ナニワ作戦会議BBS
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  •   [No.1687] 編成メモ 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/01/22(Sat) 21:54:45  

    Hastur/蓮田屋藤乃 さんの発言 (21:51):
    *25-00476-01_ぱんくす   :商業の民+猫妖精2+会社社長+商人+整備士官+HQ器用:敏捷+1*幸運+2;
    −個人取得HQ根拠URL:http://farem.s101.xrea.com/idresswiki/index.php?00476-01%A1%A7%A4%D1%A4%F3%A4%AF%A4%B9

    Hastur/蓮田屋藤乃 さんの発言 (21:52):
    *では彼に申し送っておきます
    守上藤丸@金庫番 さんの発言 (21:52):
    *ありがとうございまーす
    守上藤丸@金庫番 さんの発言 (21:53):
    *あ、そうだ。
    Hastur/蓮田屋藤乃 さんの発言 (21:53):
    *■他国への連絡注意事項
    ●A:整備仕官には、器用+1のハイクオリティボーナスが掛かっている。
    #詳細:http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=8389

    ●B:資源と燃料の消費削減(整備仕官+海軍兵站システム)についての詳細。
    ・整備士官:資源×0.90
    ・海軍兵站システム:燃料×0.20
    #(海軍兵站システムHQ×0.75×0.75、燃料生産地SHQ×0.60、
    # 西国人+歩兵+猫妖精SHQ×0.60により、累積0.75×0.75×0.60×0.60=消費軽減率×0.20)

    守上藤丸@金庫番 さんの発言 (21:53):
    *おお
    Hastur/蓮田屋藤乃 さんの発言 (21:53):
    *2点注意よろデス
    守上藤丸@金庫番 さんの発言 (21:54):
    *了解です。メモメモ


      [No.1686] T17聯合フェイズ下書き 投稿者:真輝  投稿日:2011/01/18(Tue) 20:10:43  

    お疲れ様です。
    聯合フェイズとの事で申請用の書式を下書きしました。
    期限まですぐですが、とりあえずBBSに置いておきます。
    聯合内容、聯合国名、聨合費用、書式等のご確認をお願いいたします。
    えーと、時間によりますが本日所要につき提出は微妙です。
    お時間ある方、お願いします(汗)


    ――― ここから ―――


    いつも大変お世話になっております。
    ナニワアームズ商藩国です、T17の聯合を申請させて頂きます。

    申請国:ナニワアームズ商藩国
    ・るしにゃん王国:5:5
    ・FEG:5:5
    ・鍋の国:5:5
    ・レンジャー連邦:5:5
    ・玄霧藩国:5:5
    ・フィーブル藩国:5:5
    ・キノウツン藩国:5:5
    ・紅葉国:5:5
    ・羅幻王国:5:5
    ・無名騎士藩国:5:5
    ・リワマヒ国:5:5

    聨合費用合計:55億


    以上、よろしくお願いいたします。


    ――― ここまで ―――


      [No.1685] 参加します 投稿者:真輝  投稿日:2011/01/09(Sun) 22:13:47  

    参加、希望いたします。
    配置は着用アイドレス等で、任意に配置してくださって大丈夫です。
    よろしくお願いします。


      [No.1684] いいですねー! 投稿者:守上藤丸  投稿日:2011/01/09(Sun) 21:50:59  

    いいねいいねー!
    プレゼンしてるイラスト描くー!

    そして、繊維産業の伸び率をもうちょっと確認して方向修正したほうが良いかなぁ・・・?(質疑結果みつつ

    > 炭素繊維及びその複合体の開発という方向性で現時点で考えた素案をあげておきます。
    > できれば炭素繊維を活用した製品がナニワアームズで使用されているシーンを上手く描写できると良いだけど、どういう方法で記述すれば良いかが今一つ思い付いていなかったり。
    > #こう暮らしと技術の良好な関係的なものを描けると良いだけどねえ。
    > アイデア等がありましたら、レスをお願いしまーす。
    > 後は「妙な伸縮」をどうするかが問題ですな。
    > (一応、ハイスピードカメラでのワンショットというのはどうだろうか?とは思ってるんだけど)
    >
    > /*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/
    >
    > 概要
    > ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
    > 国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
    > そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトが炭素繊維及びその複合体の開発プロジェクトであった。
    > 本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。
    >
    > #ここに開発エピソードを加える。
    >
    >
    >
    > #ここからプレゼン用資料風
    >
    > 炭素繊維
    >
    > 炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
    > 数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。
    >
    > 炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
    > それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。
    >
    > その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
    > #ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?
    >
    > 航空機への複合材料の応用
    > 航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。
    >
    > スポーツ・レジャー用品への応用
    > 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
    > リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
    > また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。
    >
    > 建築・土木分野の応用
    > ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
    > また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。
    >
    > エネルギー分野への応用
    > 石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
    > さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。
    >
    >
    > ナニワアームズ先端技術研究所
    > なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
    > ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。
    >
    > #炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
    > 図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット
    >
    > また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。
    >
    > 〜商品プレゼン用資料から抜粋〜


      [No.1683] Re: 伸びてたー 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/01/09(Sun) 10:42:42  

    > なんか面白い繊維が伸びてました!(笑) >Q4
    > http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=13759
    >
    > #このr:の時の感想みないなSS(?っぽいもの)とかで要点満たせませんかね。
    > #ここから、さらに炭素繊維に・・と云う感じ?
    おお、確かにこれなら要点が満たせそうですな。
    #後は炭素繊維との兼ね合いをどうするかですね。
    #新素材の開発前に目標だったレベルを設定国民が追い抜いて行った気がするけども(笑)


      [No.1682] 伸びてたー 投稿者:乃亜・クラウ・オコーネル  投稿日:2011/01/08(Sat) 00:46:34  

    なんか面白い繊維が伸びてました!(笑) >Q4
    http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=13759

    #このr:の時の感想みないなSS(?っぽいもの)とかで要点満たせませんかね。
    #ここから、さらに炭素繊維に・・と云う感じ?


