林、密林(ジャングル)、山に果ては市街地。様々なシチュエーションに応じた迷彩服が用意される事となった。
ちなみにちくちく手縫いで作る関係上、低物理域用の野戦服が一番高価かつ貴重であり、皆の愛着も一際で高く人気No.1であった。
実際に綻んだり破れても修繕して長い間、愛用する者も多かったそうである。

/*/ここから次ページ


#これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

4.戦う

特殊部隊員という職業がある。
黒を基調としたベレー帽と迷彩服に身を包んだ彼らは日夜、演習場での訓練を欠かさない。
そんな彼らは長い間、ナニワアームズ商藩国の歩兵部隊の戦闘技術の研鑽を影から支え続けた功労者であった。

ロードランナーは敵勢力下で班単独で活動する事が多い為、白兵や射撃等の最低限の戦闘技術の習得は必須である。
そしてロードランナー候補生達がそれらの戦闘技術の習得をする際にも特殊部隊員達の豊富な経験と研鑽が大いに役立つ事となった。

特殊部隊員から出向した教官達はロードランナーの特徴とその任務内容から必要十分な訓練メニューを考案し、これを実践した。

ナイフや銃剣、軍隊格闘術を駆使したCQC(Close Quarters Combat)、拳銃や手榴弾、サブマシンガンを用いた近接格闘、そしてアサルトライフルを用いた射撃戦。
これらの基本戦闘技術に始まり、銃の分解整備から野外でのサバイバル訓練に到るまで単独完結する戦闘単位として機能する為の最低限の技能教育がみっちりと行われた。
それらを受け、ロードランナー候補生達は正にスポンジが水を吸う如く、これらの技術を習得した。
これは各種走力訓練で底上げされた候補生の強靭な足腰や持久力とそれらを合わせて特殊部隊員達によって考案された訓練メニューの相乗効果の顕れであった。

一方で戦術ドクトリンは近代戦闘の基本でもあるファイア&ムーブメントにポイントを絞っての徹底的に教え込んだ。
これはロードランナーの任務が戦闘による敵の撃破では無い事を踏まえて、教える戦術ドクトリンをロードランナーの特徴が活かしやすい1種類に絞り込んだ為である。
ちなみにファイア&ムーブメントとは大雑把に言うと銃火器による射撃で敵部隊の足を止める火力班(ファイア)とその間に相手の側面・後方に回り込んで攻撃を加える突撃班(ムーブメント)に分かれて火力と運動を効果的に連携させる戦術の事である。

#この辺に添付した概要図を挿入

また教官達は特に火力班・突撃班どちらの場合も地形を有効活用する事を徹底させた。
この方針はロードランナーの主な活動地域が入り組んだ地形になりやすい事、
ロードランナーそのものは機動性を重視する為にどうしても軽装甲になりがちである事から採用された。
火力班として行動する時には地形を活かした効果的な遮蔽の取り方を、
突撃班として行動する時には地形に紛れ、適切なルートを見付けて静かに素早く移動する方法を
重点的に訓練したのである。


/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/

タイトル:ロードランナー訓練生の挑戦

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ざわざわと遠くで喧騒の音が聞こえる。
簡素なロッカーが並び、1卓のテーブルがあるだけのシンプルな待機室では一人の男が黙々と作業を続けている。
L字型の銃身、照準器が付いたスライド、グリップや引き金が付いたフレーム、弾層、リコイルスプリング、銃弾
コト、コト、コトと静かで硬質な音と共に一切の淀みの無い所作で拳銃が部品毎に分解されてテーブルの上に並べられていく。
そして部品の一つ一つを丹念に磨いて汚れを拭っていく。

男は名を柊と言い、ロードランナーの訓練生である。
そしてここは年に1,2度だけ開催されるトライアル訓練時にだけ使われる待機室であった。
このトライアル訓練は国境にある富士山の麓から樹海を通り、途中のチェックポイントを経て、山の中腹にあるゴールまで到達するという内容の競技になっている。
ハードな内容であるこのトライアルは訓練課程時の目標や腕試しとして実施され、普段は遭難者が出やすい為に立ち入り禁止である富士山を演習場として行われる。
その内容から参加は任意というか逆に一定以上の実力があると認められないと参加資格さえ貰えない程だが、
それだけにトライアルを突破したものは相当な実力者と一目置かれる事から腕試しに参加する者は毎回多い。
外から漏れ聞こえる喧騒も自らは参加しないもののトライアルの行方が気になる訓練生達が数多く見学している為である。

出番を待ちながら自身のコンセントレーションを高める為に身体にすっかり染み付いた銃の分解整備を行いながら、今回のトライアルのルート選定を頭の中で反芻する。
今回のトライアルでは等高線と河川だけが描かれたシンプルな地図と航空写真が配付されており、参加者達は皆それらを手掛かりとしてルート選定を行う事になっている。
少しずつ銃の整備が終わり、テーブルの上で冷たい光沢を放つ部品が一つずつ組み上げられていく。
自らが駆け抜ける事になる道筋を1つずつ選定しながら柊は時が訪れるのを静かに待ち続ける…。


/*/

ゴオゥゥ
風切り音が鳴り、緑の風景は現れては次々に後方へと流れていく。
一定のペースで繰り返される自身の呼気が聞こえ、足が落ち葉を踏む時になる音がカサカサと聞こえる。
そして落ち葉に覆われた焦げ茶色の地面は傾斜と共に遥か先まで続いており、ジャングルや密林の如く生い茂った樹木や茂みの中に消えている。

鍛え上げた2本の足が身体を前へ前へと斜面を押し上げる。
自身の身体の隅々を指先に到るまで意識し、重心を整え、反復練習で身に付けた走行フォームで脚力を走力へと転換する。

疾走する柊によって撹拌された樹海の空気は静から動へと塗り替えられてゆく。
そして柊は額に流れる汗もそのままに疾走を続けながらも見事な集中力で自身が進むべきルートを次々と見出し、ルートの再選定を繰り返して行く。

何と言っても樹海である。
一瞬の油断が道を見失う事に繋がりかねず、実際には遭難者に備えた歴戦の偵察兵達が本部で待機している事さえも、今この瞬間は柊の頭の中から除外されていた。


今を遡る事、丁度2年前。
ロードランナーを目指してその門戸を叩いたときの彼は自分に全く自信が持てなかった。
取り立てて特技と言えるものも無く、争いごとが好きでは無かった性格も災いして就職戦争には悉く敗退し、ロードランナー訓練校に通う事になったのである。
変化に乏しく、諦観と灰色に満ちた日常生活がまた始まると考えていた彼の甘い予想は入校初日からあっさりと叩き壊される事となった。

性格上、競争があるスポーツにも関心を持てず、それまで殆ど身を入れて身体を動かした事が無かった彼はその日も何時もの如く、惰性で程々に訓練メニューをこなそうとした。
そして一発で教官に見抜かれ、みっちりとワンツーマンでしごかれる事になったのである。
良く日焼けした褐色の肌にベレー帽の端から見えるクセッ毛の銀髪が特徴的なその教官の名前はランディ=ゴトー。これまでに数多くのヒヨコ達をFOへと鍛えてきたベテラン教官である。
その卓越した洞察力によって、まるで読心術でも使えるんじゃないか?と疑うほどの精度でもって、柊の全力を引き出すトレーニングメニューが課された。
日頃の運動不足が祟り、訓練でヘロヘロになった柊が教官に言われるがままに訪れた場所は食堂であった。
そこで出された何の変哲も無いカレーライスを一口食べたときの衝撃を柊は今も色鮮やかに思い出す事が出来る。
それは全力を出し切った者に対してのみ与えられる美味であり、彼がその生涯で始めて味わったはずの、しかしどこか懐かしい達成感の味であった。
この日の出来事を境に彼の行動は一変した。様々な事に全力で挑み、失敗と成功を繰り返しながら1つずつゆっくりと確実に出来る事を増やしていったのである。


そして今、柊はここ富士の樹海にいた。
僅かな物音ともに緑の海原をかき分け、迷彩服に風をはらませながら、己が見出した航路に沿って全力で疾走しているのである。

/*/
少しずつ傾斜が緩くなり、それに従うように頭上に生い茂った樹木の枝葉の隙間からの木漏れ日の量が減る。
より薄暗くなった森林の空気は辺りをひんやりと冷やし、足元の落ち葉も湿り気を帯びて足音を静かに受け止める。
辺りの様相の変化に気が付いた柊はそろそろチェックポイント付近に辿り着いたと当たりを付けて走る速度を緩め、慎重に歩を進め始める。

チェックポイントには多数の中堅の偵察兵やFOが監視者として展開し、監視の目を光らせている。
この監視エリアを無事に突破する事が本試験の必須条件であり、最難関ポイントの1つと言える。
これまでは己との戦いだったが、ここから先は監視者と自分の腕比べである。

自然と息を潜め、気配を殺す。

”隠密行動と偵察は一枚のコインの裏表”

教官の言葉を思い出しながら、注意深く地面に視線を走らせる柊。

”自分が隠れるときも、偵察するときの視点・考え方を忘れるな”

やっぱりあった!何度か人が通った痕跡だ。

監視者の巡回ルートを確認し、その死角となるであろう獣道を見つけ、自身の痕跡をなるべく残さないように注意を払いながら奥へと進み始める。

ある時は樹木の影に隠れ、またある時は身を潜めた茂みの側を偵察兵が通り過ぎるのを息を止めてやり過ごし、双眼鏡を構えたFOの監視を潜り抜ける。
それはさながら銃弾が飛ばない銃撃戦である。視線という名の射線から遮蔽物を駆使して身を守り、動から静へ、静から動へ。
音を立てないように注意を重ね、奥へ奥へと進む。
滝の様に流れていたはずの汗は何時しか止まり、汗を吸った野戦服のアンダーウェアがびっしょりと肌に貼り付き、体温を奪う。

徐々に偵察兵をやり過ごす頻度が増え、何度もルート変更を余儀なくされる。

そしてさらに奥地に進み、何度かヒヤリとする局面をやり過ごすに至って

…おかしい。

嫌な胸騒ぎを感じた柊は違和感の原因に考えを巡らせると、何時の間にか有力な進行ルートが当初の予測の半分にまで減っている事に気が付いた。
どうやら直接目視される事は無かったが、痕跡が見つかったのだろう。恐らく今頃は徐々に監視の網目が狭められているに違いない。

ガサリ。

不意に背後の茂みが揺れ、偵察兵が現れた。

ち、近い!

そう感じたのはどうやら柊だけでは無かった。
驚愕に目を大きく開きながら咄嗟にアサルトライフルを構えようとする偵察兵。
その瞬間には軍用ブーツに覆われた踵がアサルトライフルの銃口に迫る。
後ろ回し蹴りを繰り出しながら、柊はホルダーから拳銃を抜きとり、冷たい輝きを帯びた銃口を相手に押し付けた。
それは訓練によって染み付いた流れるような動作であった。
樹海に2発の銃声が鳴り響く。
どさりと地面に倒れる偵察兵。
柊に蹴り飛ばされた偵察兵の銃口の先にある樹木にはベッタリとペイント弾の染料が塗りたくられていた。

ふうと思わず安堵のため息を漏らした柊であったが、事態は逆により切迫したものになりつつあった。

今回の試験ではペイント弾を一発でも命中した人物はやられたものとみなす。
今、足元に倒れている偵察兵の人もそれでノーリアクションになっているのだが、これは自分にも当てはまる。
ペイント弾が少しでも身体に掠れば即時に失格なのである。
そして派手に鳴り響いた銃声は間も無く周囲の偵察兵やFOを招き寄せるだろう。
仮にこのまま1対多で銃撃戦をやっても結果は火を見るより明らかである。

どうする?ここまで場所が絞り込まれては例え隠れても人海戦術で直ぐに見つかってしまう。
かと言って直接戦うのは論外だ。
刻々と迫るリミットを意識しながら必死に対処法を検討するが焦りが思考を空回りさせる。
思わず項垂れた柊の目に入ったのは自身を支える鍛え抜いた2本の足であった。
その瞬間、柊は腹を括った。

これだ。この土壇場の状況を打破する切り札はこれしかない。

そして柊は一つの賭けに出る事を選んだ。
一度腹を括れば、柊の行動に迷いは無かった。
慌てずにルートを再検討し、幾つかある候補から最も険しい最短ルートを選びだし、引き絞られた矢が放たれたように全力疾走を開始した。

静粛性をかなぐり捨てたロードランナーの走力は目を見張る速度を叩きだし始める。
潜めていた息は次第にリズミカルな呼気へと変わり、騒々しい足音を立てる事も構わずに柊は樹海の中を駆け抜けていく。
騒音に気が付き、周囲から続々と集まってきた偵察兵やFOが追跡を開始する。
それには構わず柊は見出した1つの道筋を、前方を、ただ一心に見据えて真っ直ぐ前へと突き進む。
周囲は再び傾斜が強くなり、生い茂った樹木があちこちに根を張り、落ち葉は地面の凹凸を覆い隠す。
一歩でも踏み外せば転倒し、場合によっては大怪我を負いかねない悪路へと様相が変わり始める。
足場を見極め、迷い無く一歩を踏みこみ、身体を前へと押し上げる。
ロードランナーは絶妙なバランス感覚と強靭な足腰を活かして悪路を次々に走破していく。
落ち葉を舞い上げ、派手な痕跡を残しながら疾走するロードランナー。
やがて木々が途切れ、目に沁みるような青空が前方に広がる。
遂にランナーは追手が呆れる程の騒音と勢いで監視エリアを駆け抜けたのであった。

/*/

富士山中腹のゴール地点。
山特有のひんやりと身が引き締まるような空気の中で柊は目の前に広がる風景に魅入っていた。

眼下には砂で出来た砂丘がまるで絹のような滑らかさで広大に広がる。
その広大な砂の海原を4つに切り分ける交易路
路が交わる中央には緑の輪に囲まれた蒼い蒼いオアシスが宝石のように輝き
それによりそうように宿場町が佇んでいた。


  [No.1740] 投稿者:シュウマイ  投稿日:2011/04/19(Tue) 19:37:30
絵 (画像サイズ: 369×600 71kB)

外観決まらないと、にんともかんともなのでラフ案です。

ジャングル・密林仕様のつもりです。
より動ける事と、出来る限り活動できる場所を選ばないためがっちり着込みました。
手足以外通気性のある迷彩タイツのようなもので覆い、持久性を阻害しないよう鼻と口は空け、直描きで迷彩ペイントをしています。
上半身は防弾仕様の迷彩ジャケット、下半身は普通の迷彩パンツ。
長期間独立行動をしそうなので、リュックのような物がいりそうでしたら付けます。

低物理帯で使える範囲なのかわかりませんが暗視ゴーグルっぽいものがついてます。
別に外せます。


  [No.1741] お疲れ様です! 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/04/20(Wed) 00:31:30

> 外観決まらないと、にんともかんともなのでラフ案です。
>
> ジャングル・密林仕様のつもりです。
> より動ける事と、出来る限り活動できる場所を選ばないためがっちり着込みました。
> 手足以外通気性のある迷彩タイツのようなもので覆い、持久性を阻害しないよう鼻と口は空け、直描きで迷彩ペイントをしています。

がっちり着込むのOKです。
コンセプトは問題ないと思うのですが、イラストを拝見するに、腕の部分とかも程度厚さのある生地のほうがいいんじゃないのかしら、と思いました。
ロードランナーは悪路を走るのがお仕事なので、障害物やら木の枝やらで切れるのをある程度防げる方がいいかなぁ、と。

あとは顔の部分ですが、煙の中とかも走り抜けるので、逆に口の部分を(忍者のマスクみたいに)覆える用にした方がいいのではと思いました。
頭の部分タイツ地は好みの問題ですが、ない方が絵的に好きです! (←超個人的な意見

> 上半身は防弾仕様の迷彩ジャケット、下半身は普通の迷彩パンツ。
> 長期間独立行動をしそうなので、リュックのような物がいりそうでしたら付けます。

出来ればリュック欲しいです。食料とか物資とか運ぶ事もあるみたいなので。


> 低物理帯で使える範囲なのかわかりませんが暗視ゴーグルっぽいものがついてます。
> 別に外せます。

ゴーグルオッケーです。はずしてる人とつけてる人がいれば嬉しいです。


こんな感じで大丈夫でしょうか?


  [No.1747] ラフ2 投稿者:シュウマイ  投稿日:2011/04/24(Sun) 04:14:19
ラフ2 (画像サイズ: 540×600 73kB)

イジッタヨー


  [No.1751] Re: ラフ2 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/04/24(Sun) 18:47:58

> イジッタヨー

オッケーでーす!
ありがとうっ!問題ないと思います。

あと、構図を見てないのでなんともいえないのですが、イラストの中に頭の装備をとってベレー帽な人って混ぜれそうです?


  [No.1777] ラフ3 投稿者:シュウマイ  投稿日:2011/05/31(Tue) 00:53:31
ラフ3 (画像サイズ: 363×600 78kB)

長いこと音信不通ですいません。

予定では、メイン1枚、テキスト挿絵1,2枚ぐらいのを考えてます。
挿絵のほうでベレー帽かぶせようと思うのですがどうでしょうか?

それと、前のデザインがなんおひねりも無かったので
ちょっとデザインをいじりました。付属ファイルがそれです。

前のほうがよかったら言ってくださいー。


  [No.1778] おっ 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/05/31(Tue) 22:24:47

お疲れ様でーす。
色々小物が増えましたね!良いと思います!!

