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  [No.735] 次期共和国主力機の開発のSS草稿 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2009/07/21(Tue) 00:29:40

次期共和国主力機とその機体に短期間で慣れる為の習熟プログラムの訓練を受けた新米パイロットの最終試験直前の様子のSSが思いついたので書いてみました。
#何となくパッと思いついたもので・・。

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騒々しい宇宙

黒、黒、黒、黒、辺り一面を覆う漆黒。
眼前には芥子粒のように小さな星がポツリ、ポツリと疎らに散らばる漆黒の宇宙が広がっている。
その視界の大半を覆う色は吸い込まれるように深い黒であり、対象物が存在しない漆黒の空間は距離感も上下感覚も全く掴めず、どこまでもどこまでも落ちていきそうだ。
教官の言葉が不意に脳裏に浮かぶ。

『いいか。ジャバミーズの機動性を継承したこの試作機なら広大な宇宙空間を自分の家の庭のように縦横無尽に駆け抜ける事が可能だ。』
『しかしだからと言って、調子に乗って敵を深追いしたり、迂闊に作戦エリアから外れたりはするな。』
『宇宙と地上との最大の違いは何か?重力の有無?それも確かにあるだろう。しかし一番の違いはその足元に大地があるかどうかだ。』
『当たり前だが宇宙には地面は存在せん。己が立つべき寄る辺が無いそこでは、上下感覚はおろか方向感覚が全くといって良いほど当てにならん。』
『もし何らかのミスや事故で自分の母艦の位置をロストしてしまえば、自分の庭だったはずの宇宙空間は一転して冷たく孤独な絶望の闇に代わってしまう。』
『だから常に自分の母艦は意識しろ。それがお前達の帰るべき場所であり、宇宙での寄る辺だ。』

もし、今回のテスト中にミスってしまったら・・。ふとそんな思いが心の底に浮かぶ。
世の中に”絶対”は存在しない。
万全に整備されたはずの機体にトラブルが発生する事はあり得るし、エースパイロットでも操縦ミスを起こさないとは言い切れない。
ましてや習熟プログラム訓練課程を漸く終え、最終試験に挑む新米パイロットなら言うまでもない。
ま、不味い。緊張してる!!
不意に浮かんでしまった不安を打ち消す事が出来ず、強張った右腕が震え始める。
必死に不安を抑えようと震える片手をもう一方の手で抑えつけようとするが上手くいかない。
浅く早くなる呼気がヘルメットの中で反響し、耳に五月蠅い。
思わずヘルメットを脱ぎ、深呼吸をしようとする視界の片隅でコール音を響かせながら呼び出しがある事を知らすランプが仕切りに点灯している事に気が付いた。
震える指でスイッチを入れる。
宙に光点が浮かんだかと思うと会話用のウィンドウが展開される。
と同時に漆黒の空間を埋め尽くさんばかりに見知った顔が次々に視界一杯に広がり始める。カラフルなウィンドウの光が映り込んだ瞳を大きく見開く。
「やっと繋がった。」「遅いですよ、隊長!」
「隊長、大丈夫〜?」「さっきから応答が無いから心配しましたよ。」
「リーダーひょっとしてブルっちまってたのか?」「そんな深刻そうな顔してないでリラックスですよ。リーダー。」
「何々ビビってるってか?へへん、心配するなよ、失敗したらこの俺がフォローしてやるって。」
「全くも〜。リーダーも意外に心配症なんだから。」「皆でしっかり練習したじゃないですか、大丈夫ですよ。」
「俺らと一緒に試験なんだから。」「その通り。我々がついてますよ。隊長殿。」
途端に同じ小隊のメンバーの面々は口々に喋りはじめ、静寂であるはずの宇宙の一角は一瞬で騒々しくなった。
精一杯顔をしかめながら口を開く。
「ええーい、うるさいうるさい。一斉に好き勝手に喋るな、聞き取れんだろ。」
と言いながらも思わず口元が綻びそうになる。それを誤魔化すように両頬に両手をピシャリと叩きつけて気合いを入れる。
これでよし。
「人の心配している暇があったら、準備をしっかり済ませろ。ちゃんと出来てるのか?」
と問いかけると
「「「勿論です(だよ)。リーダー(小隊長)!」」」
とぴったりの息で返してくる。
「よーし。了解。じゃあこれから次期主力機習熟プログラム訓練生第一期の実力をバッチリ見せる!各自気を引き締めてかかれ!」
にやりと不敵な笑みに見えるように口元に笑みを浮かべながら威勢良く声を張り上げる。
「「「了解!」」」
綺麗に揃った返事を聞きながら母艦の管制室にいるオペレーターに通信を繋げる
「こちらシルバースター小隊。これより最終試験のテストフライトを開始する。オーバー」
「こちら管制室。了解しました。グッドラック!頑張ってください。」
「感謝を。これよりフライト開始。全機発進!!」

地球の夜の半球に下腹部を向けて衛星軌道上を漂う母艦の甲板に待機していた各機が次々と飛び立っていく。
夜の半球の端から光が漏れ始める。
地球光を反射させながら5条の銀色の流星が漆黒の宇宙の闇を切り裂いて縦横無尽に流れていく。


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