      [No.1681] 設定文の素案 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/01/04(Tue) 23:37:32  

    炭素繊維及びその複合体の開発という方向性で現時点で考えた素案をあげておきます。
    できれば炭素繊維を活用した製品がナニワアームズで使用されているシーンを上手く描写できると良いだけど、どういう方法で記述すれば良いかが今一つ思い付いていなかったり。
    #こう暮らしと技術の良好な関係的なものを描けると良いだけどねえ。
    アイデア等がありましたら、レスをお願いしまーす。
    後は「妙な伸縮」をどうするかが問題ですな。
    (一応、ハイスピードカメラでのワンショットというのはどうだろうか?とは思ってるんだけど)

    /*−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−*/

    概要
    ラグドールの開発及び共和国共通機採用と繊維産業のヒットによって経済が大いに潤ったナニワアームズ商藩国では技術立国を目指し、
    国立の研究機関であるナニワアームズ先端技術研究所が新設された。
    そして人々の暮らしと技術のより良い関係の模索を理念に掲げた本研究所の設立後の記念すべき第1号プロジェクトが炭素繊維及びその複合体の開発プロジェクトであった。
    本プロジェクトの主眼は繊維加工技術の向上と繊維の衣服以外の用途の確立による新規需要の開拓・掘り起こしの2つである。

    #ここに開発エピソードを加える。



    #ここからプレゼン用資料風

    炭素繊維

    炭素繊維とはアクリル樹脂(合成樹脂の1種)や石油ピッチ(石油の副生成物)等を繊維化したものを熱処理する事で製造する繊維状の炭素物質です。
    数ある高機能繊維の中で炭素繊維の開発が選ばれた理由の1つとしてナニワアームズ商藩国が石油産出国であり、原材料が豊富にある事が挙げられる。

    炭素繊維の特徴は非常に頑丈(高比強度、高比弾性率)であり、軽くて化学的にも安定しており、耐熱性、導電性を有している事で、
    それを活かして樹脂・セラミックス・金属との複合体とする事で機能性の付与や強度の向上を図る事が出来、幅広い用途が期待されます。

    その利用例としてナニワアームズ商藩国での事例を挙げてみたいと思います。
    #ナニワで実際に活用されている場面を上手く表現する方法は何かないものか?

    航空機への複合材料の応用
    航空機の一次構造材である主翼、尾翼、胴体や二次構造材である補助翼、方向舵、昇降舵等に用いる事で従来のものと同等の耐久性を維持しながら軽量化と組立工数の軽減が見込めます。

    スポーツ・レジャー用品への応用
    炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の野球バットやテニスラケットは軽量かつ壊れにくいので子供でも手軽に扱えます。
    リトルスネーク球場でもCFRP製の野球バットは子供達の間で扱いやすいと好評です。
    また炭素繊維を利用した釣り竿は軽くて良くしなるとこれまた好評で最近は地底湖や海岸でのフィッシングが人気になりつつあります。

    建築・土木分野の応用
    ナニワアームズ商藩国の地下部での建造物の補強技術に炭素繊維シートを活用。
    また建築資材そのものとしての炭素繊維強化プラスチックの利用、導電性を活かした建物の電磁波シールドへの活用等が検討されています。

    エネルギー分野への応用
    石油関連施設でのパイプへの導入、軽量かつ高強度でしなりが少ない事を活かした風力発電施設の風車部分(ブレード)の大型化、
    さらに燃料電池の心臓部への応用も検討されています。


    ナニワアームズ先端技術研究所
    なおこれらの炭素繊維とその複合体の安全性や品質管理についてはこの度、新設したナニワアームズ先端技術研究所での様々な品質管理試験を入念に行う事で維持しています。
    ナニワアームズ先端技術研究所ではハイスピードカメラを始めとした各種工業計測装置等も揃っており、それらを活用した各種品質管理試験のデータは希望者には公開しております。

    #炭素繊維強化プラスチックの板に衝撃を加えてググッとしなって妙な伸縮になっているイラスト?
    図.ハイスピードカメラが捉えた炭素繊維強化プラスチックの耐久試験のワンショット

    また上記で挙げた各種分野への応用もこの研究所での研究の成果の1つです。

    〜商品プレゼン用資料から抜粋〜


      [No.1680] 設定文の草稿その1 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2011/01/04(Tue) 21:45:55  

    今回は設定文とSSを余り分けずに書いてみました。
    設定文とSSは分けた方が良いとか、これは不味いんでないかい?とか、ここの話の流れが良く分からない等がありましたら、ツッコミをよろしくお願いします。
    #もしくはここが冗長に感じるとか逆に短すぎるとかも
    後、トップに生活ゲームでの暮里氏の台詞をテンダイス風に抜粋する候補を2案考えてみた。
    こちらもどちらの方が良いか意見募集中です。

    /*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/
    タイトル:ファランクス戦術、その確立への道程


    ”なるほど。ちなみに小型機をグルーピングでまとめる場合はどういった能力が重要になってくるんでしょうか?”
    ”戦術だな”
    〜ナニワアームズ王城内での暮里氏をまじえた相談会にて〜