メイン1枚、テキスト挿絵1,2枚了解です。
私もページ用意しますー。


  [No.1851] シュウマイさんへ 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/12/04(Sun) 02:29:33

すみませんがロードランナーのイラストが完成したら、
この記事への返信としてイラストのUPをよろしくお願いします。


  [No.1357] 【燃料生産地】HQ化 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 23:03:11


  [No.1358] 要点 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 23:05:16

L:燃料生産地 = {
 t:名称 = 燃料生産地(施設)
 t:要点 = 油田,精錬所
 t:周辺環境 = 人里はなれた自然


  [No.1582] タンクのイラスト 投稿者:乃亜・クラウ・オコーネル  投稿日:2010/10/23(Sat) 15:38:33
タンクのイラスト (画像サイズ: 600×450 116kB)

こんな感じでいかがでしょー?
#タンクとパイプの感じです。

サイズはページに合うように変更して下さってOKですー。


  [No.1384] 設定文の草稿1(修正2) 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/07/25(Sun) 02:04:55

えーっと、07/19のチャットでの話を受けて取り敢えずざっくりと設定文を書いてみました。
どうでしょうか?
#前の設定文の内容をどの程度残すか?とか締めはこれで大丈夫か?等が気になっています。
感想や突っ込み、アドバイス等は随時受付中なので是非ともレスをお願いしまーす。

2010/08/12に設定文の一部を修正#ナニワ人と怪獣方式の記述関連
2010/08/16に修正#そもそもの始まりの部分の文言を修正。

/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ここから以降は設定文

○そもそもの始まり
 燃料は豊富な地下資源を商いに利用するナニワアームズ商藩国の民にとっては「主力商品」の意味を持つ。
石油燃料や石油そのものはもとより、石油から作られる石油製品。また燃料で動く戦力そのものも商品の一つである。
そして藩国自体もその生活の場のほとんどが地下にある為、当時の産出量に比して国内消費が占める割合が多く、
新たな燃料確保は藩国をやっていくための生命線とも言えた。

 シーズン1の当時、根源種族との戦いにより市場における燃料の需要増加と部隊出撃の為の燃料不足が深刻化しつつある事を背景に、
燃料の安定供給を目的として燃料生産地の生産拡大が急務として実施された。
 そしてシーズン2に入ってはや数年の月日が流れ、機械式の燃料精錬所も完成して燃料の安定供給が行われていた。
しかし昨今のI=D等の高性能化に伴う燃料消費の増加によって、ここにきて再び燃料の需要は高まりを見せ、藩国の首脳陣は対応に奔走する事となった。
こうして再び(燃料精錬所も含めると3度)ナニワアームズ商藩国における燃料生産の取り組みが始まったのである。

○燃料生産地開発の変遷
 このように古くからナニワの主要な産業の1つとして燃料生産は藩国と共に長い歴史を重ねる事となり、
”必要は発明の母”とも言うようにナニワの燃料産出の技術はその時代毎の要求と共に発展を続けている。
その最たるものが燃料精製の手法であり、ここではその変遷を紹介しよう。
 
・シーズン1
 燃料生産地の開発は建国初期より最優先で行われてきた。
 幸い地下資源の宝庫であった地下空洞には石炭・石油が産出されることも発見されており、
 燃料生産の手法として「燃料精製怪獣」と呼ばれる地底怪獣の習性を活用したナニワ特有かつどこか牧歌的な手法が用いられていた。
その習性とは精製前の石油を食料として食べ、排泄物として重油・軽油・灯油・ジェット燃料・ガソリン・石油ガスなどを作り出して体外に排出するというものである。
この燃料精製怪獣の体内は上部が最低30度、下部に至っては350度以上の高温に保たれており、蒸留分離をする仕組みがあると考えられている。
体内で生成された各種燃料は複数の経路で体外に別々に排出され、これを回収して燃料として利用していたのである。

・シーズン2
 時代は流れ、シーズン2になって暫くすると燃料精製怪獣達を活用した牧歌的な燃料精製では燃料生産が追いつかないという事態が迫りつつあった。
そこで怪獣方式に代わる新たな手法が必要とされ、ナニワの得意分野の1つである機械技術を活用する事が着目されたのである。
 紆余曲折(詳しくはこちらを参照)はあったものの、幾つかの困難を乗り越えて機械施設による燃料精錬技術が研究・確立され、
#”こちら”の部分に燃料製錬所のページのリンクを貼るイメージで。
燃料の精錬を行う精錬設備、燃料を貯えるための貯蔵設備、工場内のみならず外部施設との輸送手段でもあるパイプラインを有する燃料精錬所が完成したのである。
 こうしてナニワの燃料製錬の手法は怪獣方式から機械設備方式へとバトンが渡されたのである。
 
・そして今後に向けて
 さらに数年の月日が流れ、今日、再び燃料の需要が高まりを見せ始めていた。
燃料の生産性の向上に向けて動き始めた政府首脳陣の間では次の2点の厳守が暗黙の了解となっていた。
1)労働力の過剰投入による生産量増加は行わない。
2)環境への負荷を増加させない為に採掘量の増加以外の手法で限りある燃料を効率良く回収する事を目指す。
これは過去に資源採掘現場で発生した劣悪な環境下での過酷な労働という悲劇を再来させない為に絶対に譲れない点であった。
そしてその為の打開策として、ナニワアームズ商藩国では燃料生産についての基礎研究や技術開発の推進に力を入れる事になった。
”必要は発明の母”、これらの研究・開発が今後のナニワアームズ商藩国の燃料生産の現場で大きな役割を果たしていく事になるはずである。

○燃料生産技術の研究開発支援政策の施行
 最後に、こうした経緯により開始された燃料生産技術の研究開発支援政策の内容を記し、締めとしたい。

●概要
労働力の過剰投入や環境への負荷の増加を行う事無く、燃料の生産量を増加させる為の基礎研究や技術開発を推進する。

●支援対象となる研究の種類
・油田からの回収率を増加させる為の2次回収、3次回収の手法の研究(水やガスの圧入して油層の圧力を補う等)
・セパレーターによる分離工程(油、水、天然ガスを分離する)時のロスを減らす為の技術研究
・原油の脱湿・脱塩装置やエマルジョン分解装置のより効率の良い機械装置の開発
・油田、セパレーター、貯蔵タンク、燃料精錬所等の各種施設を結ぶパイプラインの整備及び輸送時のロスやコストの低減の為のパイプラインや貯蔵タンクの研究
・原油から各種石油製品の精錬手法のより効率の良い方法の研究
・天然ガスのエネルギー資源として活用法や精製手法の研究
・各種製造工程で発生する産業廃棄物の処理方法の研究

●主な支援内容
・資金援助
・必要な人材の調整
例:産業廃棄物の処理方法の研究なら国内にある産業廃棄物処理場からスタッフを派遣して貰うように調整する、危険物を扱う際の安全管理の為に消防署の人員を派遣して貰う等
・各種法整備
例:環境負荷対策の法案の検討等
・有効な方法は安全確認の為の検証を経て、実際に国家施設である燃料生産地に段階的に実用化していく。


  [No.1391] Re: 設定文の草稿1 投稿者:守上@携帯  投稿日:2010/08/09(Mon) 18:27:25

設定文ありがとうございます。


以下遅くなりましたが、気になった点、というかツッコミ?です。


○そもそもの始まり
 燃料は豊富な地下資源を商いに利用するナニワ人にとっては「主力商品」の意味を持つ。

 ⇒ナニワ人?西国人?ナニワ人?


藩国自体もその生活の場のほとんどが地下にあるため、燃料を消費する機会も多く、燃料確保は藩国をやっていくための生命線とも言えた。

 ⇒ナニワの都市部分の平均気温は八度前後の模様です。
多分、一年中こんなもんでしょう。(一年を通して寒暖の差が少ない。)
なので、基本生活で燃料を大量消費することは少ないかと思います。
(バスより怪獣さんに乗って移動するし!)
特に石炭・石油はエネルギーに変換するときに大気汚染がついてまわるので。

あ、精製するにしても区画を完全に分けとかないといけないなぁ、と。今書いてて思った。


体内で生成された各種燃料は複数ある排出用の口(排泄物として出しているなら肛門なのだろうか)からそれぞれ別に吐き出される。

そのとーりなんだけど………こう…………。
別の言い回しとか(遠い目


現時点で気になった(?)のは以上です。

ありがとうございます!!


  [No.1397] どうもです 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/08/12(Thu) 22:28:01

> 以下遅くなりましたが、気になった点、というかツッコミ?です。
ツッコミありがとうございます!
>
> ○そもそもの始まり
>  燃料は豊富な地下資源を商いに利用するナニワ人にとっては「主力商品」の意味を持つ。
>
>  ⇒ナニワ人?西国人?ナニワ人?
ナニワアームズ商藩国の民
に修正しましたー。
> 藩国自体もその生活の場のほとんどが地下にあるため、燃料を消費する機会も多く、燃料確保は藩国をやっていくための生命線とも言えた。
>
>  ⇒ナニワの都市部分の平均気温は八度前後の模様です。
> 多分、一年中こんなもんでしょう。(一年を通して寒暖の差が少ない。)
> なので、基本生活で燃料を大量消費することは少ないかと思います。
> (バスより怪獣さんに乗って移動するし!)
> 特に石炭・石油はエネルギーに変換するときに大気汚染がついてまわるので。
ここは元々ある部分の設定なのでちょっとどうするか悩んでいます。
#いきなり削ってしまうとどうなるかわからないので
ちなみにここの燃料消費は温暖設備というよりも、動力源としてじゃないかな?
(結構前から地下鉄とか各階層を結ぶエレベーターとかあった気がするし。後、空調設備、上下水道などのインフラ周り)

> 体内で生成された各種燃料は複数ある排出用の口(排泄物として出しているなら肛門なのだろうか)からそれぞれ別に吐き出される。
>
> そのとーりなんだけど………こう…………。
> 別の言い回しとか(遠い目
マイルドになるように少しだけぼかしてみました。


  [No.1401] 遅くなりました。 投稿者:乃亜・クラウ・オコーネル  投稿日:2010/08/16(Mon) 00:54:13

設定文ありがとうございます。 お疲れさまです!

ええと、具体的な文章案とかではなくって中途半端な感じの感想で申し訳ないのですが(汗)、
ちょっと思ったことを書いてみます。


>藩国自体もその生活の場のほとんどが地下にあるため、燃料を消費する機会も多く、

風光さんが考えてらっしゃる通り、動力源なども多かったのではないかなあ、と思いますし、昔は暖房に使うこともあったのだろうなあ、と思います。
#(そもそもの建国の頃(=ナニワ商隊が発見して住みついた頃)は、普通に地上も地下も行き来してたりしてたのではないかなあ?)
#(色々その時々で、地下が〜とか地上が〜とか一時的にあれこれはありましたが・汗)

「過去には藩国内においても、動力源や発電のために燃料を使用する機会も多く〜」としてみるのは如何でしょうか?


そして、

ナニワにいた怪獣の一種が、時折石油を食べており、その排泄物が燃料などとして使用できることを発見。
#(このとき、怪獣さんが石油「しか」食べないのだと問題な気がするので、栄養補給的に(ミネラルとか)時々主食と違うものを食べる行動をする、みたいな感じにもっていけないでしょうか・・汗)
  ↓
その怪獣さんの種類を「燃料精製怪獣」と名づけて共存することに成功。
(人が、住む所を調える、健康管理をする、一緒に子供を守る、食べ物をより食べやすいようにする、等で、一緒に暮らして燃料を使わせてもらう)
#相手が普通の動物だと通常はこれを家畜化と呼ぶような気がしますが、ナニワの怪獣さんたちへの場合は・・・・「共存化」とか、違う言葉を作った方が良い気が(汗)。
  ↓
シーズン1の頃まではこのままで問題はなかったが、シーズン2で燃料生産が追いつかないことになってきた。
  ↓
(石油を食べて排泄する=石油から何らかの成分などを摂取している、ということなので、
 この「何らかの成分」も人が回収できれば、普通に生産量は増えるのではないでしょうか?)
そのための方法として、
 ・燃料精製怪獣さんには、その栄養源を他のものから摂取してもらう(=燃料精製怪獣さん用のご飯を人が作る。できれば美味しいの。)
 ・精錬そのものを、機械精製に切り替える。
 ・またこの時、昔には精製しきれなかったり、かつて不用品と思われていたものにも使用方法が開発された、あるいは省エネ機器の開発・普及、などの技術進歩で結果的に生産量増加はありだと思います。

おおまかに、こんな感じの流れにするのは如何でしょうか?
#なるべく、ドナドナとかリストラとか方面には行かない感じを目指して・・(汗)。
#イラストを見ると、身体が大きくて力持ちでしょうし、気質も温和でしょうし、外見もらぶりーなので、普通にお仕事としてできることはいっぱいあると思います。

過去にはこう思われてた(こうだった)、けれど、実は違った(新しいことが判明した・できるようになった)・・と云うように変更するのとかは、
大丈夫なのではないかなーと思います。


あと、入れる加減が難しいですが、元の設定にあった、
>負傷者の治療のためにサイボーグ医療技術の基礎が築かれるのだが、ここでは割愛する)
こちらの設定は、一部を修正して残すのは如何でしょうか?
#サイボーグ枝、少なくなってはきてますがまだありますので、残したほうが良いかなあ、と思いました。
#怪獣たちとの戦いうんぬん・・は書かなくても良い気がしますが、事故とかはあったと思いますし・・。
#(最近は落盤などを起こさないように作業している、とか 病院が建ったので大丈夫になってきた、とかも織り込めれば、さらにベストでしょうか)


>・そして今後に向けて
以降の、環境への配慮や過酷な労働を防ぐための条件厳守は良いと思いますー。


--
#・・・と、ここまで書いてみて、「猫の草(毛玉を出すために猫が食べる草)」とかを思い出してしまった・・・。
#最近では、毛玉ができにくい猫餌とかもあるみたいですね。むーん。
#「実は石油は食料ではなく、猫の草みたいなものだった」とかにした方が良いのかなあ・・???


  [No.1403] Re: 遅くなりました。 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/08/16(Mon) 21:48:56

> 設定文ありがとうございます。 お疲れさまです!
>
> ええと、具体的な文章案とかではなくって中途半端な感じの感想で申し訳ないのですが(汗)、
> ちょっと思ったことを書いてみます。
どうも!参考にさせてもらいます。

> >藩国自体もその生活の場のほとんどが地下にあるため、燃料を消費する機会も多く、
>
> 風光さんが考えてらっしゃる通り、動力源なども多かったのではないかなあ、と思いますし、昔は暖房に使うこともあったのだろうなあ、と思います。
> #(そもそもの建国の頃(=ナニワ商隊が発見して住みついた頃)は、普通に地上も地下も行き来してたりしてたのではないかなあ?)
> #(色々その時々で、地下が〜とか地上が〜とか一時的にあれこれはありましたが・汗)
>
> 「過去には藩国内においても、動力源や発電のために燃料を使用する機会も多く〜」としてみるのは如何でしょうか?
ふむふむ。昔は〜だったと言う言い回しは元の設定と喧嘩しにくそうなので良いですな。そのアイデア頂きます。

> ナニワにいた怪獣の一種が、時折石油を食べており、その排泄物が燃料などとして使用できることを発見。
> #(このとき、怪獣さんが石油「しか」食べないのだと問題な気がするので、栄養補給的に(ミネラルとか)時々主食と違うものを食べる行動をする、みたいな感じにもっていけないでしょうか・・汗)
ちょっと思いついたんだけど、燃料精製怪獣が原油を摂取した後の排泄物が精錬された燃料として利用できるという設定なので、
燃料として使用する際の不純物にあたるものを栄養源にしてると言うのも良さそうかも。
#この設定なら彼らが原油を食べてもこちらは困らないしね(笑) 共生に近いイメージ。

> あと、入れる加減が難しいですが、元の設定にあった、
> >負傷者の治療のためにサイボーグ医療技術の基礎が築かれるのだが、ここでは割愛する)
> こちらの設定は、一部を修正して残すのは如何でしょうか?
> #サイボーグ枝、少なくなってはきてますがまだありますので、残したほうが良いかなあ、と思いました。
> #怪獣たちとの戦いうんぬん・・は書かなくても良い気がしますが、事故とかはあったと思いますし・・。
> #(最近は落盤などを起こさないように作業している、とか 病院が建ったので大丈夫になってきた、とかも織り込めれば、さらにベストでしょうか)
話の焦点を精錬技術の方に当てているので、サイボーグ関連の設定は確かに入れる加減が難しいですな。
(旧ページが残るはずなので、サイボーグ関連の設定は旧ページに任せるというので良いかなあと思ってます。)

> >・そして今後に向けて
> 以降の、環境への配慮や過酷な労働を防ぐための条件厳守は良いと思いますー。
どうもです。

>
>
> --
> #・・・と、ここまで書いてみて、「猫の草(毛玉を出すために猫が食べる草)」とかを思い出してしまった・・・。
> #最近では、毛玉ができにくい猫餌とかもあるみたいですね。むーん。
> #「実は石油は食料ではなく、猫の草みたいなものだった」とかにした方が良いのかなあ・・???