    ”密集戦術だな。敵は対抗上、どうしようもなく、密集せざるをえなくなる。さもなければ、迂回するかだ”
    〜ファランクス戦術についての暮里氏の言〜

    漆黒の”ネット”の中を陽光に照らされ、白銀に輝くラグドールが整然と幾つかの隊列から成る密集陣形を組んでいた。
    可変式大口径レーザービーム砲の長い砲身を構えて並ぶその様はまるで古の戦場で槍を構え、甲冑に身を固めた重装歩兵達を彷彿とさせる。
    彼らの視線の先にぼんやりとした霞の様な輝きが浮かぶ。
    霞は霧に代わり、やがて雲霞の如く押し寄せる敵となる。
    押し寄せる敵を射程に捉えると同時に一糸乱れぬ動きで前列のラグドール達が光条を一斉に放ち、前方から迫っていた無数の敵を次々に撃ち落とす。
    正面からの衝突を避け、湾曲するようなルートで前列のラグドールを狙って上下左右から飛び込んでくる敵や飛翔体は密集陣形の後方からの光条の穂先によって貫かれる。
    密集陣形を組んだラグドール達が光を遮る白いカーテンの如く、輝く雲霞を押し止める。
    業を煮やしたように雲霞が一点に集中し、損害を無視して強引に無数の光条に貫かれるのにも構わず押し寄せる。
    その瞬間、黒と白が反転。
    辺り一面の戦場を光が蹂躙し、光の中に幾つかの影の点が生まれる。
    光が収まり、再び漆黒が戻ってきた戦場に残っていたのは、ダイアビシニアンの長射程自由電子レーザー砲によって粉砕された敵の残骸と隊列を組んだラグドール達であった。

    /*/

    以上がナニワアームズの首脳陣が思い描いたI=Dを用いたファランクス戦術の概要であった。

    /*/−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−/*/ここで別ページ?

    事の起こりは予見されている宇宙での戦いに備えたナニワアームズでの検討会議から始まった。
    宇宙での戦いに備えた開発されたラグドールは無事完成したものの、その次のステップ、次の一手をどうするかでナニワ首脳陣は頭を悩ませていた。
    上空からの狙撃等の操縦技術の向上、ビームラムやフライトユニット等のオプションパーツの開発、後継機としての重主力機の開発等の様々な案が出されていたが方針を絞り込めずにいたのである。
    というのも、サイベリアンを始めとしたI=Dが宇宙戦の主力だった頃から時代は流れ、
    空母や駆逐艦、巡洋艦等の輸送以外の役割を担える宇宙戦艦や航路移動が可能な艦載機の出現により今後の宇宙戦がどうなっていくか?というビジョンが掴めていなかった為である。

    悩みに悩んだ首脳陣が最終的にとった方法は割とシンプルであった。『分かれなければ詳しい人に聞けば良い』である。
    こうして宇宙戦に詳しい暮里氏に相談を持ち掛けたナニワ首脳陣はそこで宇宙戦におけるI=Dの役割のビジョンとファランクス戦術を始めとした戦術について教わった。
    これらを元に首脳陣が下した決断はハードウェアによる性能面の進歩とは異なる可能性の模索、つまりファランクス戦術の研究と確立であった。


    それから数ヶ月の月日が流れ、その日はやってきた。

    ナニワ航空軍の選りすぐりのエースパイロット達で編成された特殊チームによるラグドールの運用データの蓄積
    それらを元にした研究班による入念な分析と検討
    短期間で密集陣形のフォーメーションをものにしたパイロット達の頑張り

    各自がファランクス戦術の確立を目指して行った仕事の成果を見せる模擬戦の日が訪れたのである。

    司令室から演習場を眺める蘭堂の眼前で行われている一糸乱れぬラグドール達の隊列はそれらを如実に表していた。
    その様を満足気に眺める蘭堂に司令室を訪れた守上摂政が声をかける。
    「仕上がりはどんな感じ?」
    「フッ、任せて下さい。バッチリですよ」
    「えらく自信満々だね」
    「それはもう!あの綺麗な隊列を見て下さいよ」
    「なるほど、確かに揃っているね」

    そんなやり取りが司令室で交わされている間にファランクス戦術で戦う白チームと通常の方法で戦う赤チームの2つに分かれた各部隊の準備が整い、模擬戦の幕が切って落とされた。
    模擬戦の初撃は蘭堂の自信を裏付けるように統制のとれた白チームの一糸乱れぬ一斉射撃が赤チームに突き刺さり、一気に15%という損害率を叩きだす。
    痛打を被り、浮足立った赤チームは足並みも揃わぬうちに反撃を開始し、ここに模擬戦の趨勢は定まったのであった。

    /*/

    模擬戦終了後の司令室。
    その余りにも圧倒的な結果に気圧される様に異様な静寂が訪れていた。
    両手で顔を押さえ、俯いた蘭堂の肩が何かをこらえる様に小刻みに震えていた。

    赤チームの損害率は実に45%
    対する白チームの損害率は何と85%
    ……記録的な惨敗であった。

    両手で顔を隠し、ションボリと嗚咽をこらえる蘭堂と
    かける言葉が思い付かずに気不味げに黙りこむ司令室の面々
    微かに聞こえる「うっうっうっ」というくぐもった声以外は司令室は沈黙に閉ざされていた。

    /*/

    初撃こそは想定通り赤チームに大損害を与えたものの、
    初撃を凌いだ赤チームのベテランパイロット達の猛反撃が始まると目まぐるしく変わる戦況に対応が追い付かず突出するもの、
    遅れて取り残されるものが出始めた。