  [No.1549] 設定文の決定稿 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/09/23(Thu) 00:13:03

良く考えてみたら、ずっと草稿のままだった(汗。
特に問題が無ければ下記の設定文を決定稿でお願いします。
SSについては良いアイデアが思い付かないので、もし必要なら誰か他の人にお願いします。
#現在、ロードランナーの設定文やSSのアイデアがまとまらずに絶賛苦戦中です(笑)

/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ここから以降は設定文

○そもそもの始まり
 燃料は豊富な地下資源を商いに利用するナニワアームズ商藩国の民にとっては「主力商品」の意味を持つ。
石油燃料や石油そのものはもとより、石油から作られる石油製品や燃料で動く戦力そのものも商品の一つである。
そして藩国自体もその生活の場のほとんどが地下にある為、当時の産出量に比して国内消費が占める割合が多く、
新たな燃料確保は藩国をやっていくための生命線とも言えた。

 シーズン1の当時、根源種族との戦いにより市場における燃料の需要増加と部隊出撃の為の燃料不足が深刻化しつつある事を背景に、
燃料の安定供給を目的として燃料生産地の生産拡大が急務として実施された。
 そしてシーズン2に入ってはや数年の月日が流れ、機械式の燃料精錬所も完成して燃料の安定供給が行われていた。
しかし昨今のI=D等の高性能化に伴う燃料消費の増加によって、ここにきて再び燃料の需要は高まりを見せ、藩国の首脳陣は対応に奔走する事となった。
こうして再び(燃料精錬所も含めると3度)ナニワアームズ商藩国における燃料生産の取り組みが始まったのである。

○燃料生産地開発の変遷
 このように古くからナニワの主要な産業の1つとして燃料生産は藩国と共に長い歴史を重ねる事となり、
”必要は発明の母”とも言うようにナニワの燃料産出の技術はその時代毎の要求と共に発展を続けている。
その最たるものが燃料精製の手法であり、ここではその変遷を紹介しよう。
 
・シーズン1
 燃料生産地の開発は建国初期より最優先で行われてきた。
 幸い地下資源の宝庫であった地下空洞には石炭・石油が産出されることも発見されており、
燃料生産の手法として「燃料精製怪獣」と呼ばれる地底怪獣の習性を活用したナニワ特有かつどこか牧歌的な手法が用いられていた。
その習性とは精製前の石油を食料として食べ、排泄物として重油・軽油・灯油・ジェット燃料・ガソリン・石油ガスなどを作り出して体外に排出するというものである。
この燃料精製怪獣の体内は上部が最低30度、下部に至っては350度以上の高温に保たれており、蒸留分離をする仕組みがあると考えられている。
体内で生成された各種燃料は複数の経路で体外に別々に排出され、これを回収して燃料として利用していたのである。

・シーズン2
 時代は流れ、シーズン2になって暫くすると燃料精製怪獣達を活用した牧歌的な燃料精製では燃料生産が追いつかないという事態が迫りつつあった。
そこで怪獣方式に代わる新たな手法が必要とされ、ナニワの得意分野の1つである機械技術を活用する事が着目されたのである。
 紆余曲折(詳しくはこちら(燃料製錬所のページのリンク)を参照)はあったものの、幾つかの困難を乗り越えて機械施設による燃料精錬技術が研究・確立され、
燃料の精錬を行う精錬設備、燃料を貯えるための貯蔵設備、工場内のみならず外部施設との輸送手段でもあるパイプラインを有する燃料精錬所が完成したのである。
 こうしてナニワの燃料製錬の手法は怪獣方式から機械設備方式へとバトンが渡されたのである。
 
・そして今後に向けて
 さらに数年の月日が流れ、今日、再び燃料の需要が高まりを見せ始めていた。
燃料の生産性の向上に向けて動き始めた政府首脳陣の間では次の2点の厳守が暗黙の了解となっていた。
1)労働力の過剰投入による生産量増加は行わない。
2)環境への負荷を増加させない為に採掘量の増加以外の手法で限りある燃料を効率良く回収する事を目指す。
これは過去に資源採掘現場で発生した劣悪な環境下での過酷な労働という悲劇を再来させない為に絶対に譲れない点であった。
そしてその為の打開策として、ナニワアームズ商藩国では燃料生産についての基礎研究や技術開発の推進に力を入れる事になった。
”必要は発明の母”、これらの研究・開発が今後のナニワアームズ商藩国の燃料生産の現場で大きな役割を果たしていく事になるはずである。

○燃料生産技術の研究開発支援政策の施行
 最後に、こうした経緯により開始された燃料生産技術の研究開発支援政策の内容を記し、締めとしたい。

●概要
労働力の過剰投入や環境への負荷の増加を行う事無く、燃料の生産量を増加させる為の基礎研究や技術開発を推進する。

●支援対象となる研究の種類
・油田からの回収率を増加させる為の2次回収、3次回収の手法の研究(水やガスの圧入して油層の圧力を補う等)
・セパレーターによる分離工程(油、水、天然ガスを分離する)時のロスを減らす為の技術研究
・原油の脱湿・脱塩装置やエマルジョン分解装置のより効率の良い機械装置の開発
・油田、セパレーター、貯蔵タンク、燃料精錬所等の各種施設を結ぶパイプラインの整備及び輸送時のロスやコストの低減の為のパイプラインや貯蔵タンクの研究
・原油から各種石油製品の精錬手法のより効率の良い方法の研究
・天然ガスのエネルギー資源として活用法や精製手法の研究
・各種製造工程で発生する産業廃棄物の処理方法の研究

●主な支援内容
・資金援助
・必要な人材の調整
例:産業廃棄物の処理方法の研究なら国内にある産業廃棄物処理場からスタッフを派遣して貰うように調整する、危険物を扱う際の安全管理の為に消防署の人員を派遣して貰う等
・各種法整備
例:環境負荷対策の法案の検討等
・有効な方法は安全確認の為の検証を経て、実際に国家施設である燃料生産地に段階的に実用化していく。


  [No.1359] 【燃料精錬所】SHQ化 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 23:08:02

こっちはSHQ化。
http://www.eonet.ne.jp/~kasalelia/idress/refinery/

従業員の安全を一番に考えましょう。


  [No.1360] 要点 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 23:09:01

L:燃料精錬所 = {
 t:名称 = 燃料精錬所(施設)
 t:要点 = 燃料精錬所,燃料タンク,パイプライン
 t:周辺環境 = 油田

htmlもうちょっとはばひろげます。


  [No.1361] 【偵察パイロット】 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 23:11:44

未開示ですが作業候補として。

偵察パイロット用スレッドです。
設定文とイラスト作業者絶賛募集中ですが、先に他のやってください。


  [No.1362] 要点 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/06/26(Sat) 23:28:46

【猫妖精2】
L:猫妖精2 = {
 t:名称 = 猫妖精2(職業)
 t:要点 = 猫耳,尻尾
 t:周辺環境 = なし


【偵察パイロット】
L:偵察パイロット = {
 t:名称 = 偵察パイロット(職業)
 t:要点 = クレバーなパイロット,目を光らせる,機体の上
 t:周辺環境 = 空中


【名パイロット】
L:名パイロット = {
 t:名称 = 名パイロット(職業)
 t:要点 = 略帽,イエロージャンパー,航空用腕時計
 t:周辺環境 = コクピット


  [No.1555] 【ファランクス戦術】 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/10/08(Fri) 23:07:29

ファランクス戦術用スレッドです。
設定文とイラスト作業者絶賛募集中。

芝村さんから飲み会でちょろっとファランクス戦術について
お話をお伺いしたので、作業前に会議しましょう。


  [No.1556] 要点 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/10/08(Fri) 23:07:43

L:ファランクス戦術 = {
 t:名称 = ファランクス戦術(技術)
 t:要点 = 密集,隊列,並ぶ武器
 t:周辺環境 = 戦場


  [No.1574] 質疑投稿しました 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/10/20(Wed) 00:48:45

ファランクス戦術についての質疑を投稿しました。

http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=12652

もし変な所や不味い所等があれば突っ込みお願いします。
(その場合は、記事を一旦削除して修正した後、質疑を出し直します)


  [No.1680] 設定文の草稿その1 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/01/04(Tue) 21:45:55

今回は設定文とSSを余り分けずに書いてみました。
設定文とSSは分けた方が良いとか、これは不味いんでないかい?とか、ここの話の流れが良く分からない等がありましたら、ツッコミをよろしくお願いします。
#もしくはここが冗長に感じるとか逆に短すぎるとかも
後、トップに生活ゲームでの暮里氏の台詞をテンダイス風に抜粋する候補を2案考えてみた。
こちらもどちらの方が良いか意見募集中です。

/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/
タイトル:ファランクス戦術、その確立への道程


”なるほど。ちなみに小型機をグルーピングでまとめる場合はどういった能力が重要になってくるんでしょうか?”
”戦術だな”
〜ナニワアームズ王城内での暮里氏をまじえた相談会にて〜


”密集戦術だな。敵は対抗上、どうしようもなく、密集せざるをえなくなる。さもなければ、迂回するかだ”
〜ファランクス戦術についての暮里氏の言〜

漆黒の”ネット”の中を陽光に照らされ、白銀に輝くラグドールが整然と幾つかの隊列から成る密集陣形を組んでいた。
可変式大口径レーザービーム砲の長い砲身を構えて並ぶその様はまるで古の戦場で槍を構え、甲冑に身を固めた重装歩兵達を彷彿とさせる。
彼らの視線の先にぼんやりとした霞の様な輝きが浮かぶ。
霞は霧に代わり、やがて雲霞の如く押し寄せる敵となる。
押し寄せる敵を射程に捉えると同時に一糸乱れぬ動きで前列のラグドール達が光条を一斉に放ち、前方から迫っていた無数の敵を次々に撃ち落とす。
正面からの衝突を避け、湾曲するようなルートで前列のラグドールを狙って上下左右から飛び込んでくる敵や飛翔体は密集陣形の後方からの光条の穂先によって貫かれる。
密集陣形を組んだラグドール達が光を遮る白いカーテンの如く、輝く雲霞を押し止める。
業を煮やしたように雲霞が一点に集中し、損害を無視して強引に無数の光条に貫かれるのにも構わず押し寄せる。
その瞬間、黒と白が反転。
辺り一面の戦場を光が蹂躙し、光の中に幾つかの影の点が生まれる。
光が収まり、再び漆黒が戻ってきた戦場に残っていたのは、ダイアビシニアンの長射程自由電子レーザー砲によって粉砕された敵の残骸と隊列を組んだラグドール達であった。

/*/

以上がナニワアームズの首脳陣が思い描いたI=Dを用いたファランクス戦術の概要であった。

/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/ここで別ページ?

事の起こりは予見されている宇宙での戦いに備えたナニワアームズでの検討会議から始まった。
宇宙での戦いに備えた開発されたラグドールは無事完成したものの、その次のステップ、次の一手をどうするかでナニワ首脳陣は頭を悩ませていた。
上空からの狙撃等の操縦技術の向上、ビームラムやフライトユニット等のオプションパーツの開発、後継機としての重主力機の開発等の様々な案が出されていたが方針を絞り込めずにいたのである。
というのも、サイベリアンを始めとしたI=Dが宇宙戦の主力だった頃から時代は流れ、
空母や駆逐艦、巡洋艦等の輸送以外の役割を担える宇宙戦艦や航路移動が可能な艦載機の出現により今後の宇宙戦がどうなっていくか?というビジョンが掴めていなかった為である。

悩みに悩んだ首脳陣が最終的にとった方法は割とシンプルであった。『分かれなければ詳しい人に聞けば良い』である。
こうして宇宙戦に詳しい暮里氏に相談を持ち掛けたナニワ首脳陣はそこで宇宙戦におけるI=Dの役割のビジョンとファランクス戦術を始めとした戦術について教わった。
これらを元に首脳陣が下した決断はハードウェアによる性能面の進歩とは異なる可能性の模索、つまりファランクス戦術の研究と確立であった。


それから数ヶ月の月日が流れ、その日はやってきた。

ナニワ航空軍の選りすぐりのエースパイロット達で編成された特殊チームによるラグドールの運用データの蓄積
それらを元にした研究班による入念な分析と検討
短期間で密集陣形のフォーメーションをものにしたパイロット達の頑張り

各自がファランクス戦術の確立を目指して行った仕事の成果を見せる模擬戦の日が訪れたのである。

司令室から演習場を眺める蘭堂の眼前で行われている一糸乱れぬラグドール達の隊列はそれらを如実に表していた。
その様を満足気に眺める蘭堂に司令室を訪れた守上摂政が声をかける。
「仕上がりはどんな感じ?」
「フッ、任せて下さい。バッチリですよ」
「えらく自信満々だね」
「それはもう!あの綺麗な隊列を見て下さいよ」
「なるほど、確かに揃っているね」

そんなやり取りが司令室で交わされている間にファランクス戦術で戦う白チームと通常の方法で戦う赤チームの2つに分かれた各部隊の準備が整い、模擬戦の幕が切って落とされた。
模擬戦の初撃は蘭堂の自信を裏付けるように統制のとれた白チームの一糸乱れぬ一斉射撃が赤チームに突き刺さり、一気に15%という損害率を叩きだす。
痛打を被り、浮足立った赤チームは足並みも揃わぬうちに反撃を開始し、ここに模擬戦の趨勢は定まったのであった。

/*/

模擬戦終了後の司令室。
その余りにも圧倒的な結果に気圧される様に異様な静寂が訪れていた。
両手で顔を押さえ、俯いた蘭堂の肩が何かをこらえる様に小刻みに震えていた。

赤チームの損害率は実に45%
対する白チームの損害率は何と85%
……記録的な惨敗であった。

両手で顔を隠し、ションボリと嗚咽をこらえる蘭堂と
かける言葉が思い付かずに気不味げに黙りこむ司令室の面々
微かに聞こえる「うっうっうっ」というくぐもった声以外は司令室は沈黙に閉ざされていた。

/*/

初撃こそは想定通り赤チームに大損害を与えたものの、
初撃を凌いだ赤チームのベテランパイロット達の猛反撃が始まると目まぐるしく変わる戦況に対応が追い付かず突出するもの、
遅れて取り残されるものが出始めた。

こうして生まれた間隙をぬって強襲してくる赤チームに白チームは各個撃破の憂き目に会い、
それにより更に広がった穴に怒涛の勢いで雪崩れ込んだ赤チームの勢いに呑まれた白チームの統制はアッと言う間に乱れた。
そこで密集陣形が裏目に出てしまい、各個が思い思いに回避行動を取ろうとして衝突が多発し、逃げ場を失った白チームは為すすべもなく赤チームに蹂躙されたのであった。

ちなみにこの結果にショックを受けた蘭堂は1週間ほど自宅に引き籠ったという。

その後、どうにか立ち直った蘭堂と参謀チームが模擬戦のデータの更なる分析を行い、
出した結論は個人の技量のバラツキとそれに対するフォローや相互サポートの無さであった。
戦況がシンプルな間は取れていた統制も、突発的及び急な状況変化に直面し、瞬発的な判断が必要になってくると技量の差が明確に出てしまったのである。
これによってベテランパイロットほど突出してしまい、逆に新米パイロットは取り残された。
そして本来ならそこでフォローに入るべきベテランパイロット達が個人技に走ってしまい、各個撃破されてしまった訳である。

学校が無く、集団生活を体験する機会が少なかった現役パイロット達がかなりの割合に上る事が分かり、
その事がここで思わぬ影を落とす事になったのである。
また過去の事件によって本来なら部隊長となるべき人材の育成が遅れていた事もこの事態に拍車をかけた。
後に行われた調査の結果、小隊単位でリーダーシップを発揮できる人間が全体数に比べてかなり不足していた事も判明した。

こうして明らかになった問題点に対してナニワアームズは対応を迫られる事となった。

/*/

カキーンという打撃音と共にボールが空高く舞い上がる。
新品のグローブを片手にへっぴり腰で空を見上げてボールを追うパイロット達が派手に衝突し、その横にボールが転々と転がる。
難しいバウンドをしたボールがセカンドの股下をトンネルし、それを見て慌てたライトがボールに追いすがる間にランナーはホームに返る。
スコアボードには各回毎に8点とか6点とか景気の良い数字が並び、打撃戦の様相である。

藩国軍に所属する全パイロット達は小隊単位で班分けされ、現在、合同野球合宿の真っ最中であった。

いつもの散歩の途中で通り掛かったリトルスネーク球場で少年達が元気に野球の試合をしているのを見かけた時に思い付いた蘭堂の発案で行われたものである。
当パイロット達の間では何故野球!?との声も少なく無かったが、こういうのは口で説明するよりも体験してもらうのが一番と宥められて実施される事になった。
ちなみに負けたチームは失点に応じた合宿中の罰当番や居残り特訓(勿論、野球の)が待っているので皆必死である。

こうして開始されたパイロット達による野球合宿は始めの数日こそブーイングも多かったものの、
元々人気の高い種目であった事も幸いしたのか、はたまた罰当番や居残り特訓が余程嫌だったのか、
数週間後にはパイロット達の野球の実力は目に見えて向上していった。

そして合宿最終日。

カキーンと快音が響き渡ると「オーライ、オーライ」と元気の良い声を張り上げたセンターのパイロットが使い込んだグローブを空に掲げて見事にフライをキャッチ。
ショートへの鋭いライナーをノーバウンドでショートがキャッチすると即座にベースカバーに入ったセカンドに送球し、ダブルプレー。
スコアボードにはズラリと0が並び、投手戦の様相である。
グラウンドにはチームメイトへの声援や掛け声が響き渡り、本合宿中でも1,2を競う好ゲームが繰り広げられていた。

そして蘭堂や参謀部の面々は一緒になって試合観戦をし、声援に声を張り上げていた。

/*/

その後、参謀部での戦術プランの練り直しや部隊長候補の育成等が行われ、2度目の模擬戦の日が訪れた。

密集陣形を組み、思い思いにズラリと武器を構えた白チームとベテランパイロットを先鋒に据えた赤チーム。
再び対峙する赤チームと白チームの戦いの火蓋が切って落とされた。
各個に様々な角度から攻め立てる赤チームのベテランパイロット達に対し、白チームの動きは以前とは異なり、
判で押したような統制は失われていたが、前列と後列の連携が有機的に働き、新米パイロット達の動きで生じる穴を
ベテランパイロット達がフォローし、チーム全体が1個の戦闘単位となって赤チームを迎え撃った。

/*/
第2回模擬戦報告書
赤チーム損害率:35%
白チーム損害率:5%

前回の課題はかなりの面で改善が見られました。
今後の更なる部隊の練度向上や小隊長機の通信機能増強等により良好な成果が期待できそうです。

#この辺によくできました的な判子で締め


  [No.1774] 設定文+SSの決定稿 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/05/29(Sun) 21:38:29

特に問題点も無さそう&誤字脱字チェックもあらかた終了したので、これで一先ず完成です。

/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/
タイトル:ファランクス戦術、その確立への道程

”ファランクス戦術って一点突破の戦術だと思ってたんだけど・・・。”
”密集戦術だな。敵は対抗上、どうしようもなく、密集せざるをえなくなる。さもなければ、迂回するかだ”
”あー。なるほどー・・・”
〜ナニワアームズ王城内での暮里氏をまじえた相談会にて〜


漆黒の”ネット”の中を陽光に照らされ、白銀に輝くラグドールが整然と幾つかの隊列から成る密集陣形を組んでいた。
可変式大口径レーザービーム砲の長い砲身を構えて並ぶ姿はまるで古の戦場で槍を構え、甲冑に身を固めた重装歩兵達を彷彿とさせる。
彼らの視線の先にぼんやりとした霞の様な輝きが浮かぶ。
霞は霧に代わり、やがて雲霞の如く押し寄せる敵となる。
押し寄せる敵を射程に捉えると同時に一糸乱れぬ動きで前列のラグドール達が光条を一斉に放ち、前方から迫っていた無数の敵を次々に撃ち落とす。
正面からの衝突を避け、湾曲するようなルートで前列のラグドールを狙って上下左右から飛び込んでくる敵や飛翔体は密集陣形の後方からの光条の穂先によって貫かれる。
密集陣形を組んだラグドール達が光を遮る白いカーテンの如く、輝く雲霞を押し止める。
業を煮やしたように雲霞が一点に集中すると損害を無視し、無数の光条に貫かれる事にも構わず強引に押し寄せ始めた。
その瞬間、黒と白が反転。
辺り一面の戦場を光が蹂躙し、光の中に幾つかの影の点が生まれる。
光が収まり、再び漆黒が戻ってきた戦場に残っていたのは、ダイアビシニアンの長射程自由電子レーザー砲によって粉砕された敵の残骸と隊列を組んだラグドール達であった。

/*/

以上がナニワアームズの首脳陣が思い描いたI=Dを用いたファランクス戦術の概要であった。

/*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/ここで別ページ?

事の起こりは予見されている宇宙での戦いに備えたナニワアームズでの検討会議から始まった。
宇宙での戦いに備えて開発されたラグドールは無事完成したものの、その次のステップ、次の一手をどうするかでナニワ首脳陣は頭を悩ませていた。
上空からの狙撃等の操縦技術の向上、ビームラムやフライトユニット等のオプションパーツの開発、後継機としての重主力機の開発等の様々な案が出されていたが方針を絞り込めずにいたのである。
というのも、サイベリアンを始めとしたI=Dが宇宙戦の主力だった頃から時代は流れ、
空母や駆逐艦、巡洋艦等の輸送以外の役割を担える宇宙戦艦や航路移動が可能な艦載機の出現により今後の宇宙戦がどうなっていくか?というビジョンが掴めていなかった為である。

悩みに悩んだ首脳陣が最終的にとった方法は割とシンプルであった。『分かれなければ詳しい人に聞けば良い』である。
こうして宇宙戦に詳しい暮里氏に相談を持ち掛けたナニワ首脳陣はそこで宇宙戦におけるI=Dの役割のビジョンとファランクス戦術を始めとした戦術について教わった。
これらを元に首脳陣が下した決断はハードウェアによる性能面の進歩とは異なる可能性の模索、つまりファランクス戦術の研究と確立であった。


それから数ヶ月の月日が流れた、太陽が燦々と地上を照らすある日。

ナニワ航空軍における選りすぐりのエースパイロット達で編成された特殊チームによるラグドールの運用データの蓄積
それらを元にした研究班による入念な分析と検討
短期間で密集陣形のフォーメーションをものにしたパイロット達の頑張り

各自がファランクス戦術の確立を目指して行った仕事の成果を見せる模擬戦の日が遂に訪れたのであった。

司令室から演習場を眺める蘭堂の眼下で行われている一糸乱れぬラグドール達の隊列はその成果を如実に表していた。
その様を満足気に眺める蘭堂に司令室を訪れた守上摂政が声をかける。
「仕上がりはどんな感じ?」
「フッ、任せて下さい。バッチリですよ」
「えらく自信満々だね」
「それはもう!あの綺麗な隊列を見て下さいよ」
「なるほど、確かに揃っているね」

そんなやり取りが司令室で交わされている間にファランクス戦術で戦う白チームと従来の方法で戦う赤チームの2つに分かれた各部隊の準備が整い、模擬戦の幕が切って落とされた。
模擬戦の初撃は蘭堂の自信を裏付けるように統制のとれた白チームから放たれた一糸乱れぬ一斉射撃であった。その一撃は赤チームに深々と突き刺さり、一気に15%という損害率を叩きだす。
痛打を被り、浮足立った赤チームは足並みも揃わぬうちに反撃を開始し、ここに模擬戦の趨勢は定まったのであった。

/*/

模擬戦終了後の司令室。
その余りにも圧倒的な結果に気圧される様に異様な静寂が訪れていた。
両手で顔を押さえ、俯いた蘭堂の肩が何かをこらえる様に小刻みに震えていた。

赤チームの損害率は実に45%
対する白チームの損害率は何と85%
……記録的な惨敗であった。

両手で顔を隠し、ションボリと嗚咽をこらえる蘭堂と
かける言葉が思い付かずに気不味げに黙りこむ司令室の面々
微かに聞こえる「うっうっうっ」というくぐもった声以外は司令室は沈黙に閉ざされていた。

/*/

初撃こそは想定通り赤チームに大損害を与えたものの、
初撃を凌いだ赤チームのベテランパイロット達の猛反撃が始まると目まぐるしく変わる戦況に対応が追い付かず突出するもの、
遅れて取り残されるものが出始めた。

こうして生まれた間隙をぬって強襲してくる赤チームに白チームは各個撃破の憂き目に会い、
それにより更に広がった穴を目掛けて怒涛の勢いで雪崩れ込んだ赤チームの勢いに呑まれた白チームの統制はアッと言う間に乱れた。
そこで密集陣形が裏目に出てしまい、各個が思い思いに回避行動を取ろうとして衝突が多発。
逃げ場を失った白チームは為すすべもなく赤チームに蹂躙されたのであった。

ちなみにこの結果にショックを受けた蘭堂は1週間ほど自宅に引き籠ったという。

その後、どうにか立ち直った蘭堂と参謀チームが模擬戦のデータの更なる分析を行い、
出した結論は個人の技量のバラツキとそれに対するフォローや相互サポートの無さであった。
戦況がシンプルな間は取れていた統制も、突発的及び急な状況変化に直面し、瞬発的な判断が必要になってくると技量の差が明確に出てしまったのである。
これによってベテランパイロットほど突出してしまい、逆に新米パイロットは取り残された。
そして本来ならそこでフォローに入るべきベテランパイロット達が個人技に走ってしまい、各個撃破されてしまった訳である。

さらに学校が無く、集団生活を体験する機会が少なかった現役パイロット達がかなりの割合に上る事が分かり、その事がここで思わぬ影を落とす事になったのである。
また過去の事件によって本来なら部隊長となるべき人材の育成が遅れていた事もこの事態に拍車をかけた。
後に行われた調査の結果、小隊単位でリーダーシップを発揮できる人間が全体数に比べてかなり不足していた事が判明した。

こうして明らかになった問題点に対してナニワアームズは対応を迫られる事となった。

/*/

カキーンという打撃音と共にボールが空高く舞い上がる。
新品のグローブを片手にへっぴり腰で空を見上げながらボールを追うパイロット達が派手に衝突し、その横にボールが転々と転がる。
難しいバウンドをしたボールがセカンドの股下をトンネルし、それを見て慌てたライトがボールに追いすがる。そしてその間にランナーはホームに返る。
スコアボードには各回毎に8点、6点、9点といった景気の良い数字が並び、打撃戦の様相である。

陽光が降り注ぐグラウンドでは藩国軍に所属する全パイロット達が小隊単位で班分けされ、現在、合同野球合宿の真っ最中であった。

蘭堂の発案で行われた合同野球合宿は、散歩の途中で通り掛かったリトルスネーク球場で少年達が元気に野球の試合をしているのを見かけた時に着想を得たものであった。
当パイロット達の間では何故野球!?との声も少なく無かったが、こういうのは口で説明するよりも体験してもらうのが一番と宥められて実施される事になった。
ちなみに負けたチームは失点に応じた合宿中の罰当番や居残り特訓(勿論、野球の)が待っているので皆必死である。

こうして開始されたパイロット達による野球合宿であったが、
始めの数日こそブーイングも多かったものの、元々人気の高い種目であった事も幸いしたのか、はたまた罰当番や居残り特訓が余程嫌だったのか、
数週間後にはパイロット達の野球の実力は目に見えて向上していった。

そして合宿最終日。

カキーンと快音が響き渡ると「オーライ、オーライ」と元気の良い声を張り上げたセンターのパイロットが使い込んだグローブを空に掲げて見事にフライをキャッチ。
ショートへの鋭いライナーをノーバウンドでショートがキャッチすると即座にベースカバーに入ったセカンドに送球し、ダブルプレー。
スコアボードにはズラリと0が並び、投手戦の様相である。
グラウンドにはチームメイトへの声援や掛け声が響き渡り、本合宿中でも1,2を競う好ゲームが繰り広げられていた。

そして蘭堂や参謀部の面々は一緒になって試合観戦をし、声援に声を張り上げていた。

/*/

その後、参謀部での戦術プランの練り直しや部隊長候補の育成等が行われ、2度目の模擬戦の日が訪れた。

ベテランパイロットを先鋒に据えた赤チームと密集陣形を組み、思い思いにズラリと武器を構えた白チーム。
再び対峙する赤と白の戦いの火蓋が切って落とされた。
各個に様々な角度から攻め立てる赤チームのベテランパイロット達。
それに対する白チームの動きは以前とは異なり、判で押したような統制は失われていたものの前列と後列の連携が有機的に働き、
新米パイロット達の動きで生じる穴をベテランパイロット達がすかさずフォローし、チーム全体が1個の戦闘単位となって赤チームを迎え撃った。

/*/
第2回模擬戦報告書
赤チーム損害率:35%
白チーム損害率:5%

前回の演習で明らかになった課題であるチームワークと相互連携はかなりの面で改善が見られました。
今後の更なる部隊の練度向上や小隊長機の通信機能増強等により良好な成果が期待できそうです。

#この辺によくできました的な判子で締め


  [No.1675] 【新素材の開発】 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/12/23(Thu) 23:46:02

新素材の開発用スレッドです。

作業者絶賛募集中。

炭素繊維、面白いよ。

ttp://www.carbonfiber.gr.jp/


  [No.1676] 要点 投稿者:守上藤丸  投稿日:2010/12/23(Thu) 23:47:08

L:新素材の開発 = {
 t:名称 = 新素材の開発(技術)
 t:要点 = 妙な伸縮,小躍り,新素材
 t:周辺環境 = 研究室



#申請、まだしてないので形になってきたら申請忘れないように。


  [No.1681] 設定文の素案 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/01/04(Tue) 23:37:32

炭素繊維及びその複合体の開発という方向性で現時点で考えた素案をあげておきます。
できれば炭素繊維を活用した製品がナニワアームズで使用されているシーンを上手く描写できると良いだけど、どういう方法で記述すれば良いかが今一つ思い付いていなかったり。
#こう暮らしと技術の良好な関係的なものを描けると良いだけどねえ。
アイデア等がありましたら、レスをお願いしまーす。
後は「妙な伸縮」をどうするかが問題ですな。
(一応、ハイスピードカメラでのワンショットというのはどうだろうか?とは思ってるんだけど)

/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

概要
ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトが炭素繊維及びその複合体の開発プロジェクトであった。
本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。

#ここに開発エピソードを加える。



#ここからプレゼン用資料風

炭素繊維

炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。

炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。

その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
#ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?

航空機への複合材料の応用
航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。

スポーツ・レジャー用品への応用
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。

建築・土木分野の応用
ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。

エネルギー分野への応用
石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。


ナニワアームズ先端技術研究所
なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。

#炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット

また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。

〜商品プレゼン用資料から抜粋〜


  [No.1682] 伸びてたー 投稿者:乃亜・クラウ・オコーネル  投稿日:2011/01/08(Sat) 00:46:34

なんか面白い繊維が伸びてました!(笑) >Q4
http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=13759

#このr:の時の感想みないなSS(?っぽいもの)とかで要点満たせませんかね。
#ここから、さらに炭素繊維に・・と云う感じ?


  [No.1683] Re: 伸びてたー 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/01/09(Sun) 10:42:42

> なんか面白い繊維が伸びてました!(笑) >Q4
> http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=13759
>
> #このr:の時の感想みないなSS(?っぽいもの)とかで要点満たせませんかね。
> #ここから、さらに炭素繊維に・・と云う感じ?
おお、確かにこれなら要点が満たせそうですな。
#後は炭素繊維との兼ね合いをどうするかですね。
#新素材の開発前に目標だったレベルを設定国民が追い抜いて行った気がするけども(笑)


  [No.1684] いいですねー! 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/01/09(Sun) 21:50:59

いいねいいねー!
プレゼンしてるイラスト描くー!

そして、繊維産業の伸び率をもうちょっと確認して方向修正したほうが良いかなぁ・・・?(質疑結果みつつ

> 炭素繊維及びその複合体の開発という方向性で現時点で考えた素案をあげておきます。
> できれば炭素繊維を活用した製品がナニワアームズで使用されているシーンを上手く描写できると良いだけど、どういう方法で記述すれば良いかが今一つ思い付いていなかったり。
> #こう暮らしと技術の良好な関係的なものを描けると良いだけどねえ。
> アイデア等がありましたら、レスをお願いしまーす。
> 後は「妙な伸縮」をどうするかが問題ですな。
> (一応、ハイスピードカメラでのワンショットというのはどうだろうか?とは思ってるんだけど)
>
> /*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
>
> 概要
> ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
> 国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
> そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトが炭素繊維及びその複合体の開発プロジェクトであった。
> 本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。
>
> #ここに開発エピソードを加える。
>
>
>
> #ここからプレゼン用資料風
>
> 炭素繊維
>
> 炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
> 数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。
>
> 炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
> それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。
>
> その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
> #ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?
>
> 航空機への複合材料の応用
> 航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。
>
> スポーツ・レジャー用品への応用
> 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
> リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
> また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。
>
> 建築・土木分野の応用
> ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
> また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。
>
> エネルギー分野への応用
> 石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
> さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。
>
>
> ナニワアームズ先端技術研究所
> なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
> ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。
>
> #炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
> 図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット
>
> また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。
>
> 〜商品プレゼン用資料から抜粋〜


  [No.1718] 設定文の素案2 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/02/01(Tue) 22:43:38

作成途中ですが、取り敢えず思いついた分を追加してUPしておきます。

プロジェクトの研究対象を炭素繊維にするという件のエピソードは設定文のものをあらすじにして別途SSを1本作る予定です。
#但し、上手くSSにまとめきれなかった場合はこのエピソード部分はごっそり入れ替えるかも。

SSが完成したら、後はセキュリティ面を何とか設定する必要があるかな?
#それとも研究所っていうのは見直すべきかな?爆発するかどうかが分からないらしいし。
#インフレになっているなら潤沢な資金というのは望めそうに無いな。さて、どうするかな。
/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

概要
ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトが炭素繊維及びその複合体の開発プロジェクトであった。
本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。

実の所、プロジェクトの研究テーマを繊維とする所までは満場一致で可決されたが、さらに研究対象とする素材を1つに絞り込むまでには大いに難航した。
政府首脳陣、製造技術者、研究者、商人と様々な立場の人達の間で会議が設けられ、何度も討論を経る事となった。

400倍に縦に伸びる妙な伸縮率を示す繊維を始めとする新機軸の最新技術を推す者
麻や綿、絹等の伝統的な天然繊維を推す者
炭素繊維やガラス繊維等の既存技術の応用や研磨を推す者
化学繊維の効率の良い製造技術や加工技術の向上を推す者

職人気質なだけに皆、各々の技術や案への愛着やこだわりが強く、議論は白熱した。

そんな議論に終止符を打ったのは、『できることとすべき事は別である』という一言とナニワの民の奥底に眠っていた商売人として心意気であった。

まずは自分達が作った商品を手にするお客様の事を考える。
その基本に立ち返ったプロジェクトチームは方針の転換を行い、入念なマーケティング調査を行った。
その結果、様々な分野での要望や需要を適えうると判断し、炭素繊維及びその複合体の開発にテーマを絞ってプロジェクトを推進する事を決定した。
一度方針が定まれば、そこはプロフェッショナルだけあって各自の行動は迅速であった。
上手く役割分担を行い、それぞれの得意分野を活かした見事な連携プレイでプロジェクトの前に立ち塞がる様々な障害や課題を乗り越えていき、
プロジェクトの研究成果をまとめ上げる事に成功したのであった。
そのときには研究室のスタッフ一同、思わず皆で小躍りする程の喜びようだったという。

#ここからプレゼン用資料風

炭素繊維

炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。

炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。

その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
#ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?