    こうして生まれた間隙をぬって強襲してくる赤チームに白チームは各個撃破の憂き目に会い、
    それにより更に広がった穴に怒涛の勢いで雪崩れ込んだ赤チームの勢いに呑まれた白チームの統制はアッと言う間に乱れた。
    そこで密集陣形が裏目に出てしまい、各個が思い思いに回避行動を取ろうとして衝突が多発し、逃げ場を失った白チームは為すすべもなく赤チームに蹂躙されたのであった。

    ちなみにこの結果にショックを受けた蘭堂は1週間ほど自宅に引き籠ったという。

    その後、どうにか立ち直った蘭堂と参謀チームが模擬戦のデータの更なる分析を行い、
    出した結論は個人の技量のバラツキとそれに対するフォローや相互サポートの無さであった。
    戦況がシンプルな間は取れていた統制も、突発的及び急な状況変化に直面し、瞬発的な判断が必要になってくると技量の差が明確に出てしまったのである。
    これによってベテランパイロットほど突出してしまい、逆に新米パイロットは取り残された。
    そして本来ならそこでフォローに入るべきベテランパイロット達が個人技に走ってしまい、各個撃破されてしまった訳である。

    学校が無く、集団生活を体験する機会が少なかった現役パイロット達がかなりの割合に上る事が分かり、
    その事がここで思わぬ影を落とす事になったのである。
    また過去の事件によって本来なら部隊長となるべき人材の育成が遅れていた事もこの事態に拍車をかけた。
    後に行われた調査の結果、小隊単位でリーダーシップを発揮できる人間が全体数に比べてかなり不足していた事も判明した。

    こうして明らかになった問題点に対してナニワアームズは対応を迫られる事となった。

    /*/

    カキーンという打撃音と共にボールが空高く舞い上がる。
    新品のグローブを片手にへっぴり腰で空を見上げてボールを追うパイロット達が派手に衝突し、その横にボールが転々と転がる。
    難しいバウンドをしたボールがセカンドの股下をトンネルし、それを見て慌てたライトがボールに追いすがる間にランナーはホームに返る。
    スコアボードには各回毎に8点とか6点とか景気の良い数字が並び、打撃戦の様相である。

    藩国軍に所属する全パイロット達は小隊単位で班分けされ、現在、合同野球合宿の真っ最中であった。

    いつもの散歩の途中で通り掛かったリトルスネーク球場で少年達が元気に野球の試合をしているのを見かけた時に思い付いた蘭堂の発案で行われたものである。
    当パイロット達の間では何故野球!?との声も少なく無かったが、こういうのは口で説明するよりも体験してもらうのが一番と宥められて実施される事になった。
    ちなみに負けたチームは失点に応じた合宿中の罰当番や居残り特訓(勿論、野球の)が待っているので皆必死である。

    こうして開始されたパイロット達による野球合宿は始めの数日こそブーイングも多かったものの、
    元々人気の高い種目であった事も幸いしたのか、はたまた罰当番や居残り特訓が余程嫌だったのか、
    数週間後にはパイロット達の野球の実力は目に見えて向上していった。

    そして合宿最終日。

    カキーンと快音が響き渡ると「オーライ、オーライ」と元気の良い声を張り上げたセンターのパイロットが使い込んだグローブを空に掲げて見事にフライをキャッチ。
    ショートへの鋭いライナーをノーバウンドでショートがキャッチすると即座にベースカバーに入ったセカンドに送球し、ダブルプレー。
    スコアボードにはズラリと0が並び、投手戦の様相である。
    グラウンドにはチームメイトへの声援や掛け声が響き渡り、本合宿中でも1,2を競う好ゲームが繰り広げられていた。

    そして蘭堂や参謀部の面々は一緒になって試合観戦をし、声援に声を張り上げていた。

    /*/

    その後、参謀部での戦術プランの練り直しや部隊長候補の育成等が行われ、2度目の模擬戦の日が訪れた。

    密集陣形を組み、思い思いにズラリと武器を構えた白チームとベテランパイロットを先鋒に据えた赤チーム。
    再び対峙する赤チームと白チームの戦いの火蓋が切って落とされた。
    各個に様々な角度から攻め立てる赤チームのベテランパイロット達に対し、白チームの動きは以前とは異なり、
    判で押したような統制は失われていたが、前列と後列の連携が有機的に働き、新米パイロット達の動きで生じる穴を
    ベテランパイロット達がフォローし、チーム全体が1個の戦闘単位となって赤チームを迎え撃った。

    /*/
    第2回模擬戦報告書
    赤チーム損害率:35%
    白チーム損害率:5%

    前回の課題はかなりの面で改善が見られました。
    今後の更なる部隊の練度向上や小隊長機の通信機能増強等により良好な成果が期待できそうです。

    #この辺によくできました的な判子で締め


      [No.1679] 設定文+SSの決定稿 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/12/30(Thu) 12:08:21  
    設定文+SSの決定稿 (画像サイズ: 494×305 22kB)

    一通り見直して誤字脱字も無さそうだったので
    取り敢えずロードランナーの設定文とSSの決定稿をまとめておきます。
    #要点や周辺環境も大体は押さえているはずです。

    /*/

    偵察とは敵や相手の様子をこっそり探る事である。
    そして偵察には一般的な偵察である先行偵察と戦闘後の地域を調査する戦果確認の2種類がある。
    余り聞き慣れない戦果確認とは具体的に言うと爆撃や砲撃を加えた地域が実際にどのような影響を受けているか、
    誤爆は無かったか等を現地にいって調査し、記録を取る仕事である。
    しかし戦果確認についてはこれまでクローズアップされる事は余りなく、
    自他共に認める偵察の国であるナニワアームズ商藩国でもFOが兼任で行っていたに過ぎなかった。