航空機への複合材料の応用
航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。

スポーツ・レジャー用品への応用
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。

建築・土木分野の応用
ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。

エネルギー分野への応用
石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。


ナニワアームズ先端技術研究所
なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。

#炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット

また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。

〜商品プレゼン用資料から抜粋〜


  [No.1724] Re: 設定文の素案2 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/02/07(Mon) 02:06:14

> 作成途中ですが、取り敢えず思いついた分を追加してUPしておきます。
>
おつかれさまです。
私もとりあえずhtmlは完成したので後はプレゼン絵の線画を清書して色塗りして・・・@@

> プロジェクトの研究対象を炭素繊維にするという件のエピソードは設定文のものをあらすじにして別途SSを1本作る予定です。
> #但し、上手くSSにまとめきれなかった場合はこのエピソード部分はごっそり入れ替えるかも。

よろしくです!
やっぱり、防災用の耐熱とか耐火の繊維はどこも欲しいみたい。
服だけじゃなくて、素材的に。
壁とかに使えたら便利よね。

> SSが完成したら、後はセキュリティ面を何とか設定する必要があるかな?
> #それとも研究所っていうのは見直すべきかな?爆発するかどうかが分からないらしいし。
> #インフレになっているなら潤沢な資金というのは望めそうに無いな。さて、どうするかな。

研究所に関しては既に国の施設(質疑に出てきたやつ)があるので、それのセキュリティを高める為にも設定で何とか強化したいところ。

最低でも入退出の認証とかは必須・・・
網膜認証か血管認証か音声認証かその辺のあわせ技?

> /*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
>
> 概要
> ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
> 国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
> そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトが炭素繊維及びその複合体の開発プロジェクトであった。
> 本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。
>
> 実の所、プロジェクトの研究テーマを繊維とする所までは満場一致で可決されたが、さらに研究対象とする素材を1つに絞り込むまでには大いに難航した。

「素材」を絞り込む?技術???

> 政府首脳陣、製造技術者、研究者、商人と様々な立場の人達の間で会議が設けられ、何度も討論を経る事となった。
>
> 400倍に縦に伸びる妙な伸縮率を示す繊維を始めとする新機軸の最新技術を推す者
> 麻や綿、絹等の伝統的な天然繊維を推す者
> 炭素繊維やガラス繊維等の既存技術の応用や研磨を推す者
> 化学繊維の効率の良い製造技術や加工技術の向上を推す者
>
> 職人気質なだけに皆、各々の技術や案への愛着やこだわりが強く、議論は白熱した。
>
> そんな議論に終止符を打ったのは、『できることとすべき事は別である』という一言とナニワの民の奥底に眠っていた商売人として心意気であった。
>
> まずは自分達が作った商品を手にするお客様の事を考える。
> その基本に立ち返ったプロジェクトチームは方針の転換を行い、入念なマーケティング調査を行った。
> その結果、様々な分野での要望や需要を適えうると判断し、炭素繊維及びその複合体の開発にテーマを絞ってプロジェクトを推進する事を決定した。
> 一度方針が定まれば、そこはプロフェッショナルだけあって各自の行動は迅速であった。
> 上手く役割分担を行い、それぞれの得意分野を活かした見事な連携プレイでプロジェクトの前に立ち塞がる様々な障害や課題を乗り越えていき、
> プロジェクトの研究成果をまとめ上げる事に成功したのであった。
> そのときには研究室のスタッフ一同、思わず皆で小躍りする程の喜びようだったという。
>
> #ここからプレゼン用資料風
>
> 炭素繊維
>
> 炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
> 数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。
>
> 炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
> それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。
>
> その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
> #ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?
>
> 航空機への複合材料の応用
> 航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。
>
> スポーツ・レジャー用品への応用
> 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
> リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
> また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。
>
> 建築・土木分野の応用
> ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
> また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。
>
> エネルギー分野への応用
> 石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
> さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。
>
>
> ナニワアームズ先端技術研究所
> なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
> ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。
>
> #炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
> 図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット
>
> また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。
>
> 〜商品プレゼン用資料から抜粋〜

プレゼンいい感じー。
後は、産業育成のときに連携しましょう言われてた事を国名付で盛り込んだらいいかも。


  [No.1728] 設定文の素案3 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/02/14(Mon) 00:03:38

概要を改良してみました。
問題があったり、気になる所があったら、ツッコミお願いします。
#冒頭もインフレが発生した事を盛り込んだ方が良いかな?
#セキュリティについては別途もう1つ分の設定を検討予定です。
#これに400倍に縦に伸びる程に妙な伸縮率を持つ繊維を開発した青年研究者を主人公にして
#彼がプロジェクトに参加して頑張っている所をSSにしてみる事を予定しています。
SSはちょっと難航気味です。

/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

概要
ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトは繊維に纏わる新素材の開発プロジェクトであった。
本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。
こうして方針が決まり、製造技術者、研究者、商人と様々な立場の人から選抜したプロジェクトチームの人選も終わり、
さあプロジェクトを本格的に始めようという所でトラブルが発生した。

ごく一部の研究者が空間振動弾を開発、さらに空間破壊弾の開発にも着手しかけていたのである。
不幸中の幸いな事に発見が早期であった為、即座に研究の差し止めが行われ、問題の研究者達には相応の処罰を下す事で大事には至らなかったが、
一歩間違えれば大きな騒動を招きかねなかった事から政府首脳陣は事態を重く見ていた。
特に『なんとなく。出来そうだから。』という理由で空間振動弾・空間破壊弾の開発が着手されていた事は政府首脳陣に大きな衝撃を与えていた。
この事態を受けて検討を重ねた結果、この問題の焦点として研究の目的設定に着目した。
というのも、同じ空間制御技術に関する研究でもラグドールの開発スタッフと空間振動弾の開発者達の間には意識レベルでの違いが見受けられた為である。
ラグドールでは隠蔽性や継戦能力等のスペック面の要望や必要性から空間制御技術の研究と採用が行われた事に対して、空間振動弾は何となく出来そうだから作ったというものだった。
さらに空間破壊弾の開発を試みていた研究者に到っては『お役に立てればいいだろう』と言っていたらしいが、
その兵器が使用された場合には後々にまで響くような深刻な厄災を招く事は火を見るより明らかである。

これらの事から研究の目的や目標を明確に設定せずに研究に没頭する事で当初の目的を見失ったり、
研究の成果物である技術が世の中にどのような影響を与えるか?という想像力を欠如させる恐れがあるのではないかという結論に達した。

そこで政府は研究の目標や目的をよりしっかりと意識させる事が状況改善の一助に繋がると考え、
プロジェクトの進行計画の見直しを行い、実際の開発を実施する前の段階として政府とプロジェクトチーム間での企画会議を設ける事を決定した。
そして政府首脳陣がプロジェクトチームに課した課題は繊維をテーマとした新素材の開発プロジェクトにおける”儲かる技術開発のプランニングとそのプレゼンテーション”であった。
これには下記の思惑があった。
・国民が自力で稼げる下地をしっかりと作る。
・儲けるには”相手”を意識(想定)し、配慮する必要がある。つまり視野を技術だけでなく、それを利用する人々にも向ける必要がある。
・技術を概念だけでなく、実社会でどのように活用されるか?を具体的にイメージさせると共に技術と人の在り方を意識する機会を増やす。
・元々商売人のお国柄なので、馴染みやすい考え方である。
・プレゼンテーションを通し、相手に研究の目的や主旨、意義を伝える過程で曖昧だった目的を言語化し、明確にする。
・他藩国でプロジェクトの成果物である新素材を売り込む時の練習になる。

こうしてナニワアームズでは初の試みである為に政府首脳陣・プロジェクトチームの両者共に手探りで行われた企画会議は通算十数回にも及ぶ事となった。
予想外に難航したものの、数々の試行錯誤を経て採用されたプランが”炭素繊維及びその複合体の研究”であった。
このプランの採用時のポイントは
1.しっかりマーケティングを意識し、調査した結果が反映されている点
2.ナニワ国内でも地下都市の建築物の耐震補強技術等で応用の下地が出来つつあった点
3.レンジャー連邦の航空機や共和国用輸送機であるキャットフィーダー等で繊維強化プラスチックを主要構造材に採用されつつあり、潜在的な需要が高い事が期待できる点
4.ナニワアームズが原油産出国で原料が豊富にあり、扱いにも慣れている点
の4点であった。

プラン採用までには大いに悪戦苦闘したプロジェクトチームであったが、
一度方針が定まれば、そこはプロフェッショナルだけあって各自の行動は迅速であった。
上手く役割分担を行い、それぞれの得意分野を活かした見事な連携プレイでプロジェクトの前に立ち塞がる様々な障害や課題を乗り越えていき、
プロジェクトの研究成果をまとめ上げる事に成功したのであった。
そのときには研究室のスタッフ一同、思わず皆で小躍りする程の喜びようだったという。

次ページでは研究成果を纏めたプレゼンテーション資料を紹介しよう。


#ここからプレゼン用資料風

炭素繊維

炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。

炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。

その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
#ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?

航空機への複合材料の応用
航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。

スポーツ・レジャー用品への応用
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。

建築・土木分野の応用
ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。

エネルギー分野への応用
石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。


ナニワアームズ先端技術研究所
なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。

#炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット

また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。

〜商品プレゼン用資料から抜粋〜

/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

共和国用輸送機キャットフィーダー関連質疑
http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=14224


  [No.1738] Re: 設定文の素案3 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/03/06(Sun) 22:44:05

ありがとーです。

> 概要を改良してみました。
> 問題があったり、気になる所があったら、ツッコミお願いします。
> #冒頭もインフレが発生した事を盛り込んだ方が良いかな?
> #セキュリティについては別途もう1つ分の設定を検討予定です。
よろしくお願いします。

> #これに400倍に縦に伸びる程に妙な伸縮率を持つ繊維を開発した青年研究者を主人公にして
> #彼がプロジェクトに参加して頑張っている所をSSにしてみる事を予定しています。
> SSはちょっと難航気味です。
>
> /*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
>
> 概要
> ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
> 国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
> そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトは繊維に纏わる新素材の開発プロジェクトであった。
> 本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。
> こうして方針が決まり、製造技術者、研究者、商人と様々な立場の人から選抜したプロジェクトチームの人選も終わり、
> さあプロジェクトを本格的に始めようという所でトラブルが発生した。
>
> ごく一部の研究者が空間振動弾を開発、さらに空間破壊弾の開発にも着手しかけていたのである。
> 不幸中の幸いな事に発見が早期であった為、即座に研究の差し止めが行われ、問題の研究者達には相応の処罰を下す事で大事には至らなかったが、
> 一歩間違えれば大きな騒動を招きかねなかった事から政府首脳陣は事態を重く見ていた。
> 特に『なんとなく。出来そうだから。』という理由で空間振動弾・空間破壊弾の開発が着手されていた事は政府首脳陣に大きな衝撃を与えていた。
> この事態を受けて検討を重ねた結果、この問題の焦点として研究の目的設定に着目した。
> というのも、同じ空間制御技術に関する研究でもラグドールの開発スタッフと空間振動弾の開発者達の間には意識レベルでの違いが見受けられた為である。
> ラグドールでは隠蔽性や継戦能力等のスペック面の要望や必要性から空間制御技術の研究と採用が行われた事に対して、空間振動弾は何となく出来そうだから作ったというものだった。
> さらに空間破壊弾の開発を試みていた研究者に到っては『お役に立てればいいだろう』と言っていたらしいが、
> その兵器が使用された場合には後々にまで響くような深刻な厄災を招く事は火を見るより明らかである。
>
> これらの事から研究の目的や目標を明確に設定せずに研究に没頭する事で当初の目的を見失ったり、
> 研究の成果物である技術が世の中にどのような影響を与えるか?という想像力を欠如させる恐れがあるのではないかという結論に達した。
>
> そこで政府は研究の目標や目的をよりしっかりと意識させる事が状況改善の一助に繋がると考え、
> プロジェクトの進行計画の見直しを行い、実際の開発を実施する前の段階として政府とプロジェクトチーム間での企画会議を設ける事を決定した。


この辺、技術者さん達に何か聞きたい事ってある?
うちの技術者さん達って、バカじゃないとおもうんよ。ほんとに暴走してた(る?)のか、それともなんとなく以外に考えてた事あるのかとか・・・。

ん?と?
空間破壊弾作ってた技術者さんに繊維の方に回ってもらうの・・・かな?
それとも、空間系の二の舞にならないように繊維系には前もって目標を提示しとくということかな??


> そして政府首脳陣がプロジェクトチームに課した課題は繊維をテーマとした新素材の開発プロジェクトにおける”儲かる技術開発のプランニングとそのプレゼンテーション”であった。
> これには下記の思惑があった。
> ・国民が自力で稼げる下地をしっかりと作る。
> ・儲けるには”相手”を意識(想定)し、配慮する必要がある。つまり視野を技術だけでなく、それを利用する人々にも向ける必要がある。
> ・技術を概念だけでなく、実社会でどのように活用されるか?を具体的にイメージさせると共に技術と人の在り方を意識する機会を増やす。
> ・元々商売人のお国柄なので、馴染みやすい考え方である。
> ・プレゼンテーションを通し、相手に研究の目的や主旨、意義を伝える過程で曖昧だった目的を言語化し、明確にする。
> ・他藩国でプロジェクトの成果物である新素材を売り込む時の練習になる。
>
> こうしてナニワアームズでは初の試みである為に政府首脳陣・プロジェクトチームの両者共に手探りで行われた企画会議は通算十数回にも及ぶ事となった。
> 予想外に難航したものの、数々の試行錯誤を経て採用されたプランが”炭素繊維及びその複合体の研究”であった。
> このプランの採用時のポイントは
> 1.しっかりマーケティングを意識し、調査した結果が反映されている点
> 2.ナニワ国内でも地下都市の建築物の耐震補強技術等で応用の下地が出来つつあった点
> 3.レンジャー連邦の航空機や共和国用輸送機であるキャットフィーダー等で繊維強化プラスチックを主要構造材に採用されつつあり、潜在的な需要が高い事が期待できる点
> 4.ナニワアームズが原油産出国で原料が豊富にあり、扱いにも慣れている点
> の4点であった。
>
> プラン採用までには大いに悪戦苦闘したプロジェクトチームであったが、
> 一度方針が定まれば、そこはプロフェッショナルだけあって各自の行動は迅速であった。
> 上手く役割分担を行い、それぞれの得意分野を活かした見事な連携プレイでプロジェクトの前に立ち塞がる様々な障害や課題を乗り越えていき、
> プロジェクトの研究成果をまとめ上げる事に成功したのであった。
> そのときには研究室のスタッフ一同、思わず皆で小躍りする程の喜びようだったという。
>
> 次ページでは研究成果を纏めたプレゼンテーション資料を紹介しよう。
>
>
> #ここからプレゼン用資料風
>
> 炭素繊維
>
> 炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
> 数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。
>
> 炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
> それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。
>
> その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
> #ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?

ナニワで炭素系使うなら消防士さんかなぁ。
あ、家の耐熱・耐火材とかは?

>
> 航空機への複合材料の応用
> 航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。
>
> スポーツ・レジャー用品への応用
> 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
> リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
> また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。
>
> 建築・土木分野の応用
> ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
> また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。
>
> エネルギー分野への応用
> 石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
> さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。
>
>
> ナニワアームズ先端技術研究所
> なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
> ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。
>
> #炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
> 図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット
>
> また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。
>
> 〜商品プレゼン用資料から抜粋〜
>
> /*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
>
> 共和国用輸送機キャットフィーダー関連質疑
> http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=14224


お疲れ様ですー。
ありがとうございます!