    そんなある日、日々手強くなってくる敵勢力から国民・国土を守る為に他の藩国同様、ナニワアームズ商藩国でも戦力の増強が計画された。
    計画の骨子はパイロット職と歩兵職の2本柱を主軸とし、お互いに得手不得手をフォローするというものである。
    というのも、評価値が高く主力となり得るI=D部隊では治安維持や市街戦、長期間に渡る国土や国民の防衛には不向きであり、
    また機械なので当然ながら低物理域では活動する事すら叶わない為である。

    そして役割分担は偵察についても同様に検討される事になった、つまり先行偵察と戦果確認である。
    先行偵察についてはパイロットの中から、偵察に特化した選抜チームが組まれ、これにあたる予定であるが、
    乗り物での偵察が主体となるので当然ながら細かい調査が必要となる戦果確認は実質不可能と言える。
    そこで今回、新たに戦果確認を専門とする歩兵職業として白羽の矢が立ったのがロードランナーである。

    /*/
    ロードランナーとは
     歩兵部隊の最小単位である班レベルで動く部隊であり、
     爆撃や砲撃を行った後の地域の状態を見る戦果確認を主任務とする。
     乗り物には乗らずに自前の足で奥地までいって、そこで得た情報を記録し、持ち帰る事が役目。
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    ナニワアームズ商藩国におけるロードランナーが守るべき鉄則は2つある。
    1つは現地まで赴き、そして生還する事。幾ら情報収集が上手くてもそれを本隊に持ち帰れなくては意味が無いのである。
    情報を伝達するだけなら世の中には無線機という便利な文明の利器は確かに存在する訳だが、
    ナニワにおいてはなるべく低物理域でもある程度の活動が行える事が求められるので結局の所、生還できる事が必須事項である点は揺るがない。
    そして2つ目は現地での情報をしっかりと記録してこれを持ち帰る事。言うまでも無く偵察兵の本分である。

    この2つの鉄則を守れる実力をロードランナーに習得させる為に次の4つの能力が重視された。
    1.走る
    2.視る
    3.隠れる
    4.戦う

    以降はこれら4つの能力に焦点を当てて、ナニワアームズ商藩国におけるロードランナーを見てみよう。

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    #これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

    1.走る

    ロードランナーを特徴付ける性質の1つが走る事に特化しているという点である。
    これはロードランナーの主任務である戦果確認と密接に関係している。

    戦果確認は敵地への爆撃や砲撃の成果を確認する為に自軍が完全には制圧できていない地域で偵察を行う事になる。
    その為、情報収集が目的の軍事行動である以上、敵の残存勢力が潜んでいる可能性を想定し、なるべく交戦を避けて秘密裏に行う必要がある。
    そこで大火力よりも寧ろ痕跡を残さない移動手段が必要とされ、結果として車両を用いない徒歩での機動力に特化した部隊としてロードランナーが登場する事となった。

    しかしここに1つの問題点があった。
    一般の歩兵にとっても徒歩は基本的な能力である為に基礎訓練は十分に行われており、差別化を図る為に単純にそれらを上回る負荷を与える訓練を行う事は身体への悪影響が懸念されたのである。
    そこでナニワアームズ商藩国では訓練による過度な身体への負担をかける事なく、効率的なトレーニングを行う手法としてスポーツ科学的アプローチに着目した。
    スポーツ、中でも陸上競技においては走る事は基本中の基本であり、最も研究が進んでいる分野であると言える。
    そこで走行フォームや効率の良い筋力トレーニング、高地トレーニング等を取り入れると共に市民病院の医師や栄養士の協力も仰ぎ、四肢の故障や栄養の偏りを配慮した訓練プログラムが作成された。
    また個人毎の身体的な能力差を配慮したきめ細かいトレーニングメニューの調整や相談を受け持つ為にコーチやトレーナーの育成にも力が注がれた。

    そしてロードランナーの訓練にはスポーツトレーニングのアプローチを取り込んでいるが、純粋なそれとは異なる点もある。
    想定される活動エリアが砂漠、森林、ジャングル(密林)、雪原、山岳地帯等の自然の要害とも言うべき入り組んだ場所になりやすい為である。
    その為、整地された場所で行われる陸上競技等のスポーツとは異なり、入り組んだ地形の特性を把握し、それらを見事に走破する事を想定した実地訓練も頻繁に行われた。

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    #これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

    2.視る

    偵察兵にFO、偵察用I=Dバーミーズ。
    偵察にこだわりと一家言を持つ者が多いナニワアームズ商藩国において偵察兵は登場以来の長きに渡り、
    たとえサイボーグが着用アイドレスから外れようとも常に歩兵と共にあり続けた。
    しかし時は流れ、そんな歴戦の偵察兵達にも遂にバトンを渡すタイミングが訪れたのである。
    これまで歩兵部隊の変遷を見つめ続けてきた偵察兵達の意気込みは並々ならぬものであり、自分達の後継としてのロードランナーの育成には情熱を注ぐ事となった。

    さて、ここで話を少し変えて、彼らが熱意を込めて伝授する偵察について改めて少し述べてみよう。
    偵察とは自軍の眼となり、敵の状態や状況を”視る”事である。そして”視る”タイミングによってそれは先行偵察と戦果確認の2つに分けられる。
    大雑把に例えるならば、相手を殴る前に”視る”のが先行偵察、殴った後に相手を”視る”事が戦果確認である。
    つまり戦果確認とは自分達が行った行動の結果をしっかり見つめるという事であり、アフターフォローの第一歩と言えた。
    相手を殴りっ放しにしない為に彼らロードランナーは存在するとも言えるわけである。

    閑話休題。バトンを渡す側にまわった歴戦の偵察兵やFO達はロードランナーにおける偵察能力の活用法として2種類の用途に着目した。
    1つは当然ながら目的地で情報収集に駆使するという用途。もう1つは敵地奥深くまでの進軍ルート(監視の網目や抜け道等)を見付ける為に駆使するという用途であった。
    その為に航空写真や地図を読み取る事を徹底的に教え込み、
    その上で砂漠、森林、密林(ジャングル)、山に市街地と言った様々な地形でのフィールドワークを重ねる事で頭と体に地形の性質や地図との関連性等を叩き込んだのである。


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    #これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

    3.隠れる

    歩兵が隠れる為の手法・装備と聞いて真っ先に思い付くものの1つとして迷彩または迷彩服が挙げられる。
    それは遡ればトラを始めとした野生動物が生来的に備えているものでも有り、人が知恵によってそれらを真似て生み出した工夫でもある。
    ナニワアームズでは古くから歩兵やバーミーズで光学迷彩を良く用いていたが、今回はそれをそのまま流用する事はできなかった。
    というのも、ロードランナーの活動領域の想定エリアの1つである低物理域では当然ながら光学迷彩なんて科学技術の結晶は作動しない為である。
    その一方で低物理域では銃器が運用できない以上、ロードランナー達の攻撃手段は白兵に限定され、必然的に隠れる事の重要性は高まる。

    故にこの対策が講じられた訳であるが、検討の結果として採用された方法は実にありきたりで冴えないやり方ではあったが、それだけに効果はそれなりに見込めた。
    その方法とは……
    TPOに合わせて服装を替える!
    以上終わりである。

    TLOを用いずに実現する方法としてはこれ以外に思い付かなかったわけではあるが、
    衣服はそれこそ原始時代にまで遡らない限りは常に人類と共にあった為、シンプルだが無難であると判断したのである。
    幸いながら手元には服を作る為の品質の良い布地には困らない事、服飾関連のアドバイザーもいた事からこの頭の悪い手法は実施されたのである。
    こうして砂漠、雪原、草原、森林、密林(ジャングル)、山に果ては市街地。様々なシチュエーションに応じた迷彩服が用意される事となった。
    ちなみにちくちく手縫いで作る関係上、低物理域用の野戦服が一番高価かつ貴重であり、皆の愛着も一際で高く人気No.1であった。
    実際に綻んだり破れても修繕して長い間、愛用する者も多かったそうである。

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    #これは左上の四角形に入れる文字を想定しています。

    4.戦う

    特殊部隊員という職業がある。
    黒を基調としたベレー帽と迷彩服に身を包んだ彼らは日夜、演習場での訓練を欠かさない。
    そんな彼らは長い間、ナニワアームズ商藩国の歩兵部隊の戦闘技術の研鑽を影から支え続けた功労者であった。

    ロードランナーは敵勢力下で班単独で活動する事が多い為、白兵や射撃等の最低限の戦闘技術の習得は必須である。
    そしてロードランナー候補生達がそれらの戦闘技術の習得をする際にも特殊部隊員達の豊富な経験と研鑽が大いに役立つ事となった。

    特殊部隊員から出向した教官達はロードランナーの特徴とその任務内容から必要十分な訓練メニューを考案し、これを実践した。

    ナイフや銃剣、軍隊格闘術を駆使したCQC(Close Quarters Combat)、拳銃や手榴弾、サブマシンガンを用いた近接格闘、そしてアサルトライフルを用いた射撃戦。
    これらの基本戦闘技術に始まり、銃の分解整備から野外でのサバイバル訓練に到るまで単独完結する戦闘単位として機能する為の最低限の技能教育がみっちりと行われた。
    それらを受け、ロードランナー候補生達は正にスポンジが水を吸う如く、これらの技術を習得した。
    これは各種走力訓練で底上げされた候補生の強靭な足腰や持久力とそれらを合わせて特殊部隊員達によって考案された訓練メニューの相乗効果の顕れであった。

    一方で戦術ドクトリンは近代戦闘の基本でもあるファイア&ムーブメントにポイントを絞っての徹底的に教え込んだ。
    これはロードランナーの任務が戦闘による敵の撃破では無い事を踏まえて、教える戦術ドクトリンをロードランナーの特徴が活かしやすい1種類に絞り込んだ為である。
    ちなみにファイア&ムーブメントとは大雑把に言うと銃火器による射撃で敵部隊の足を止める火力班(ファイア)とその間に相手の側面・後方に回り込んで攻撃を加える突撃班(ムーブメント)に分かれて火力と運動を効果的に連携させる戦術の事である。

    #この辺に添付した概要図を挿入

    また教官達は特に火力班・突撃班どちらの場合も地形を有効活用する事を徹底させた。
    この方針はロードランナーの主な活動地域が入り組んだ地形になりやすい事、
    ロードランナーそのものは機動性を重視する為にどうしても軽装甲になりがちである事から採用された。
    火力班として行動する時には地形を活かした効果的な遮蔽の取り方を、
    突撃班として行動する時には地形に紛れ、適切なルートを見付けて静かに素早く移動する方法を
    重点的に訓練したのである。


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    タイトル:ロードランナー訓練生の挑戦

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    ざわざわと遠くで喧騒の音が聞こえる。
    簡素なロッカーが並び、1卓のテーブルがあるだけのシンプルな待機室では一人の男が黙々と作業を続けている。
    L字型の銃身、照準器が付いたスライド、グリップや引き金が付いたフレーム、弾層、リコイルスプリング、銃弾
    コト、コト、コトと静かで硬質な音と共に一切の淀みの無い所作で拳銃が部品毎に分解されてテーブルの上に並べられていく。
    そして部品の一つ一つを丹念に磨いて汚れを拭っていく。