  [No.1730] SSオープニング(仮) 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/02/27(Sun) 23:38:59

最近ますます亀のような歩みになりつつある今日この頃(汗。
取り敢えず現状報告がてらにSSのオープニング(仮)です。
…一応、大まかなストーリーラインは思い浮かんだので、後はそれをどう肉付けしていくかを検討中です。
#ちなみに(仮)なのは今回、終わらせ方に3パターンぐらい候補があってどれにするか決めかねている為。
#そのうちの1パターンに対応するオープニング案が下記のものという感じです。

とある事情で技術に固執してしまっている若き天才科学者ケンタロウ君がどうやって固執から脱却し、
その視野を技術そのものだけでなく、それを扱う人々や社会にまで広げられるようになるかを書けると良いなあと思っています。
が、そのキッカケとなる事件が思い付かずに悶々としています(笑)
例えば何かありふれた1つの用途にだけ存在すると思っていた「道具」が予想外の使い方で用いられて
目の前の難局(もしくはちょっとした日常的なトラブル)をスマートに解決される様子を目の当たりにするとかがあると良いんだけど。
肝心のちょっとしたトラブルや道具のアイデアが思い付かないという…。
という事で何かちょっとしたアイデアでも思い付いたらレスをお願いしまーす(他力本願)
#所謂、ブレインストリーミングというやつです。
#兎に角、たくさんの数のアイデアを列挙して、アイデアやインスピレーションを刺激させる方法ですな。
#勿論、自分でも考えますが、数は力なりって事で一つ、よろしくお願いします。
/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
白い。辺り一面を覆う乳白色の霧が漂う戦場のど真ん中でケンタロウはただただ茫然と立ち尽くしていた。
ときおり遠くにあるいはすぐ側の右隣に相手方の攻撃が砲弾のように炸裂し、戦場の霧を掻き混ぜ、彼はその余波に木の葉の様に翻弄される。
…こんな。こんなはずではなかった。視界を白一色の霧に閉ざされたケンタロウはそうひとりごちた。
そう。こんなはずでは無かったのだ。僕は誰よりも早く、戦況を一変させうる新兵器を完成させ、いち早く高台に陣取ったはずだった。
当初は相手方も初めて目にする新兵器の特性に驚嘆し、戦いの主導権はこちらが握ったのだ。
しかしこちらが優勢な間に張り巡らせた論陣に対して相手方が放った反撃が着弾すると徐々に様相が変わり始めた。
「いやあ、素晴らしい!400倍もの妙な伸縮率を示す繊維とは始めてみました。それでその繊維を活用した今後の展望は?」
「例えばその繊維を活用した商品を欲しがる人はどんな人を想定しています?」
相手方の一撃が着弾する毎に戦場には何処からともなく霧が忍び寄り、その姿と声は遠のき、その残響がとぎれとぎれに響き渡る。
「需要……マーケティング…」「…ンフレ…」「社会…」「…ターゲッ……顧客…顔は…見え…?」「…それが…な場所で……使われ…」
高台に陣取っていたはずの僕は何時の間にか低地で高台から加えられる相手方の質問に動転し、ただただ右往左往しているばかりだった。
喉は干し上がり、呂律は回らず言葉を詰まらせる。じわりじわりと嫌な汗が手に滲む。
そして相手方はこちらの動転ぶりに何処となく気の毒そうな表情を浮かべながらもキッパリと言い切った。
「はい。では今日のプレゼン会議はここまでとしましょう」
こうして新素材開発プロジェクトの為のプレゼンテーションという名の戦いの終止符は打たれ、僕の新素材開発プランのプレゼンはものの見事に玉砕した。
戦場だった会議室は照明が落とされ、壇上には愕然とした白衣姿の僕とその肩を軽く叩きながら慰めの言葉をかけてくれる友人だけが取り残されていた。
薄暗い室内の壁に貼られたポスターに描かれたエキゾチックな民族衣装を身にまとったピンク色のショートヘアの少女が寂しそうに微笑みながら佇む2人を見守っていた。

/*/


  [No.1735] Re: SSオープニング(仮) 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/03/06(Sun) 22:24:05

> 最近ますます亀のような歩みになりつつある今日この頃(汗。
> 取り敢えず現状報告がてらにSSのオープニング(仮)です。
> …一応、大まかなストーリーラインは思い浮かんだので、後はそれをどう肉付けしていくかを検討中です。
> #ちなみに(仮)なのは今回、終わらせ方に3パターンぐらい候補があってどれにするか決めかねている為。
> #そのうちの1パターンに対応するオープニング案が下記のものという感じです。
>
> とある事情で技術に固執してしまっている若き天才科学者ケンタロウ君がどうやって固執から脱却し、
> その視野を技術そのものだけでなく、それを扱う人々や社会にまで広げられるようになるかを書けると良いなあと思っています。
> が、そのキッカケとなる事件が思い付かずに悶々としています(笑)
> 例えば何かありふれた1つの用途にだけ存在すると思っていた「道具」が予想外の使い方で用いられて
> 目の前の難局(もしくはちょっとした日常的なトラブル)をスマートに解決される様子を目の当たりにするとかがあると良いんだけど。
> 肝心のちょっとしたトラブルや道具のアイデアが思い付かないという…。
> という事で何かちょっとしたアイデアでも思い付いたらレスをお願いしまーす(他力本願)
> #所謂、ブレインストリーミングというやつです。
> #兎に角、たくさんの数のアイデアを列挙して、アイデアやインスピレーションを刺激させる方法ですな。
> #勿論、自分でも考えますが、数は力なりって事で一つ、よろしくお願いします。
> /*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
> 白い。辺り一面を覆う乳白色の霧が漂う戦場のど真ん中でケンタロウはただただ茫然と立ち尽くしていた。
> ときおり遠くにあるいはすぐ側の右隣に相手方の攻撃が砲弾のように炸裂し、戦場の霧を掻き混ぜ、彼はその余波に木の葉の様に翻弄される。
> …こんな。こんなはずではなかった。視界を白一色の霧に閉ざされたケンタロウはそうひとりごちた。
> そう。こんなはずでは無かったのだ。僕は誰よりも早く、戦況を一変させうる新兵器を完成させ、いち早く高台に陣取ったはずだった。
> 当初は相手方も初めて目にする新兵器の特性に驚嘆し、戦いの主導権はこちらが握ったのだ。
> しかしこちらが優勢な間に張り巡らせた論陣に対して相手方が放った反撃が着弾すると徐々に様相が変わり始めた。
> 「いやあ、素晴らしい!400倍もの妙な伸縮率を示す繊維とは始めてみました。それでその繊維を活用した今後の展望は?」
> 「例えばその繊維を活用した商品を欲しがる人はどんな人を想定しています?」
> 相手方の一撃が着弾する毎に戦場には何処からともなく霧が忍び寄り、その姿と声は遠のき、その残響がとぎれとぎれに響き渡る。
> 「需要……マーケティング…」「…ンフレ…」「社会…」「…ターゲッ……顧客…顔は…見え…?」「…それが…な場所で……使われ…」
> 高台に陣取っていたはずの僕は何時の間にか低地で高台から加えられる相手方の質問に動転し、ただただ右往左往しているばかりだった。
> 喉は干し上がり、呂律は回らず言葉を詰まらせる。じわりじわりと嫌な汗が手に滲む。
> そして相手方はこちらの動転ぶりに何処となく気の毒そうな表情を浮かべながらもキッパリと言い切った。
> 「はい。では今日のプレゼン会議はここまでとしましょう」
> こうして新素材開発プロジェクトの為のプレゼンテーションという名の戦いの終止符は打たれ、僕の新素材開発プランのプレゼンはものの見事に玉砕した。
> 戦場だった会議室は照明が落とされ、壇上には愕然とした白衣姿の僕とその肩を軽く叩きながら慰めの言葉をかけてくれる友人だけが取り残されていた。
> 薄暗い室内の壁に貼られたポスターに描かれたエキゾチックな民族衣装を身にまとったピンク色のショートヘアの少女が寂しそうに微笑みながら佇む2人を見守っていた。
>
> /*/

お疲れ様です! こちらの作業が遅れてて申し訳ないです。

戦争を主眼においていた技術開発を、人々の生活の方へ向けるというのは良いですね。
となると、アレですね。元は武器なものを生活用品として使ってるというのが良いのかなぁ。
なんかあったっけ。。。。 調べてみますね。


  [No.1711] ねためも 投稿者:乃亜・クラウ・オコーネル  投稿日:2011/01/30(Sun) 00:08:06

空気清浄ドレス
http://www.j-tokkyo.com/2011/01/18/32522.html
#こちらは、機能というよりかは、コンセプトデザインに近いと思いますがw


↓こちらは、真面目。金属ですが、
http://www.hitachi-cable.co.jp/products/news/20110121.html
http://slashdot.jp/science/article.pl?sid=11/01/24/027241
極微量の添加物を加えたら、高純度と同等の特性をもつ金属が出来たというお話のようです。
ちょっと面白かったのでー


  [No.1713] Re: ねためも 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/01/30(Sun) 14:16:47

> 空気清浄ドレス
> http://www.j-tokkyo.com/2011/01/18/32522.html
> #こちらは、機能というよりかは、コンセプトデザインに近いと思いますがw
>
>
> ↓こちらは、真面目。金属ですが、
> http://www.hitachi-cable.co.jp/products/news/20110121.html
> http://slashdot.jp/science/article.pl?sid=11/01/24/027241
> 極微量の添加物を加えたら、高純度と同等の特性をもつ金属が出来たというお話のようです。
> ちょっと面白かったのでー
ほうほう。政策での冶金分野の研究でそういうのに触れてみるのも面白いかも知れないですな。


  [No.1775] 設定文+SSの草稿 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/05/29(Sun) 21:59:33

概ね設定文とSSの草稿が出来たのでUPします。
#SSのオープニングが前のと全然違うのはスルーして下さい。ええ。キニシテハイケナイ。
ナニワアームズ先端技術研究所のセキュリティ対策についてはそれほど高度な情報処理技術は持っていないので、物理的に管理する方向で考えています。
後はセキュリティ関連の文章がまだ上手く整理出来ておらず、ごちゃごちゃと長いので後で修正予定&SSのオープニングからENDまでの整合性を整える予定です。
但し、設定文やSSの大筋は特に問題が無ければこれで行こうと考えています。
何か内容で不味い点があったり、PC達の行動や言動はこうして欲しいと言った要望等がありましたら、レスをお願いします。

/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

概要
ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトは繊維に纏わる新素材の開発プロジェクトであった。
本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。
こうして方針が決まり、製造技術者、研究者、商人と様々な立場の人から選抜したプロジェクトチームの人選も終わり、
さあプロジェクトを本格的に始めようという所でトラブルが発生した。

にゃんにゃん共和国全土を襲ったデフレスパイラルである。
もともと貧乏な生活になれていたナニワアームズ国内はそれ程深刻な被害は発生しなかったものの、共和国の経済は大いに痛手を被る事となったのである。

そこで当初予定していた珍しい伸縮率を誇る繊維による新素材の開発という路線に見直しの必要が生じた。
不景気な情勢下で単純に珍しいもの、目新しいものというだけでは誰も欲しがらないからである。皆それどころじゃないってなもんだ。
この苦境に対応する為に急遽、プロジェクトの進行計画の見直しを行い、実際の開発を実施する前の段階として政府とプロジェクトチーム間での企画会議を設ける事を決定した。

そうして行われたナニワアームズでは初の試みである政府首脳陣・プロジェクトチームの両者共に手探りで行われた企画会議は通算十数回にも及ぶ事となった。
予想外に難航したものの、数々の試行錯誤を経て採用されたプランが”炭素繊維及びその複合体の研究”であった。
このプランの採用時のポイントは
1.しっかりマーケティングを意識し、調査した結果が反映されている点
2.ナニワ国内でも地下都市の建築物の耐震補強技術等で応用の下地が出来つつあった点
3.レンジャー連邦の航空機や共和国用輸送機であるキャットフィーダー等で繊維強化プラスチックを主要構造材に採用されつつあり、潜在的な需要が高い事が期待できる点
4.ナニワアームズが原油産出国で原料が豊富にあり、扱いにも慣れている点
の4点であった。

プラン採用までには大いに悪戦苦闘したプロジェクトチームであったが、
一度方針が定まれば、そこはプロフェッショナルだけあって各自の行動は迅速であった。
上手く役割分担を行い、それぞれの得意分野を活かした見事な連携プレイでプロジェクトの前に立ち塞がる様々な障害や課題を乗り越えていき、
プロジェクトの研究成果をまとめ上げる事に成功したのであった。
そのときには研究室のスタッフ一同、思わず皆で小躍りする程の喜びようだったという。

次ページでは研究成果を纏めたプレゼンテーション資料を紹介しよう。


#ここからプレゼン用資料風

炭素繊維

炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。

炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。

その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
#ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?

航空機への複合材料の応用
航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。

スポーツ・レジャー用品への応用
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。

建築・土木分野の応用
ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。

エネルギー分野への応用
石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。


ナニワアームズ先端技術研究所
なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。

#炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット

また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。

〜商品プレゼン用資料から抜粋〜

/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

ナニワアームズ先端技術研究所のセキュリティ対策

技術情報そのものの価値が今後さらに高まると共に必要性が高まってくる情報セキュリティの重要性に備え、
新設されたナニワアームズ先端技術研究所では今後の藩国施設の情報セキュリティの向上の為のモデルケースとして様々な試みが導入されている。

・セキュリティレベル
・開発者スタッフの名簿作りとバックアップ手法
・チェック体制の見直し
・区画分け
・施設内イントラネット環境と外部ネットとの物理的な切り離し(独立)


→取り扱う技術情報毎にセキュリティレベルを設定し、それらに合わせて情報の保管場所、取り扱い、保管場所へのアクセス手段、閲覧資格を厳密に定義し、分割します。


#聯合国であるフィーブル藩国からアドバイスを貰ったとか出来ないかな?
#→アドバイスを元に上記のような対策を考案したとか。

このページでは政府首脳陣とはナニワアームズ商藩国のPC達を示すとします。

セキュリティレベルの設定
各種技術情報毎にセキュリティレベルを設定し、セキュリティレベルに応じた扱いを行います。以下はその主な指針です。
セキュリティレベルE:対外への開示が可能な情報。主に対外向けの広報情報等
セキュリティレベルD:基本的に社外秘。主に業務提携先の企業等には開示可能な情報。一般的なスタッフや提携先の担当者が閲覧可能です。
セキュリティレベルC:民間での使用に対して安全性が実証された技術全般。民間向け技術。一般的な研究員が閲覧可能です。
セキュリティレベルB:軍事機密に属する技術やTL4以下の最先端技術に相当する技術が対象。国家プロジェクトクラスの技術は最低でもこのクラスの扱いになります。政府首脳陣と厳重な資格試験(※1)をパスしたトップクラスの研究員だけが閲覧可能です。
セキュリティレベルA:空間制御技術、及びそれに匹敵すると考えられる最先端技術が対象。藩王、摂政とそれぞれの技術毎の担当に摂政によって直接任命された政府首脳陣と研究員だけが閲覧可能です。(担当外の技術にはアクセス権限がありません)

※1 資格試験にパスするには技術力のテストに加えて、身元の確認及び十分な研究活動実績(これまでに十分に認められる研究成果を上げている)が必要になります。これらをパスした後、政府首脳陣による面接試験もあります。

また各種セキュリティレベルへのアクセス権限は毎月更新され、最近2ヶ月以上の間に活動実績が無いスタッフ(政府首脳陣と研究員)の権限は一時的に停止されます。
一度停止になった場合には藩王、摂政または彼らから代理を引き受けた政府首脳陣の承認を得る事でアクセス権限を再度得る事ができます。

各セキュリティレベル毎に物理的に仕切られた管理エリアが存在し、各エリアに移動するにはチェック用設備を通過する必要があります。
また各管理エリアはセキュリティレベルが上がる毎に研究所のより奥深くに位置するように配置されています。
(例えばセキュリティレベルCの情報の管理エリアに向かうにはまずE、Dについてのチェックを通過した後にCのチェックをパスする必要があります)

チェック体制は主にセキュリティ認証カードによる機械的なチェックと警備員による目視による確認の2重チェック+αとなります。
※+αの部分はセキュリティレベルに応じたチェックとなります。

またアクセス権限を持つ人が情報にアクセスする場合にもアクセス履歴は残るようになっています。
(チェック要員による目視でのチェック時に書類にアクセス履歴を記述する事に加えてアクセス認証カードでゲートやドア、各種情報端末にアクセス時に機械的にアクセス履歴が蓄積します。)
これらのアクセス履歴もその扱いは同様のセキュリティレベルの情報に準じるものとします。

セキュリティレベルC以上では一般的なネット環境から物理的に切り離されたスタンドアローンのイントラネットが構築され、運用されています。
また情報端末を始めとした記録媒体の持ち込みはセキュリティレベルD以上では基本的に認められていません。(移動前に保管所に預ける事になります)

セキュリティレベルD以上の情報の社外への持ち出しは厳重に管理されています。
基本的には持ち出しは禁止されており、どうしても必要な場合には各セキュリティレベル毎に決められたセキュリティ管理担当者の許可が必要であり、許可を得た場合にも必要書類の作成が義務付けられています。
※セキュリティレベルAのセキュリティ管理担当者は藩王と摂政になります。


/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

プレゼン奮闘記

ところはにゃんにゃん共和国に名を連ねる西国が一国、ナニワアームズ商藩国。
広大な砂漠の下に広がる地下都市で知られるナニワアームズの民がその生活拠点を地下から地上へと移し始めた一つの時代の節目の頃のお話。

地上部の中央付近に位置する新居住区には新しい住居が日々建築されつつあり、
建築作業に従事するもの、労働者を相手に商売をはじめるもの、建築された住居の下見に来るもの、旅の途中に立ち寄ったもの、様々な人々の喧騒で賑わっていた。
そんな新居住区の一角にドーンと鎮座している大きな建物の壁はまだ砂漠の砂で汚れておらず、ピカピカの白一色。
白亜の壁に上の方に付いた窓からこれまた沁み一つない白衣を身に付けた青年が街の喧騒を恨めしげに見下ろしていた。
「…うー、頭が痛い。音がガンガン響く…」
少し線が細いながらも整った顔立ちと本来は聡明そうな切れ長の瞳を今は二日酔いで盛大にしかめている青年の名はケンタロウ。
最近、通常の繊維の何百倍もの伸縮率を誇る繊維の開発に成功した新進気鋭の研究者であり、その功績から国家プロジェクトのチームリーダーを任された程の秀才である。

「全く彼女ときたら、酒癖が悪いんだもんなあ。御蔭で僕まで二日酔いだよ全く!」
とぶつぶつとひとりごちながらケンタロウは昨晩の事を思い出す。

/*/
飲み屋のにぎやかな喧騒に負けずにテーブルの端まで届く大きな声を張り上げ、女性が元気にビールのジョッキを高々と掲げる
「えー、それでは第12回、企画会議お疲れさまでした慰労会を開催したいと思います。では早速、かんぱーい!!」
その朗らかな声に釣られるように周囲の面々も陽気に乾杯を唱和した。
彼女の名前は鈴木ライラ。明朗快活にして豪放磊落、砂漠の太陽のように眩し過ぎるぐらいにエネルギッシュで姉御肌の女性だ。
今回の席も4度に渡るプレゼンの失敗ですっかり意気消沈していた僕を激励する為に彼女が思い立ったその日のうちにセッティングしてしまったのである。
とは言え、折角セッティングしてくれた彼女には悪いが、とてもじゃないが酒をおいしく飲める気分ではなかった。
最近、繊維産業の成功を受けて政府の主導で実施される事となった新素材開発プロジェクトのチームリーダーを任されて意気揚々とプロジェクトの方向性を打ち出す為の企画会議のプレゼンテーションに挑んだのだが、
スポンサーである政府首脳陣を納得させるプレゼンテーションができずに終わったのであった。
ああ、ほんと、どうしよう…。思わず溜息をそっとこぼすケンタロウ。
皿に盛られた焼き鳥にも1本も手を付けていなかった。
「おーい、のんでいますかー?ケンタロウクーン」と上機嫌なほろ酔い気分なライラがガシッとケンタロウの肩を掴んで力一杯ゆする。
「わわわ、こ、こぼれますってライラさん?!」
突然揺らされてコップのカシスソーダをこぼさないように四苦八苦するケンタロウ。
「うー?こぼれるって、さては飲んでないなあー!?」
「あー、そんな事ナイデスヨ」眼をそらす
「四の五の言わんと飲むんだ!それともあたしのお酒が飲めないんかなあ??」とますます力強く揺すり続ける。
「わ、分かりましたよ!飲めばいいでしょ飲めば!!」とケンタロウは、こぼれそうになるグラスに慌てて口を付ける
「んぐ、んぐ、ぷッはあ」気付かないうちに喉が渇いていたのか、沁み込むような喉越しであった。
「お、良いねえ。さあさあこの焼き鳥も食べるが良いよ」
そう言うライラの勧めに従ってえーい、ままよと一口パクリ。
絶妙な甘辛いタレと柔らかい鶏肉が口の中でほどける。
……うーんまい!!