    男は名を柊と言い、ロードランナーの訓練生である。
    そしてここは年に1,2度だけ開催されるトライアル訓練時にだけ使われる待機室であった。
    このトライアル訓練は国境にある富士山の麓から樹海を通り、途中のチェックポイントを経て、山の中腹にあるゴールまで到達するという内容の競技になっている。
    ハードな内容であるこのトライアルは訓練課程時の目標や腕試しとして実施され、普段は遭難者が出やすい為に立ち入り禁止である富士山を演習場として行われる。
    その内容から参加は任意というか逆に一定以上の実力があると認められないと参加資格さえ貰えない程だが、
    それだけにトライアルを突破したものは相当な実力者と一目置かれる事から腕試しに参加する者は毎回多い。
    外から漏れ聞こえる喧騒も自らは参加しないもののトライアルの行方が気になる訓練生達が数多く見学している為である。

    出番を待ちながら自身のコンセントレーションを高める為に身体にすっかり染み付いた銃の分解整備を行いながら、今回のトライアルのルート選定を頭の中で反芻する。
    今回のトライアルでは等高線と河川だけが描かれたシンプルな地図と航空写真が配付されており、参加者達は皆それらを手掛かりとしてルート選定を行う事になっている。
    少しずつ銃の整備が終わり、テーブルの上で冷たい光沢を放つ部品が一つずつ組み上げられていく。
    自らが駆け抜ける事になる道筋を1つずつ選定しながら柊は時が訪れるのを静かに待ち続ける…。


    /*/

    ゴオゥゥ
    風切り音が鳴り、緑の風景は現れては次々に後方へと流れていく。
    一定のペースで繰り返される自身の呼気が聞こえ、足が落ち葉を踏む時になる音がカサカサと聞こえる。
    そして落ち葉に覆われた焦げ茶色の地面は傾斜と共に遥か先まで続いており、ジャングルや密林の如く生い茂った樹木や茂みの中に消えている。

    鍛え上げた2本の足が身体を前へ前へと斜面を押し上げる。
    自身の身体の隅々を指先に到るまで意識し、重心を整え、反復練習で身に付けた走行フォームで脚力を走力へと転換する。

    疾走する柊によって撹拌された樹海の空気は静から動へと塗り替えられてゆく。
    そして柊は額に流れる汗もそのままに疾走を続けながらも見事な集中力で自身が進むべきルートを次々と見出し、ルートの再選定を繰り返して行く。

    何と言っても樹海である。
    一瞬の油断が道を見失う事に繋がりかねず、実際には遭難者に備えた歴戦の偵察兵達が本部で待機している事さえも、今この瞬間は柊の頭の中から除外されていた。


    今を遡る事、丁度2年前。
    ロードランナーを目指してその門戸を叩いたときの彼は自分に全く自信が持てなかった。
    取り立てて特技と言えるものも無く、争いごとが好きでは無かった性格も災いして就職戦争には悉く敗退し、ロードランナー訓練校に通う事になったのである。
    変化に乏しく、諦観と灰色に満ちた日常生活がまた始まると考えていた彼の甘い予想は入校初日からあっさりと叩き壊される事となった。

    性格上、競争があるスポーツにも関心を持てず、それまで殆ど身を入れて身体を動かした事が無かった彼はその日も何時もの如く、惰性で程々に訓練メニューをこなそうとした。
    そして一発で教官に見抜かれ、みっちりとワンツーマンでしごかれる事になったのである。
    良く日焼けした褐色の肌にベレー帽の端から見えるクセッ毛の銀髪が特徴的なその教官の名前はランディ=ゴトー。これまでに数多くのヒヨコ達をFOへと鍛えてきたベテラン教官である。
    その卓越した洞察力によって、まるで読心術でも使えるんじゃないか?と疑うほどの精度でもって、柊の全力を引き出すトレーニングメニューが課された。
    日頃の運動不足が祟り、訓練でヘロヘロになった柊が教官に言われるがままに訪れた場所は食堂であった。
    そこで出された何の変哲も無いカレーライスを一口食べたときの衝撃を柊は今も色鮮やかに思い出す事が出来る。
    それは全力を出し切った者に対してのみ与えられる美味であり、彼がその生涯で始めて味わったはずの、しかしどこか懐かしい達成感の味であった。
    この日の出来事を境に彼の行動は一変した。様々な事に全力で挑み、失敗と成功を繰り返しながら1つずつゆっくりと確実に出来る事を増やしていったのである。


    そして今、柊はここ富士の樹海にいた。
    僅かな物音ともに緑の海原をかき分け、迷彩服に風をはらませながら、己が見出した航路に沿って全力で疾走しているのである。

    /*/
    少しずつ傾斜が緩くなり、それに従うように頭上に生い茂った樹木の枝葉の隙間からの木漏れ日の量が減る。
    より薄暗くなった森林の空気は辺りをひんやりと冷やし、足元の落ち葉も湿り気を帯びて足音を静かに受け止める。
    辺りの様相の変化に気が付いた柊はそろそろチェックポイント付近に辿り着いたと当たりを付けて走る速度を緩め、慎重に歩を進め始める。

    チェックポイントには多数の中堅の偵察兵やFOが監視者として展開し、監視の目を光らせている。
    この監視エリアを無事に突破する事が本試験の必須条件であり、最難関ポイントの1つと言える。
    これまでは己との戦いだったが、ここから先は監視者と自分の腕比べである。

    自然と息を潜め、気配を殺す。

    ”隠密行動と偵察は一枚のコインの裏表”

    教官の言葉を思い出しながら、注意深く地面に視線を走らせる柊。

    ”自分が隠れるときも、偵察するときの視点・考え方を忘れるな”