/*/

その夜は大いに飲み食いし、どんちゃん騒ぎにライラと共に参加したケンタロウであった。
あれ?なんか半分ぐらいは自業自得な気がしてきたが、きっと二日酔いで頭が上手く回って無いからそんな錯覚をしてるに違いない、うん。
そう回想を切り上げたケンタロウは相変わらずズキズキと痛む頭を押さえながら、水でも飲もうと休憩室に足を向けた。

通路を歩いていると向うから珍しく政府の人がやってきた。こちらに気付いて手を上げる。
「ああ、探しましたよ。ケンタロウさん」
青色のターバンを付けた中肉中背の男が声を掛けてきた。えーっと名前は…そうそう確か蘭堂って言ったかな。
「どうも蘭堂さん。珍しいですね。何か僕に御用でも?」
「ええ、次回の企画会議について何ですが」
「はい」
「えーっと、大変言い難いんですが」
とちょっと躊躇った後
「プレゼン内容に改善が認められなかった場合、ケンタロウさんにはプロジェクトリーダーの任を解いて貰う事になりました」
「え!?」
「これまでに通算12回のプレゼンをして貰いましたが、残念ながら全く改善が認められなかったもので」
「そ、そんな。前回よりも実験データや資料の量も増やしたのに。一体、何処がいけないと言うんですか!?」
「うーん。こういう事は指摘する事は出来るんですが、自分で気が付いて貰わないと多分、実感が伴わないので…」
「そこを何とか!」
「そうですねえ。敢えて言うならケンタロウさん、貴方の視野の狭さが問題なんです。これまでの貴方のプレゼンでは決定的に欠けているものがあるんですよ」
「まー、私から言えるのはここまでです。これに伴って企画会議の日程を少し伸ばして3週間後という事になりました。これがラストチャンスなんで頑張って下さい」
「……はい。わかりました」
では、と立ち去る蘭堂の背中をケンタロウは二日酔いの頭痛も忘れて、ただ茫然と見送ったのであった。

/*/

薄々は感じていた事ではあった。このままでは駄目なのでは無いかと。
失敗が2度、3度と続く間にその思いは少しずつ積り、拭えない焦りを感じていた。
しかしこれと言った改善策を思い付けなかったケンタロウは12回目もプレゼン用の実験データを膨大に用意するというアプローチに留まっていたのである。
そしてその結果が先程の最後通知である。やはりという気持ちが半分、遂に来てしまったという戦慄が半分であった。

彼は言わば技術の信奉者であった。
幼い頃からお祖母ちゃんから聞かされた研究者であり、技術者であった祖父の話を聞くにつけ、やがてそれに憧れるようになった。
祖父のような一流の研究者になる事を夢見た彼は何時しか技術が幸せをもたらすという信念を持つようになっていた。
そんなある日、突然ナニワアームズに悲劇が2度、見舞われた。
1つはマンイーター。そしてもう一つはセプテントリオンによる冶金工場での薬物汚染である。
技術の暴走や悪用によるこれらの事件は彼の心に暗い影を落としていた。
彼の信念を真っ向から否定するようなこれらの事件の反動で彼はより一層、勉学に研究に打ち込むようになる。
絶対に人を幸せにする技術だってあるはずだと。
より珍しい技術、まだ誰も見た事の無い技術。それを求めて一心不乱に研究に没頭した彼は遂に通常の繊維の何百倍もの伸縮率を誇る繊維の開発に成功した。
しかし彼はそこでふと足を止める事になった。世の中を見渡しても類を見ない新しい技術の開発に成功したものの、それで幸せが降って湧いてくる訳ではなかったのである。
これから先、どこへ向かうべきか悩み始めた彼に思わぬ話が舞い込んだ。それが新素材開発プロジェクトだったのである。
そして一も二も無くその話に飛びついたケンタロウは企画会議のプレゼンテーションで自分が発明した新機軸の伸びる繊維の珍しい特性を様々なアプローチでアピールを試みたが、
芳しい成果も手応えも得られないままに遂に最後通知を受ける事となったのである。
このままではいけない。ケンタロウは焦りと共にその思いを強く強く噛みしめた。

/*/
ところは変わって研究室。
「うーん、しかしどうしたもんか」
出来立てほやほやの最新設備がずらりと並んだ部屋の端で様々な文献の山に埋もれる様にケンタロウは思案に暮れていた。
他国の繊維関連の研究論文をパラパラと捲りながら、一体何が足りないと言うんだろうと頭を捻る。

こんこん。
とノックがしたと思ったら、返事をするよりも早く研究室の扉が開かれてライラが弾丸のように飛び込んできた。
開かれた扉の合間から差し込んだ赤い夕焼けの光に目を細める。
夕日を背後に背負ったライラは堂々と仁王立ち。相変わらず意気軒昂そうだと思わず感心するケンタロウであった。
「聞いたよ!今度の企画会議がラストチャンスだって!?」
「うん。そうなんだよ。それで今、どうしたもんかと頭を捻っている所」
「それで成果は?」
無言で首を左右にふるケンタロウ。
「まあ、そう昨日今日で何とかは成らないよねえ」とさもありなんと頷くライラ。
「そこでだ。あたしに良い考えがある」
ニヤリと微笑むライラの顔を見て、二日酔いがぶり返したようにケンタロウは顔をしかめた。

/*/

翌日、ケンタロウは早朝から叩き起こされ、ライラと共に藩国中を連れ回される事となった。

朝一番に採光穴に差し込む日差しを眺めたり、
そこに偶々通り掛かったご老人達と一緒に早朝のジョギング&ラジオ体操に参加してみたり、
小腹が空いて時に通り掛かった屋台の美味しそうなたこ焼きの匂いに誘われて、軽めの朝食代わりにソースたっぷりのたこ焼きを口一杯に頬張る。
りとるスネーク球場で草野球を見学し、
ちかにかモールで最近ようやく商売が再開された家電量販店でCDラジカセやDVDプレイヤー等を見て回る。

散歩なんかしている暇は無いんだがと渋るケンタロウとまあまあ、煮詰まった時には身体を動かすのが一番!と宥めるライラ。
身体を動かせば新しい活力も湧いてくるもんよ?と元気の塊である当人がいう事に何となく説得力を感じてしまったケンタロウはそのままライラのペースに乗せられて一日中散策を行ったのであった。

一通り散策を終えて、程良い疲労感と共にライラと別れたケンタロウは最近泊り込んでいた研究所ではなく、久し振りに下宿先である安アパートへの帰路に着いた。
何となく鼻歌交じりに歩いていると近所に住んでいる知り合いのトモエ婆ちゃんが一目で年代物と分かるラジカセをしきりに弄って思案しているのが目に入った。
「あれ、おばちゃん。どうしたの?」
「ああ、ケンちゃんか。久し振りだねえ。いやねえ、どうも故障したみたいで困ってるんよ」
「どれどれちょっと貸してみて。何処が悪いか見てあげるよ」
「そうしてくれる?助かるわ」
「ラジカセの修理ぐらいは朝飯前、いや晩飯前だからねえ」
気軽に請負い、トモエ婆ちゃんからラジカセを受け取ったケンタロウは密かに驚いた。
角が取れるぐらい使い込まれ、頻繁に押すボタンの塗装は剥げていたラジカセは色褪せてはいても、傷一つ無いその表面は傷は丁寧に汚れは拭われており、
持ち主がそのラジカセに愛着をもち、大切に使い込んでいる事がはっきりとわかるものだった。

軽く点検してみると電源回りの部品が幾つか老朽化していたので自室にあった予備パーツを交換し、ついでに幾つか気になった点を整備した。
一通り修理を終えて、試しに音楽を再生すると、小さい頃にお祖母ちゃんが子守唄代わりに良く歌ってくれた古い流行歌が流れる。

懐かしいメロディと共に不意に寝物語に聞かされたお祖母ちゃんの昔話がケンタロウの心の片隅に浮かび上がった。

数々のロングセラーとなる商品の開発に成功していた祖父がある日、テレビの取材でインタビュー記者に聞かて答えたその秘訣とは
”お客さんの顔が見える商品を作る”というものだった。

見事に復活したラジカセに大喜びのトモエ婆ちゃんはとっておきのお茶菓子を振る舞ってくれた。
ラジカセから流れる歌を聴きながらの縁側での一服。
のんびりとした曲と共に流れる緩やかな一時の中でケンタロウは不意に思い出した昔話を不思議に思って反芻していた。。

/*/

その夜。
下宿先の押し入れから留学生時代の同窓会名簿を引っぱり出したケンタロウは早速メモを片手に電話をかけ始めた。

/*/

それから時が流れ、遂にケンタロウの最後のチャンスというべき第13回企画会議当日。
研究室には企画会議には出席していないプロジェクトメンバーが大勢集まっていた。
うろうろうろ。あっちにふらふら。こっちでそわそわ。
そして落ち着き無く研究室内を動き回りながら企画会議が終わるのをまだかまだかと待ち続ける鈴木ライラの姿があった。
そんなライラの様子を見かねて数人のメンバーが声を掛ける。
「ライラ姐さん、そんなに心配したって仕方無いって」
「そうそう、やるだけやったんだから果報は寝て待てっていうじゃないですか」
「そ、そうは言ってもねえ〜〜」と珍しく眉毛をハの字に下げて心細そうに答えるライラ。
チクタク、チクタク。秒針の音まで耳に付く。
会議の終了時間が近づくと共に研究室は静まり返って行った。
そして暫くすると
「お、そろそろ時間だ」と誰かが言ったと同時に研究室の扉が開き、静かにケンタロウが入室する。
「ど、どうだった?」と恐る恐るケンタロウに声を掛けるライラ。
その声を受けてスッと持ちあげたケンタロウの右手は人差し指と中指を立て、ピースサイン。
「バッチリ!!GOサインがおりたよ!」
ニカリと笑って嬉しそうに報告するケンタロウ。
爆発するように研究室内で挙がる歓声!思わず小躍りするプロジェクトチームの面々。
その日はそのまま深夜まで祝賀会に雪崩れ込んだのは言うまでも無かった。

/*/
舞台裏。政庁の一室。
「はらはらしたが発破をかけた甲斐があったな」と乃亜。
「そうねえ」と答えた守上摂政の手にあるプレゼンで配付された新素材開発プロジェクトの資料には”炭素繊維及びその複合体の開発と日常生活への応用技術について”と書かれていた。
「御蔭で胃に穴が開くかと思いましたよ。まあ結果オーライですが」と蘭堂。
「しかし炭素繊維に方向転換するとは、なかなか思い切った決断をしたもんですね」と真輝。
「何でも留学生時代の他藩国のクラスメイトとかに協力して貰って、マーケティングにチャレンジした結果らしいよ」
「なるほどねえ」
「まあ何にせよ、一安心ですな」
という言葉に執務机の上で丸まっていたトラさんが
「にゃーん」と頷くように一鳴きしたのであった。

END


  [No.1845] 設定文+SSの決定稿 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/09/04(Sun) 20:57:45

何とかセキュリティ対策を整理したのでアップします。
特に問題が無ければ、これを決定稿という事でお願いしまーす。

/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

概要
ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトは繊維に纏わる新素材の開発プロジェクトであった。
本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。
こうして方針が決まり、製造技術者、研究者、商人と様々な立場の人から選抜したプロジェクトチームの人選も終わり、
さあプロジェクトを本格的に始めようという所でトラブルが発生した。

にゃんにゃん共和国全土を襲ったデフレスパイラルである。
もともと貧乏な生活になれていたナニワアームズ国内はそれ程深刻な被害は発生しなかったものの、共和国の経済は大いに痛手を被る事となったのである。

そこで当初予定していた珍しい伸縮率を誇る繊維による新素材の開発という路線に見直しの必要が生じた。
不景気な情勢下で単純に珍しいもの、目新しいものというだけでは誰も欲しがらないからである。皆それどころじゃないってなもんだ。
この苦境に対応する為に急遽、プロジェクトの進行計画の見直しを行い、実際の開発を実施する前の段階として政府とプロジェクトチーム間での企画会議を設ける事を決定した。

そして珍しい伸縮率を誇る繊維を開発する等の実績を築きつつあったナニワアームズの若手研究者達の可能性に賭けて、
企画会議はプロジェクトチームから政府首脳陣へ向けてのプレゼンテーションという形で行われた。
これまでの国家プロジェクトの多くは基本的に政府が主導で舵とりを行っていた為、実は今回の方式はナニワでは初の試みであり、
政府首脳陣・プロジェクトチームの両者共に手探りで行われた企画会議は通算十数回にも及ぶ事となった。

予想外に難航したものの、数々の試行錯誤を経て採用されたプランが”炭素繊維及びその複合体の研究”であった。
このプランの採用時のポイントは
1.しっかりマーケティングを意識し、調査した結果が反映されている点
2.ナニワ国内でも地下都市の建築物の耐震補強技術等で応用の下地が出来つつあった点
3.レンジャー連邦の航空機や共和国用輸送機であるキャットフィーダー等で繊維強化プラスチックを主要構造材に採用されつつあり、潜在的な需要が高い事が期待できる点
4.ナニワアームズが原油産出国で原料が豊富にあり、扱いにも慣れている点
の4点であった。

プラン採用までには大いに悪戦苦闘したプロジェクトチームであったが、
一度方針が定まれば、そこはプロフェッショナルだけあって各自の行動は迅速であった。
的確な役割分担の元で各自の得意分野を活かした見事な連携プレイによってプロジェクトの前に立ち塞がる様々な障害や課題を乗り越え、プロジェクトの研究成果をまとめ上げる事に成功したのであった。
そのときの研究室にいたスタッフ一同の喜びようは大変なもので、思わず皆で小躍りしていたという。

次ページでは研究成果を纏めたプレゼンテーション資料を紹介しよう。


#ここからプレゼン用資料風

炭素繊維

炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。

炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。

その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。

航空機への複合材料の応用
航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。

スポーツ・レジャー用品への応用
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。

建築・土木分野の応用
ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。

エネルギー分野への応用
石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。


ナニワアームズ先端技術研究所
なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。

#炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト
図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット
#↑
#ここは別に無くてもOK

また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。

〜商品プレゼン用資料から抜粋〜

/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

ナニワアームズ先端技術研究所のセキュリティ対策

技術情報の価値が高まると共に今後は技術情報を保全する為の情報セキュリティの重要性も高まると予想される。
そこで将来に備えて、新設されたナニワアームズ先端技術研究所では様々な情報セキュリティの制度や仕組みを導入し、
今後の藩国施設の情報セキュリティの向上の為のモデルケースとする試みが行われている。

情報戦技術に突出している訳ではないナニワアームズは
1)技術情報のアクセス手段を限定すると同時にアクセス権限を制御する事で技術情報が盗聴・盗難される危険性を減らす。
2)技術情報へのアクセスと持ち出しについては履歴をしっかりと残す事で異常に気付きやすくすると共に問題発生時の原因究明を容易にする。
3)研究所職員を始めとした技術者・研究者に対して情報セキュリティの重要性を啓蒙する。
の3点に力を入れた。

そして具体的には下記のようなセキュリティ対策を実施した。
1.技術情報をその影響力や新規性、安全性への保証の有無等によってセキュリティレベルを設定する。
2.先端技術研究所を複数のセクションに区分けを行い、各セクションにセキュリティレベルを割り当てる。(より厳重なセキュリティレベルをより奥に位置するセクションを割り当てる)
3.技術情報をセキュリティレベルに応じて、該当するセクション毎に配備された情報端末に保存する。技術情報を保管した情報端末はネットから物理的に切り離し、スタンドアローンとして運用する。
4.研究所の職員や研究者の名簿を作成し、各自の業務に応じたアクセス権限を与える。
5.各セクションへの出入り口にはカード認証式のゲートやドアの設置に加えて、警備員と人の出入りを目視でチェックする職員を配置し、アクセス権限がある人だけを通すようにすると共に人の出入りの履歴をキチンと残す。
6.技術情報を保管した情報端末のアクセスについても履歴を残し、また技術情報を該当セクション外に持ち出す事は基本的に禁止し、必要に迫られた場合には管理責任者の許可と必要書類の提出が義務付けられている。
7.アクセス認証カードでゲートやドア、各種情報端末にアクセス時に機械的にアクセス履歴を蓄積させる。
8.研究所職員を始めとした技術者・研究者に対して情報セキュリティの講習会を定期的に開催し、情報セキュリティの理解を深めて貰う事でその重要性を再認識してもらう。

補足:セキュリティレベルの設定について
各種技術情報毎にセキュリティレベルを設定し、セキュリティレベルに応じた扱いを行います。以下はその主な指針です。
セキュリティレベルE:対外への開示が可能な情報。主に対外向けの広報情報等
セキュリティレベルD:基本的に社外秘。主に業務提携先の企業等には開示可能な情報。一般的なスタッフや提携先の担当者が閲覧可能です。
セキュリティレベルC:民間での使用に対して安全性が実証された技術全般。民間向け技術。一般的な研究員が閲覧可能です。
セキュリティレベルB:軍事機密に属する技術やTL4以下の最先端技術に相当する技術が対象。国家プロジェクトクラスの技術は最低でもこのクラスの扱いになります。政府首脳陣と厳重な資格試験(※1)をパスしたトップクラスの研究員だけが閲覧可能です。
セキュリティレベルA:空間制御技術、及びそれに匹敵すると考えられる最先端技術が対象。藩王、摂政とそれぞれの技術毎の担当に摂政によって直接任命された政府首脳陣と研究員だけが閲覧可能です。(担当外の技術にはアクセス権限がありません)
※1 資格試験にパスするには技術力のテストに加えて、身元の確認及び十分な研究活動実績(これまでに十分に認められる研究成果を上げている)が必要になります。これらをパスした後、政府首脳陣による面接試験もあります。

/*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

プレゼン奮闘記

ところは、にゃんにゃん共和国に名を連ねる西国が一国、ナニワアームズ商藩国。
広大な砂漠の下に広がる地下都市で知られるナニワアームズの民がその生活拠点を地下から地上へと移し始めた一つの時代の節目の頃のお話。

地上部の中央付近に位置する新居住区には新しい住居が日々建築されつつあり、
建築作業に従事するもの、労働者を相手に商売をはじめるもの、建築された住居の下見に来るもの、旅の途中に立ち寄ったもの、様々な人々の喧騒で賑わっていた。
そんな新居住区の一角にドーンと鎮座している大きな建物の壁はまだ砂漠の砂で汚れておらず、ピカピカの白一色。
白亜の壁に上の方に付いた窓からこれまた沁み一つない白衣を身に付けた青年が街の喧騒を恨めしげに見下ろしていた。
「…うー、頭が痛い。音がガンガン響く…」
少し線が細いながらも整った顔立ちと本来は聡明そうな切れ長の瞳を持つものの、今は二日酔いで盛大にしかめている青年の名はケンタロウ。
最近、通常の繊維の何百倍もの伸縮率を誇る繊維の開発に成功した新進気鋭の研究者であり、その功績から国家プロジェクトのチームリーダーを任された程の秀才である。

「全く彼女ときたら、酒癖が悪いんだもんなあ。御蔭で僕まで二日酔いだよ全く!」
とぶつぶつとひとりごちながらケンタロウは昨晩の事を思い出す。

/*/
飲み屋のにぎやかな喧騒に負けずにテーブルの端まで届く大きな声を張り上げ、女性が元気にビールのジョッキを高々と掲げる
「えー、それでは第12回、企画会議お疲れさまでした慰労会を開催したいと思います。では早速、かんぱーい!!」
その朗らかな声に釣られるように周囲の面々も陽気に乾杯を唱和した。
彼女の名前は鈴木ライラ。明朗快活にして豪放磊落、砂漠の太陽のように眩し過ぎるぐらいにエネルギッシュで姉御肌の女性だ。
今回の席も4度に渡るプレゼンの失敗ですっかり意気消沈していた僕を激励する為に彼女が思い立ったその日のうちにセッティングしてしまったのである。
とは言え、折角セッティングしてくれた彼女には悪いが、とてもじゃないが酒をおいしく飲める気分ではなかった。
最近、繊維産業の成功を受けて政府の主導で実施される事となった新素材開発プロジェクトのチームリーダーを任されて意気揚々とプロジェクトの方向性を打ち出す為の企画会議のプレゼンテーションに挑んだのだが、
スポンサーである政府首脳陣を納得させるプレゼンテーションができずに終わったのであった。
ああ、ほんと、どうしよう…。思わず溜息をそっとこぼすケンタロウ。
皿に盛られた焼き鳥には1本も手を付けていなかった。
「おーい、のんでいますかー?ケンタロウクーン」と上機嫌なほろ酔い気分でライラがガシッとケンタロウの肩を掴んで力一杯ゆする。
「わわわ、こ、こぼれますってライラさん?!」
突然揺らされてコップのカシスソーダをこぼさないように四苦八苦するケンタロウ。
「うー?こぼれるって、さては飲んでないなあー!?」
「あー、そんな事ナイデスヨ」眼をそらす
「四の五の言わんと飲むんだ!それともあたしのお酒が飲めないんかなあ??」とますます力強く揺すり続ける。
「わ、分かりましたよ!飲めばいいでしょ飲めば!!」とケンタロウは、こぼれそうになるグラスに慌てて口を付ける
「んぐ、んぐ、ぷッはあ」気付かないうちに喉が渇いていたのか、沁み込むような喉越しであった。
「お、良いねえ。さあさあこの焼き鳥も食べるが良いよ」
そう言うライラの勧めには逆らえず、えーい、ままよと一口パクリ。
絶妙な甘辛いタレと柔らかい鶏肉が口の中でほどける。
……うーんまい!!

/*/

その夜は大いに飲み食いし、どんちゃん騒ぎにライラと共に参加したケンタロウであった。
あれ?なんか半分ぐらいは自業自得な気がしてきたが、きっと二日酔いで頭が上手く回って無いからそんな錯覚をしてるに違いない、うん。
そう回想を切り上げたケンタロウは相変わらずズキズキと痛む頭を押さえながら、水でも飲もうと休憩室に足を向けた。

通路を歩いていると向うから珍しく政府の人がやってきた。こちらに気付いて手を上げる。
「ああ、探しましたよ。ケンタロウさん」
青色のターバンを付けた中肉中背の男が声を掛けてきた。えーっと名前は…そうそう確か蘭堂って言ったかな。
「どうも蘭堂さん。珍しいですね。何か僕に御用でも?」
「ええ、次回の企画会議について何ですが」
「はい」
「えーっと、大変言い難いんですが」
とちょっと躊躇った後
「プレゼン内容に改善が認められなかった場合、ケンタロウさんにはプロジェクトリーダーの任を解いて貰う事になりました」
「え!?」
「これまでに通算12回のプレゼンをして貰いましたが、残念ながら全く改善が認められなかったもので」
「そ、そんな。前回よりも実験データや資料の量も増やしたのに。一体、何処がいけないと言うんですか!?」
「うーん。こういう事は指摘する事は出来るんですが、自分で気が付いて貰わないと多分、実感が伴わないので…」
「そこを何とか!」
「そうですねえ。敢えて言うならケンタロウさん、貴方の視野の狭さが問題なんです。これまでの貴方のプレゼンでは決定的に欠けているものがあるんですよ」
「まー、私から言えるのはここまでです。これに伴って企画会議の日程を少し伸ばして3週間後という事になりました。これがラストチャンスなんで頑張って下さい」
「……はい。わかりました」
では、と立ち去る蘭堂の背中をケンタロウは二日酔いの頭痛も忘れて、ただ茫然と見送ったのであった。

/*/

薄々は感じていた事ではあった。このままでは駄目なのでは無いかと。
失敗が2度、3度と続く間にその思いは少しずつ積り、拭えない焦りを感じていた。
しかしこれと言った改善策を思い付けなかったケンタロウは12回目もプレゼン用の実験データを膨大に用意するというアプローチに留まっていたのである。
そしてその結果が先程の最後通知である。やはりという気持ちが半分、遂に来てしまったという戦慄が半分であった。

彼は言わば技術の信奉者であった。
幼い頃からお祖母ちゃんから聞かされた研究者にして技術者であった祖父の話を聞くにつけ、やがてそれに憧れるようになった。
祖父のような一流の研究者になる事を夢見た彼は何時しか技術が幸せをもたらすという信念を持つようになっていた。
そんなある日、突然ナニワアームズに悲劇が2度、見舞われた。
1つはマンイーター。そしてもう一つはセプテントリオンによる冶金工場での薬物汚染である。
技術の暴走や悪用によるこれらの事件は彼の心に暗い影を落としていた。
彼の信念を真っ向から否定するようなこれらの事件の反動で彼はより一層、勉学に研究に打ち込むようになる。
絶対に人を幸せにする技術だってあるはずだと。
より珍しい技術、まだ誰も見た事の無い技術。それを求めて一心不乱に研究に没頭した彼は遂に通常の繊維の何百倍もの伸縮率を誇る繊維の開発に成功した。
しかし彼はそこでふと足を止める事になった。世の中を見渡しても類を見ない新しい技術の開発に成功したものの、それで幸せが降って湧いてくる訳ではなかったのである。
これから先、どこへ向かうべきか悩み始めた彼に思わぬ話が舞い込んだ。それが新素材開発プロジェクトだったのである。
そして一も二も無くその話に飛びついたケンタロウは企画会議のプレゼンテーションで自分が発明した新機軸の伸びる繊維の珍しい特性を様々なアプローチでアピールし続けていたのだが、
芳しい成果も手応えも得られないままに遂に最後通知を受ける事となったのである。
このままではいけない。ケンタロウは焦りと共にその思いを強く強く噛みしめた。

/*/
それから暫く後、ところは変わって研究室。
「うーん、しかしどうしたもんか」
出来立てほやほやの最新設備がずらりと並んだ部屋の端で様々な文献の山に埋もれる様にケンタロウは思案に暮れていた。
他国の繊維関連の研究論文をパラパラと捲りながら、一体何が足りないと言うんだろうと頭を捻る。

こんこん。
ノックがしたと思ったら、返事をするよりも早く研究室の扉が開かれ、ライラが弾丸のように飛び込んできた。
開かれた扉の合間から差し込んだ赤い夕焼けの光に目を細める。
夕日を背後に背負ったライラは堂々と仁王立ち。相変わらず意気軒昂そうだと思わず感心するケンタロウであった。
「聞いたよ!今度の企画会議がラストチャンスだって!?」
「うん。そうなんだよ。それで今、どうしたもんかと頭を捻っている所」
「それで成果は?」
無言で首を左右にふるケンタロウ。
「まあ、そう昨日今日で何とかは成らないよねえ」とさもありなんと頷くライラ。
「そこでだ。あたしに良い考えがある」
ニヤリと微笑むライラの顔を見て、二日酔いがぶり返したようにケンタロウは顔をしかめた。

/*/

翌日、ケンタロウは早朝から叩き起こされ、ライラと共に藩国中を連れ回される事となった。

朝一番に採光穴に差し込む日差しを眺めたり、
そこに偶々通り掛かったご老人達と一緒に早朝のジョギング&ラジオ体操に参加してみたり、
小腹が空いて時に通り掛かった屋台の美味しそうなたこ焼きの匂いに誘われて、軽めの朝食代わりにソースたっぷりのたこ焼きを口一杯に頬張る。
りとるスネーク球場で草野球を見学し、
ちかにかモールで最近ようやく商売が再開された家電量販店でCDラジカセやDVDプレイヤー等を見て回る。

散歩なんかしている暇は無いんだがと渋るケンタロウとまあまあ、煮詰まった時には身体を動かすのが一番!と宥めるライラ。
身体を動かせば新しい活力も湧いてくるもんよ?と元気の塊である当人がいう事に何となく説得力を感じてしまったケンタロウはそのままライラのペースに乗せられて一日中散策を行ったのであった。

一通り散策を終えて、程良い疲労感と共にライラと別れたケンタロウは最近泊り込んでいた研究所ではなく、久し振りに下宿先である安アパートへの帰路に着いた。
何となく鼻歌交じりに歩いていると近所に住んでいる知り合いのトモエ婆ちゃんが一目で年代物と分かるラジカセをしきりに弄って思案しているのが目に入った。
「あれ、おばちゃん。どうしたの?」
「ああ、ケンちゃんか。久し振りだねえ。いやねえ、どうも故障したみたいで困ってるんよ」
「どれどれちょっと貸してみて。何処が悪いか見てあげるよ」
「そうしてくれる?助かるわ」
「ラジカセの修理ぐらいは朝飯前、いや晩飯前だからねえ」
気軽に請負い、トモエ婆ちゃんからラジカセを受け取ったケンタロウは密かに驚いた。
角が取れるぐらい使い込まれ、頻繁に押すボタンの塗装は剥げていたラジカセは色褪せてはいても、傷一つ無いその表面は丁寧に汚れが拭われており、
その実に滑らかな手触りは持ち主がそのラジカセに愛着をもち、大切に使い込んでいる事がはっきりとわかるものだった。

軽く点検してみると電源回りの部品が幾つか老朽化していたので自室にあった予備パーツを交換し、ついでに幾つか気になった点を整備した。
一通り修理を終えて、試しに音楽を再生すると、小さい頃にお祖母ちゃんが子守唄代わりに良く歌ってくれた古い流行歌が流れる。

懐かしいメロディと共に不意に寝物語に聞かされたお祖母ちゃんの昔話がケンタロウの心の片隅に浮かび上がった。

数々のロングセラーとなる商品の開発に成功していた祖父がある日、テレビの取材でインタビュー記者に聞かて答えたその秘訣とは
”お客さんの顔が見える商品を作る”というものだった。

見事に復活したラジカセに大喜びのトモエ婆ちゃんはとっておきのお茶菓子を振る舞ってくれた。
ラジカセから流れる歌を聴きながらの縁側での一服。
のんびりとした曲と共に流れる緩やかな一時の中でケンタロウは不意に思い出した昔話を不思議に思って反芻していた。。

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その夜。
下宿先の押し入れから留学生時代の同窓会名簿を引っぱり出したケンタロウは早速メモを片手に電話をかけ始めた。

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それから数週間の時が流れ、遂にケンタロウの最後のチャンスというべき第13回企画会議当日。
研究室には企画会議には出席していないプロジェクトメンバーが大勢集まっていた。
うろうろうろ。あっちにふらふら。こっちでそわそわ。
落ち着き無く研究室内を動き回りながら企画会議が終わるのをまだかまだかと待ち続ける鈴木ライラの姿があった。
そんなライラの様子を見かねて数人のメンバーが声を掛ける。
「ライラ姐さん、そんなに心配したって仕方無いって」
「そうそう、やるだけの事はやったんだから。果報は寝て待てっていうじゃないですか」
「そ、そうは言ってもねえ〜〜」と珍しく眉毛をハの字に下げて心細そうに答えるライラ。
チクタク、チクタク。秒針の音まで耳に付く。
会議の終了時間が近づくと共に研究室は静まり返って行った。
そして暫くすると
「お、そろそろ時間だ」と誰かが言ったと同時に研究室の扉が開き、静かにケンタロウが入室する。
「ど、どうだった?」と恐る恐るケンタロウに声を掛けるライラ。
その声を受けてスッと持ちあげたケンタロウの右手は人差し指と中指を立て、ピースサイン。
「バッチリ!!GOサインがおりたよ!」
ニカリと笑って嬉しそうに報告するケンタロウ。
爆発するように研究室内で挙がる歓声!思わず小躍りするプロジェクトチームの面々。
その日はそのまま深夜まで続く祝賀会に雪崩れ込んだのは言うまでも無かった。

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舞台裏。政庁の一室。
「はらはらしたが発破をかけた甲斐があったな」と乃亜。
「そうねえ」と答えた守上摂政の手にあるプレゼンで配付された新素材開発プロジェクトの資料には”炭素繊維及びその複合体の開発と日常生活への応用技術について”と書かれていた。
「御蔭で胃に穴が開くかと思いましたよ。まあ結果オーライですが」と蘭堂。
「しかし炭素繊維に方向転換するとは、なかなか思い切った決断をしたもんですね」と真輝。
「何でも留学生時代の他藩国のクラスメイトとかに協力して貰って、マーケティングにチャレンジした結果らしいよ」
「なるほどねえ」
「まあ何にせよ、一安心ですな」
という言葉に執務机の上で丸まっていたトラさんが
「にゃーん」と頷くように一鳴きしたのであった。

END