    やっぱりあった!何度か人が通った痕跡だ。

    監視者の巡回ルートを確認し、その死角となるであろう獣道を見つけ、自身の痕跡をなるべく残さないように注意を払いながら奥へと進み始める。

    ある時は樹木の影に隠れ、またある時は身を潜めた茂みの側を偵察兵が通り過ぎるのを息を止めてやり過ごし、双眼鏡を構えたFOの監視を潜り抜ける。
    それはさながら銃弾が飛ばない銃撃戦である。視線という名の射線から遮蔽物を駆使して身を守り、動から静へ、静から動へ。
    音を立てないように注意を重ね、奥へ奥へと進む。
    滝の様に流れていたはずの汗は何時しか止まり、汗を吸った野戦服のアンダーウェアがびっしょりと肌に貼り付き、体温を奪う。

    徐々に偵察兵をやり過ごす頻度が増え、何度もルート変更を余儀なくされる。

    そしてさらに奥地に進み、何度かヒヤリとする局面をやり過ごすに至って

    …おかしい。

    嫌な胸騒ぎを感じた柊は違和感の原因に考えを巡らせると、何時の間にか有力な進行ルートが当初の予測の半分にまで減っている事に気が付いた。
    どうやら直接目視される事は無かったが、痕跡が見つかったのだろう。恐らく今頃は徐々に監視の網目が狭められているに違いない。

    ガサリ。

    不意に背後の茂みが揺れ、偵察兵が現れた。

    ち、近い!

    そう感じたのはどうやら柊だけでは無かった。
    驚愕に目を大きく開きながら咄嗟にアサルトライフルを構えようとする偵察兵。
    その瞬間には軍用ブーツに覆われた踵がアサルトライフルの銃口に迫る。
    後ろ回し蹴りを繰り出しながら、柊はホルダーから拳銃を抜きとり、冷たい輝きを帯びた銃口を相手に押し付けた。
    それは訓練によって染み付いた流れるような動作であった。
    樹海に2発の銃声が鳴り響く。
    どさりと地面に倒れる偵察兵。
    柊に蹴り飛ばされた偵察兵の銃口の先にある樹木にはベッタリとペイント弾の染料が塗りたくられていた。

    ふうと思わず安堵のため息を漏らした柊であったが、事態は逆により切迫したものになりつつあった。

    今回の試験ではペイント弾を一発でも命中した人物はやられたものとみなす。
    今、足元に倒れている偵察兵の人もそれでノーリアクションになっているのだが、これは自分にも当てはまる。
    ペイント弾が少しでも身体に掠れば即時に失格なのである。
    そして派手に鳴り響いた銃声は間も無く周囲の偵察兵やFOを招き寄せるだろう。
    仮にこのまま1対多で銃撃戦をやっても結果は火を見るより明らかである。

    どうする?ここまで場所が絞り込まれては例え隠れても人海戦術で直ぐに見つかってしまう。
    かと言って直接戦うのは論外だ。
    刻々と迫るリミットを意識しながら必死に対処法を検討するが焦りが思考を空回りさせる。
    思わず項垂れた柊の目に入ったのは自身を支える鍛え抜いた2本の足であった。
    その瞬間、柊は腹を括った。

    これだ。この土壇場の状況を打破する切り札はこれしかない。

    そして柊は一つの賭けに出る事を選んだ。
    一度腹を括れば、柊の行動に迷いは無かった。
    慌てずにルートを再検討し、幾つかある候補から最も険しい最短ルートを選びだし、引き絞られた矢が放たれたように全力疾走を開始した。

    静粛性をかなぐり捨てたロードランナーの走力は目を見張る速度を叩きだし始める。
    潜めていた息は次第にリズミカルな呼気へと変わり、騒々しい足音を立てる事も構わずに柊は樹海の中を駆け抜けていく。
    騒音に気が付き、周囲から続々と集まってきた偵察兵やFOが追跡を開始する。
    それには構わず柊は見出した1つの道筋を、前方を、ただ一心に見据えて真っ直ぐ前へと突き進む。
    周囲は再び傾斜が強くなり、生い茂った樹木があちこちに根を張り、落ち葉は地面の凹凸を覆い隠す。
    一歩でも踏み外せば転倒し、場合によっては大怪我を負いかねない悪路へと様相が変わり始める。
    足場を見極め、迷い無く一歩を踏みこみ、身体を前へと押し上げる。
    ロードランナーは絶妙なバランス感覚と強靭な足腰を活かして悪路を次々に走破していく。
    落ち葉を舞い上げ、派手な痕跡を残しながら疾走するロードランナー。
    やがて木々が途切れ、目に沁みるような青空が前方に広がる。
    遂にランナーは追手が呆れる程の騒音と勢いで監視エリアを駆け抜けたのであった。

    /*/

    富士山中腹のゴール地点。
    山特有のひんやりと身が引き締まるような空気の中で柊は目の前に広がる風景に魅入っていた。

    眼下には砂で出来た砂丘がまるで絹のような滑らかさで広大に広がる。
    その広大な砂の海原を4つに切り分ける交易路
    路が交わる中央には緑の輪に囲まれた蒼い蒼いオアシスが宝石のように輝き
    それによりそうように宿場町が佇んでいた。


      [No.1678] 質疑を投稿しましたー 投稿者:蘭堂 風光  投稿日:2010/12/25(Sat) 21:38:01  

    守上さん、乃亜さん、質疑の確認ありがとうございました!
    http://cwtg.jp/qabbs/bbs2.cgi?action=article&id=13877
    類似質疑分を除いた質疑を投稿してきましたー。


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